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 人権。

 それは誰しも保証されているべきものであり、生まれながらにして皆等しく持っているものである。


 ここは、人権保護組織「天照斯界調和協会あまてらすしかいちょうわきょうかい」の静岡本部、その本部長室。


界津かいづさん、娘さんの様子は……どう?」


 本部長席に座っている女が声をかけると、長身の少女に肩を抱かれた中年女性……界津桜かいづさくらは答える。


「夫が植えつけたトラウマのおかげで、中学生になった今でも人間不信のままです。いずれは、我々の協力者になってくれるかと」

「それは良いですね。そろそろ……迎えに行ってあげましょうか。いたいけな少女に、母親自ら救いの手を差し伸べるのです」

「ようやっと……ありすと話せるんですね。ありがとうございます」

「礼には及びませんよ。……私達の使命は、この世界における男の不要性を主張し、全ての男を排除すること。あらゆる権利は例外なく、私達女性のみに許される。そのためには……被害者を増やすのが最も効率的なのです。被害者女性を増やし、全世界へ向けて男は悪だと訴える。……分かりますね?」

「はい」


 ここまで長かった……と、中年女性は過去を思い起こす。


 料理人志望だった一人の青年と半ば強引に結婚し、拘束して「世界一の料理人になりたいでしょう?」と囁きながら薬物を与え続けたあの日々も、被害者にするために腹を痛めて娘を産んだのも、望まず生まれてきてしまった息子を処理したあの夜も、今となっては良い思い出となっている。


 全ては、女性の権利を守るため。

 この組織に、尽くしてきたのだ。

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