運命の人は聖女でした【END】
かくして私たちは決意新たに魔女の館を目指し、五か月の旅を経て辿り着いた。
再会した最果ての魔女は相変わらずクネクネしていて、私のことをちゃんと覚えており、隣に立つフィルと私を交互に見て、黄色い声を上げた。
「いやぁーん、本当に出会っちゃったのねぇ。運命の赤い糸で結ばれた王子様に。ロマンチックぅ~! 前に来たときは随分殺伐としてて鬼が来たのかと思ったけど、今日のあなた、幸せオーラ出てて良い感じよぉ。今日のラッキーカラーは赤ね。良かったわねぇ、運命の王子様に出会えて。まるで私たちみたいねぇ、ねぇマイダーリン♡」
そういって魔女はくるりと辺りを見渡し、あっと小さく声を上げた。
「そういえばマイダーリン、四日前くらいから姿が見えないのぉ。また最果ての森で迷子になってるのかしらねぇ。あなたたち、ちょっと行って、捜して来てくれなぁい? ダーリンと引き換えに願い事を叶えてあげるから。それが条件よ。いいわよねぇ?」
マジか。またかよ、あの人形王子。学習能力ないのか?
「マイダーリンって?」と耳打ちするフィルの腕をぐいと取って、踵を返した。
「喋るし動く、縫いぐるみの王子様。頑張って捜そう」
魔女の館を出て、来た道を引き返しまた森へ戻った。
大丈夫。フィルとなら何だってやり遂げられる。