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325/325

325・はじめての ちかてつ(てつだい)

|д゜)GWでAIとゲーム制作で格闘していた

ためか、首肩腰全てにダメージが蓄積(老人)


「な、な……っ」


「あ、あれだけの攻撃を人間が!?」


ワイバーンの四方八方からの攻撃を無効化した

私に対し―――

攻撃を仕掛けた者は元より……

長老格やギャラリーも驚愕(きょうがく)の表情を浮かべ、


「ええと、これでいいですか?」


私が周囲を見渡すと、不満は無いものの

微妙な顔をする者もいくらかおり、


そしてそれも想定内なので―――

私は青みがかった短髪を持つ少年……

ムサシ君に向かって、


「すいません、ムサシ様。

 こちらへ来てもらえますか?」


そうして彼が私の位置までやって来ると、

今度は周囲に向かって、


「えーと、すいません。

 どなたか、あの離れた丘を見て来て

 頂けますか?


 そこに生き物や人間、亜人がいるかどうか

 確認して欲しいので」


私の指差す先―――

そこは200メートルほど離れた場所にある、

小高い地形で、


1体のワイバーンが飛び立ち、すぐに戻って来て

こちらに降り立ち、人間の姿となる。


「人影は見られませんでした。

 特にこれといった生物の姿も……」


「お疲れ様です。

 ありがとうございます。


 では、ムサシ様。

 あの丘を攻撃してください」


その言葉に、彼は黙ってワイバーンの姿へと

変身し、


「そこ、離れてー!!」


「死にたくなくば丘までの道を開けい!!」


遠い間合いから大きな声で、童顔の妻と

ドラゴンの方のモデルのような妻が叫ぶ。


さすがに何か始まると察したようで、それまで

私に攻撃を仕掛けていたワイバーンたちも、

丘までの進路から距離を取る。


周囲、そして直線状に何も無い事を確認すると、

ムサシ君は攻撃を放った。


それは他のワイバーンのような火球ではなく、

ましてや風魔法でもない。


恐らく、この大陸初のワイバーンたちが

見るのは初めてであろう『全属性』ショット。


「あ、あれは―――」


「丘が……消滅した……!?」


「い、いや!

 ある、あるが」


丘の方へ視線をやると、そこには―――

右半分が半円状に消し飛んだ地形があり、


「うおー、威力エグい」


手の平を眉の上で水平にしながら、

黒髪ショートの娘が感想を述べ、


いつの間にかムサシ君の隣には、

彼の妻である紫の長いウェービーヘアーの

アンナ嬢がいて、


「あれが、ヒミコ様も『始祖(オリジン)』に匹敵(ひってき)すると

 認めた……

 我が夫の攻撃でございます。


 もしまだ彼がヒミコ様の名代(みょうだい)である事に、

 納得出来ない方がいたら―――

 ムサシ様と相対するしかありませんが」


「あ、ちなみに私はゴメンです。


 あの攻撃は、私の『抵抗魔法(レジスト)』でも

 防げませんから。


 希望者だけどうぞ」


彼女の後に私がそう提案すると、ワイバーンと

人間の姿になった者たちも、首をブンブンと

左右に振り、


こうしてムサシ君が正式に……

クアートル大陸のワイバーンの(おさ)と認められたので

あった。




「んん―――


 そろそろ報告者がやって来る頃か」


「多分、この状況を見たら驚くでしょうね」


「とはいえ、今回ばかりは本当に想定外

 ですから」


どこかの酒場の一室……

密室ともいえる空間で、複数の男女の声が

交わされ、


そこにノックの音が響く。


「また、すっかり出来上がっていますね」


ゲームの忍者やアサシンのような衣装に

身を包んだ男は、その様子を見てこぼす。


「仕方ないでしょー」


「毎度毎度、最高機密というかレベルが

 高い問題ばかり、上がってくるんだから」


「じゃあ機密会議という名の飲み会兼

 グチ会を始めるとしましょうか」


彼らの顔は薄闇に包まれよく見えなかったが、

疲れているのは確かなようで、


「では始めます。


 アイクェル大陸―――

 今は辺境大陸と一般に呼ばれている

 ようですが、


 亜神(デミゴッド)・フェルギが復活したのは

 間違いないです」


彼らの議題は、現在は主に公都『ヤマト』で

過ごしている、フェルギについてで、

(■246話 はじめての いせき

■247話 はじめての でみごっど参照)


「ずいぶん前に封印が解かれたと聞いています。


 なのに、争乱(そうらん)や何らかの騒動(そうどう)一つ、起きた

 という情報はありません」


「500年前……

 あいつ以外の創世神の配下を出来る限り

 集めて、何とか封印したのだが」


「目覚めたら災害クラスの魔法を使う

 者ですよ?


 それが何もせず大人しくしているわけが

 ありません。


 最悪、辺境大陸を支配下に置いてから

 動き出そうとしているとか―――


 それで調査結果はどうなったのですか?」


すると黒装束の報告者は一枚の紙を取り出す。


「これは、ずいぶんと精巧(せいこう)な絵ですね」


「辺境大陸で開発された魔導具で、写真と

 呼ばれるものです。


 また長時間記録出来る映像の魔導具も

 ありましたので、それで記録してきました」


他の報告者以外のメンバーもそれをのぞき込み、


「でもこれがどうかしたのですか?

 ただの子供がお菓子を食べているだけの

 ように見えますが」


「ずいぶんと可愛い衣装を着ているのね。

 ……あら?

 でもこの子が着ている衣装、どこかで

 見たような気が」


そこで黒装束の報告者は口元の(おお)いを

脱いで、


「はい。その少年が亜神・フェルギです」


そこで室内の時間が凍り付いたかのように

停止する。


「は? え? お?

 あ!

 でもこの衣装、確かにあやつのだ!!」


「いやいったい何があったのだ!?

 封印が解けた際、何かトラブルでも!?」


「何でフツーにお菓子食べているのよ!!」


元から室内にいた複数の男女は、口々に驚きの

言葉を発する。


「公都『ヤマト』という人口1万人程度の

 都市でしたが―――

 どうやらそこに溶け込んでいるようです。


 その写真は、お菓子の宣伝に出て欲しいと

 頼まれたようで……

 他にも、その膨大な魔力は健在なので、

 魔力を溜め込む魔導具の補充にも呼ばれて

 いるとか」


それを聞いた彼らはいっせいに頭を抱える。


「いやいやいや……

 何がどうしてこうなったのだ?


 『永遠の闇(エターナルダーク)』を始め、

 『大地の爪跡(アースクラッシュ)』、

 『真炎の業火(ゲヘナフレイム)

 『破滅の冬(フィンブル)』など、

 強力無比の魔法を使う破壊者だぞ!?」


「こうして見ると普通の子供と変わりませんね」


「よほど居心地(いごこち)が良かったのでしょうか―――」


困惑しながらも彼らは現状を何とか把握(はあく)

そして分析しようとして、


「はっ!! そうだ!!


 確か封印が解けた時に備えて、ヤツを自動的に

 抹殺(まっさつ)するゴーレムを設置していたはず!


 それが起動すれば……!」

(■247話 はじめての でみごっど参照)


「そんなあなたにはこの魔導具の映像を」


黒装束の男が映像記録用の魔導具の

スイッチを押すと、


『はっ放せ!!

 抱っこしてもらわなくても、俺様は

 歩いて部屋まで行ける!!


 特にお前は俺様抹殺用のゴーレム

 だったから怖いのだ!!』


『あー、レムちゃん。

 フェルギちゃん終わったら、

 向こうの子供たちもお願いー』


『はーい』


そこには、亜神・フェルギを抱えるようにして

運ぶレムと、それに指示を出すリベラ所長が

映っていて―――


「いやーーー!!

 お世話されてるうぅうう!!


 しかも仲悪くないっぽいー!!」


「ていうか待ってください!

 このゴーレム、単純にフェルギを追跡・

 抹殺用に作ったものですよ?


 それが何で普通に自我を持って普通に

 しゃべっているわけ!?」


「何がどうなっているのー!?」


その映像を見せられた男女は発狂せんばかりに

驚くが、


「映像にはまだ続きがあります」


「いやーーー!!

 見たくなーい!!


 知りたくなーい!!」


そしてそのまま動画が流れ続けると、

その中に5、6才くらいのベージュのような

薄い黄色の、巻き毛の短髪を持つ少年と、


続けて17、8歳と思える外見の、

エルフのような長い耳に……

白と金の中間の色をした長髪をした少女が

登場し、


『まあ外見上、そういう扱いになるのは

 仕方が無い。

 ちなみに()はもう慣れた』


『いいじゃん、そのままの姿で可愛いしー』


『フィリシュタも他人事だと思ってなあ』』


保護者のような女性が、小さな子供2人を

あやしているような光景に彼らは見入るが、


「ん―――


 待てよ? この女もどこかで見たような」


「待って。

 フィリシュタ……魔界王フィリシュタ!?」


「数百年前に地上を侵略しようとした、

 あのフィリシュタか!!」


そしてそのまま食い入るように映像を見続け、


『しかしマギアよ。

 お前には魔族領があるのだろう?

 こんなところで油売っていてもいいのか?』


『一応、仕事で来ているのだ。

 魔族領とユラン国の間に、地下で『鉄道』を

 通しているのだが、


 自然環境が厳しいところや、川や湖の下を

 通したいという国々が興味を持ってな』


『魔界も地上の事は、魔族領に一任して

 いるからねー。

 というわけで私も付き添い』


『お主はどうせ『神前戦闘(プロレス)』に出る

 ついでであろうが』


そんなやり取りを聞いていた複数の男女は、


「ねぇ―――


 このマギアって、もしかして魔王マギア?

 かつてアイクェル大陸で人間の連合国と

 戦ったという」


「確か封印されていたはずだが……

 こちらも解放されたというのか?」


「魔王と魔界王と亜神―――

 人類の脅威が揃って仲良く手を組んで、

 何でまだ世界滅んでいないの?」


そこで報告者の黒装束の男が片手を挙げて、


「いえ、俺もこの公都『ヤマト』で滞在して、

 いくつかの情報を得たのですが。


 他にもドラゴンやワイバーンが人の姿になって

 共存していて……

 ラミア族、ハーピー族、精霊、獣人など、

 各種様々な種族がおりました。


 人間に対する敵意や憎悪は見られません

 でしたね」


そこで報告者以外の男女は考え込み、


「う~む。


 その多種多様な種族の微妙なバランスの上に、

 共存が成り立っているのでは」


「だとしても、とても危ういです。


 規格外という次元ではない力の持ち主、

 それが気分次第で敵になるという事を

 考えると」


「そ、それで―――

 報告はそれだけですか?」


黒装束の男はその質問に口を開き、


「あと、その公都には『境外(けいがい)(たみ)』と

 思われる男がいるようです。


 その映像に出て来た魔界王や魔王、亜神とも

 付き合いがあるようなのですが」


「その男の、の、能力は?」


恐る恐る1人が報告者に聞き返すと、


「広範囲魔法とか、攻撃的な魔法では

 ないようです。

 一応、その公都の冒険者ギルド所属ですが、

 そこの模擬戦でも勝ったり負けたりしている

 ようですし。


 どちらかというと、元いた世界の料理や

 生活様式を取り入れる事を中心にやっている

 ようでして。


 悪い噂は聞きませんでしたね。

 すでに現地の者と所帯を持っていて、

 信頼も厚いとの事」


それを聞いた男女はまた考え込み、


「まあ、それなら……

 そちらは警戒する必要はない、か?」


「どちらにしろ、魔王・魔界王・亜神の前では

 たいした問題ではあるまい」


「あなたは引き続き、調査を続行して

 ください。


 特に亜神の動きに注意を―――」


「ハッ!」


それを聞いた黒装束の男が退室すると、


「……どうする?」


「どうするって、どうにもならないでしょ」


「明日から対策会議を連続でスケジュール

 入れないと―――


 じゃあ飲むか、いつも通り」


そこでやっと一段落したというように、

彼らはため息をつき、


「しかし、これだけの危機に……

 創世神様は何をしておられるのでしょうか」


「あの方は確かに基本、この世界に

 関わらないが―――

 限度ってものがあるだろ」


「こちとら、元人間上がりなんですよぉ~。

 不老不死になったところで、精神的な

 部分は人間なんですからぁ~」


「いくら創世神様の配下になり、この世界の

 秩序を裏から見守っているとはいえ……

 もう少し手伝って頂きたいよなあ」


彼らの正体は亜神・フェルギと同様、

創世神の配下と認められた者たちだったが、


そんな彼らが抱く危機などどこにもない事を、

知る由も無かった―――




「ふう、やっぱり我が家が一番かな」


「まあ今回のは、引き延ばしになっていた

 問題を片付けただけだしねー」


私とメルはそんなやり取りをしながら、

リビングでくつろぐ。


数日後、辺境大陸のウィンベル王国……

その公都『ヤマト』の自宅兼屋敷に戻っていた

私と家族は、一息ついていた。


「これでシンイチとリュウイチのお世話に

 専念出来るのう」


「あーでも、公都『ヤマト』婦人会?

 あそこでもシンちゃんとリュウちゃん、

 大人気らしくて。


 引き取りに行ったら、すごく残念そうな

 顔してたなー」


アルテリーゼとラッチが、息子である

赤ちゃんの面倒を見ながらそう語る。


実際、シンイチやリュウイチを預けるのは

児童預り所がメインだが―――

時に婦人会のみなさん、時に冒険者ギルドと、

今の預け先の選択肢は多い。


『子供は地域みんなで育てるもの』、

という概念が一般化してきており、

一昔前、貧しかったら子供を奴隷として

売らなければならないのが普通だった頃に

比べると、隔世(かくせい)の感がある。


「まあこれでしばらくは子育てに集中

 出来るかな」


「もう何か、抱えている問題は無いでしょ?」


人間の方の妻が意地悪そうに笑うと、


「別に抱えているというか……

 何かあったら持ち込まれるんだから、

 それはしょうがないよ。


 まあただ、今これと言って何か相談されている

 事は無いから―――」


「相手次第だしのう」


「まーおとーさんがいれば、たいていどうにか

 なっちゃうからねー」


今度はドラゴンの方の母子がそう言って

笑い……

日常が戻ってきた事をかみしめた。




「??

 調査、ですか?


 でもそんな依頼、他の冒険者たちでも

 出来るのでは」


後日、私は呼び出された冒険者ギルド支部で、

そこの最高責任者と話していた。


「そう言うな。

 お前さんをご指名なんだよ。


 この依頼、ちょっと国も絡んでいてな」


アラフィフの、筋肉質のギルド長―――

ジャンさんはその白髪交じりの頭をかきながら

そう答える。


「正確には……

 ウィンベル王国と魔族領、ユラン国が影響

 してきます。


 正式な依頼主はウィンベル王国ですけど」


「???」


ライトグリーンのショートヘアに丸眼鏡の、

タヌキ顔の女性が書類を片手に話し、

私が首を傾げると、


「まあその―――

 魚醤(ぎょしょう)を作っている東の村と、

 西のドーン伯爵領とブリガン伯爵領の間の

 新規開拓地があったッスよね?


 そこと公都『ヤマト』を……

 鉄道で繋げよう、っていう計画が

 浮上したんスよ」


黒い短髪に褐色肌の、長身の青年が語るも、

それでも自分の理解が追いつかず、


「鉄道の延伸(えんしん)の話ですか?


 ですが、それがどうして魔族領、ユラン国が

 絡んでくるのか―――

 ウィンベル王国の話ですよね、コレ?」


どうしてもわからない、というように

私が両腕を組むと、


「魔族領とユラン国は……

 地下を走る鉄道で繋がっている、という話だ。


 それをこちらでも導入するという事らしい」


ジャンさんの説明に、ようやく話が繋がる。

そういえば、確かそんな事を言ってたっけ。


「普通の鉄道を通したところで、公都から

 どちらもたった一駅ッスからね」


「距離もそんなにありませんし―――

 速度も要求されません。


 それなら、地下で通した方がいいだろう、

 という事になったそうです」


レイド君とミリアさんが続けて補足する。


「でもそれがどうして私に調査を?」


「この国初の導入という話だからな。

 それに鉄道自体はお前さんが持ち込んだ

 ものだろう。


 だから話を通すのと同時に……

 お前さんに任せれば安心、という理由が

 半々だと思うぜ」


ギルド長の答えに私は微妙な表情となる。


「ですがそれなら―――」


「わかっているッス!」


「なるべく他の冒険者を使う事、ですよね?」


私の要望をわかっているというように、

次期ギルド長夫婦が息を揃えて語る。


実際、私は雇用促進を図るため……


・自分を使わなくてもいいような依頼は、

なるべく他の冒険者に回す。


・もし自分の指名が来ても、危険性が無いので

あれば、なるべく多くの冒険者を一緒に使う。


という条件をギルドに相談、要請し―――

多くの冒険者に仕事が行き渡るよう、

調整してもらっているのだ。


確かに、今の冒険者たちは定期的な収入を

得られるようになってはいるが……

それは私が関わる事業や商売からの依頼に

限定されており、


それ以外からの依頼は、彼らに取っては

臨時収入、いい稼ぎになるのである。

(■137話

はじめての ばんがいへん その1参照)


「そういう事なら、まあ……


 しかし、いつの間にそんな話が」


「あー、フラーゴル大陸だっけ?

 あっちにシンが関わっている間、魔族領から

 マギア様が来たりしていたんだよ。


 で、だいたいのルートは調査済みなんだが、

 地下となると何があるかわからんからな」


ジャンさんの話に私はうなずく。


地下だからといって魔物が出てこない

保証は無い。


アース・モールや、グランド・ワーム、

巨大オケラビックモール・クリケットなんてものも

いたっけ。

(■89話 はじめての もぐら

■92話 はじめての わーむ

■164話 はじめての よげん参照)


魔族領とユラン国を結ぶ、いわゆる地下鉄は、

魔族と一緒に進めただろうから問題は無かった

だろうけど、


こっちは人間中心で進めなければならない

からなあ。


公都にドラゴンやワイバーンはいるけど、

あの巨体が入るほどの穴を掘るわけにも

いかないだろうし―――


何より地中を掘って出来た空間で、強力な

攻撃魔法というのも危険なんだよな。


そういう意味では、適度に人間サイズで

対処出来る魔族だからこそ、地下鉄を

問題なく作る事が出来たのかもしれない。


「わかりました。


 別に遠出というわけでもありませんし……

 あ、出来れば土精霊(アース・スピリット)様に同行してもらった方が

 いいかも知れませんね」


「そうッスねえ」


「そこはお任せします」


レイド君とミリアさんの言葉を肯定し、

私は頭を軽く下げ、そして依頼を受ける事が

決まった。




「ある程度離れるんですね」


「公都の地下は、下水道関係の穴が

 張り巡らされておりますので―――

 直接乗り込む事が出来ないと判断されました」


後日、私は担当者から現場に案内されつつ……

詳しい状況を聞いていた。


彼によると、公都からおよそ100メートルほど

離れた場所から地下に穴を掘り始め、


そこに地上施設を作っていったん外に出た後、

乗客は石橋を渡って公都内に入るように

なるらしい。


「ワームたちは進路予定の地下から離れるよう

 お願いしました。


 なので少なくとも、あの子たちは出て来ないと

 思います」


サラサラした緑色の髪の隙間から―――

濃いエメラルドのような瞳をのぞかせる、

中性的な10才くらいの少年が地面を見ながら

語る。


「では始めてください。


 周辺は一応、冒険者たちが警戒して

 おりますので」


「わかりました」


そして担当者は作業を開始した。




「今、どれくらいでしょうか」


「そうですね、もうあのあたりまでは

 行ったと思います」


現場監督と思われる担当者が指さした先は、

すでに10メートルほど進んでいて、


「期間的にはどれくらいかかりますか?」


「土魔法の使い手は結構な数を確保出来て

 おりますから……

 通すだけなら5日もかからないんじゃ

 ないでしょうか?」


確か東の村までは、馬車で1日かそこらのはず。

という事は、ほとんど歩く速度と変わらない

ペースで進める感じか。


そういえば、公都がまだ町だった頃、下水道を

通してもらった時も、10日くらいで出来るって

言われたし。

それよりも多くの人数でやっていると

言われたら、その期間も納得出来る。


そんな事を考えていると急に周囲が

騒がしくなり―――


「え?

 まだ公都周辺だぞ?

 魔物か何か出たのかな?」


私が土精霊様に視線を向けると、


「……!


 地下です!

 何かとぶつかってしまったみたいで」


そして発掘中の穴から次々と作業していた

人たちが飛び出して来て、


「んっ!?」


そこから四足歩行の獣のような姿が飛び出す。


それは顔にアイシャドウのような黒い線が

入っている、イタチかフェレットのような

外見で、


「ジャイアント・アナグマ(バージャー)です!


 冬ごもりしていたところに、穴が通って

 しまったのかと」


「い、意思疎通は?」


私の問いに彼は首を左右に振る。


「恐らく、冬ごもりで眠ったまま、

 起きそびれた個体でしょう。


 今はエサでも何でも、魔力補充の事しか

 考えられないと思います」


要は冬眠明けの熊みたいに腹ペコって事か。

しかもかなりデカい。

体高だけでも見上げるくらいの大きさだ。


仕方が無い。

作業員や冒険者たちの安全が最優先。

幸い、彼らは混乱しながらも遠巻きに避難

しているようなので、


「そのサイズで、その四肢で―――

 自重を支える事など、

 ・・・・・

 あり得ない」


私がそう小声でつぶやくと、


「ピギュウゥウッ!?」


前足と後ろ足が折れたであろう痛みに

悲鳴を上げ……

獣はその巨体を横たわらせた。



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

本作品は毎週日曜日の16時更新です。

休日のお供にどうぞ。


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お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

こちらもよろしくお願いします。



【異世界脳内アドバイザー】

https://kakuyomu.jp/works/822139838651832184


【女性冒険者パーティーの愛玩少年記】【完結】

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ネオページ【バク無双】【完結】

https://m.neopage.com/book/31172730325901900


【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894


【指】【完結】

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【かみつかれた】【完結】

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パズルゲーム)

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https://annminkiriga.github.io/game04/

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― 新着の感想 ―
地下鉄なんて作るのも維持するのも大変ではないかなと思っていたけど、この世界には魔法があったか。
(*ゝω・*)つ★★★★★  サブタイトルからモグラ系モンスターに出会うかと思いましたが、なるほどw 意思疎通が出来ないとは不幸なヤツですねw
感想一覧
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