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プロローグ 〜儀式〜

新しく始めました。

 インベリッテ王国宮殿。

 

 一般民はもちろん、上級国民の中でも限られた者しか入ることは許されない高貴な場所。


 だが、その宮殿に一年に一度だけ踏み入る事が許される儀式が存在する。


 宮殿には大勢の人が宮殿に押し入っていた。


 宮殿魔導師団。

 インベリッテ王国で優れた魔導師が選び抜かれた少数精鋭の魔導師団だ。


 正装である上下黒色の服装に、首元に銀色で球体の形をしたペンダントをつけて、星形の胸章を身につけ、黒いローブを身に纏い、俺、ジン・クルシュガーツは宮宮殿の中である任務に当たっていた。


「この任務が終わったらどうするんだ?≪黒き流星≫さん」


 尋ねてきたのは銀髪の男。

 名はアレス・ガラティーナという。

 年齢は、二◯一だが俺の同期で、生粋の女好きである。

 任務中はそうでもないのだが、プライベートとなると、物凄く派手な格好で女性を口説く。そして毎回撃沈する。その姿を街中で何回を見ていた。


「その名で呼ぶな。それに私語を慎め。任務中だ」


「まだ儀式まで時間あるじゃねぇか。それにしてもなんで急に魔導師団を辞めるって言ったんだよ。まだ17歳なのに。それが気になって最近は寝られないんだ。俺達親友だろ?教えてくれよ」


 アレスは懇願する。


 理由はただ一つ。

 疲れたからだ。


 インベリッテ王国最難関の魔法学校は十五歳で卒業できるのだが、俺は十二歳で卒業し、その後はインベリッテ王国の中でも優れた魔導師しか所属する事ができない、インベリッテ宮殿魔導師団に引き抜かれ、十七になった今もそこで任務を行なっている。


 俺は、その中でもさらに優れた魔導師だけが入れる≪零≫という部隊に所属している。


 零の任務内容は主に宮殿の警備。インベリッテ魔導師団でも手が負えない犯罪魔導師及び魔族の排除などがある。


 入団後、俺は犯罪魔導師団と魔族をただひたすらに殺した。何も考えずに。


 圧倒的な魔法力と知恵を持ち、与えられた任務は迅速かつ完璧に遂行する姿を見た誰かが≪黒き流星≫と勝手に付けたのだ。


 そうして四年の月日が経った。


 ーー最近考えるようになる。


 ーー俺はなんのために魔法を使うのだろうか。


 任務を遂行するたびに、人々からは感謝された。


 だが、殺すたびに聞こえる断末魔のような叫びがずっと付きまとってくるのだ。


 そして気づく。


 俺には魔導師団は向いていないと。


 辞職を申し出た時、特に止められはしなかった。


 最後に宮殿で行う儀式の警備だけ手伝ってと言われ、今ここにいる。


 それはアレスにも言っていない。


 余計な心配をかけたくなかったからだ。

 口には出さないが、俺だってアレスのことは大事な親友だと思っている。だからこそ、気を使って欲しくないのだ。


「まぁ、静かに暮らすさ」


「そうか……。たまには顔見せろよ」


「あぁ」


 その時ーー


 宮殿に一人の男と数人を魔法師が姿を見せた。


 この国の王、アジム・ジェイガスである。


 男は玉座に座り、周囲を見渡すと一つ深呼吸を入れ言う。


「諸君。この時を無事に迎える事ができることに深く感謝する。この儀式を行うことができるのも皆の力があってこそだ。今から行う儀式、いや巨大魔法陣≪転生(アステル)≫を行う。皆の力で必ず成功させようぞ!」


 ≪転生(アステル)

 この世界とは別の世界で死んだ人間の魂と肉体を蘇らせ、魔法や医療に優れた人間として生まれ変わらせる魔法。


 大掛かりな魔法ゆえ、魔力の消費量が絶大なのだ。

 

 一人の男が現れ、宮殿内にいる人々に腕輪が付けられる。


 おそらく、その腕輪を付けることで魔導師に魔力が送られるのだろう。


「では、始めよう」


 王の合図と同時に魔法陣を出現させる。


 しかし、魔力が足りないのか魔法陣が完成しない。


「もっと魔力を送らないと魔法陣が完成しないぞ!」


 誰かが言う。


 魔導師と人々が必死に魔力を送った。


 魔法陣が完成したのか、とてつもない輝きを放っている。


「おお……」


 人々が感嘆の声を上げる。


 その魔法陣の輝きは宮殿内を覆った。


「まっ……眩しい!」


 アレスが目を瞑った。


 おそらく成功したのだろう。

 

 魔法陣の輝きが徐々に失われると、人影が見えた。

 そこには、一人の少女の姿があった。

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