306・はじめての ゆーま
|д゜)UMAは今までにもたくさん出て来た
ような気がする(今は考えない)
「モトリプカについて聞きたい……と?」
「ええ。
ゼレクト様にたずねたところ、
自分よりも詳しい方がいると聞いて―――
手配して頂きました」
ザハン国商業都市・スタット……
そこの裕福そうな人間が集う地区にある
お屋敷で、
真っ白い眉毛にヒゲの、人の良さそうな
老人が―――
赤毛の、恰幅のいい女性と
語り合う。
その女性の両側には、細身の男と……
さらにその男よりも痩せた男が座っていて、
そして老人の背後には、屈強なボディーガードと
思われる男性2人が立っていた。
「現在、メナスミフ自由商圏同盟の中で、
辺境大陸を巡って―――
強硬派と穏健派に別れている事は知って
おりますわ。
その強硬派の中でも先鋭のモトリプカ……
もちろんこちらも独自に調べますが、
事前情報はいくらあってもいいので」
元マフィアの女ボスであったブロウは、
微笑みながら問いかけ、
それを両隣りのジャーヴとユールは、
固唾を飲んで見守る。
「ふむ。
逆に聞くが、どれくらいの事を知って
おるのですかな?」
ベルマイヤの問いに、今度はブロウの元部下が、
「我々の調べでわかっている事は―――
人間が治める国である事、
奴隷は人間・亜人・人外問わず。
特別な魔導具で奴隷契約を結ぶ事、
隷属化させた相手がどれだけいるか、
が権威や身分の基準となっている事。
初代国王はそれを使って、奴隷を傭兵化して
今のモトリプカを統一した。
……これくらいでしょうか」
ジャーヴの答えに好々爺は笑いながら、
「あなたたち、別の大陸の人間であろう?
よくぞそこまで調べあげたものだ。
まあ概ね、それで合っておる」
「合格点はもらえたかしら?」
元マフィアの女ボスが聞き返すと、ウンウンと
満足そうにベルマイヤはうなずく。
「では―――
今度はそちらが知っている事をどうか」
ユールが続けて先を促すと、
「ふむ、そうじゃのう。
まず特別な魔導具で奴隷契約を結ぶ事だが、
それは一握りの人間だけが使えるらしい。
かなり強力な魔導具でな。
ほぼ自我が無くなると聞いておる」
そこでブロウは首を傾げ、
「洗脳魔法ですか?」
「それに近いとは思う。
ただ、それだと高度な知的労働は出来ん。
記憶力だって必要だろうし、人形のように
扱うのならそれこそ力仕事にしか使えん」
老人は彼女の問いにヒゲをなでながら答え、
「それとあそこの初代国王がモトリプカを
統一した際、そんな魔導具は無かったと
分析しておる。
それがあるのであれば、どんな手を使っても
搦め手で、それを使用した方が効率が良い。
もしくはあったとしても効力が弱かったとか、
そんなところではないかな」
ベルマイヤの言葉に一同はうなずいて同意する。
確かに、契約さえすれば隷属化出来るというので
あれば……
騙そうが脅そうが、そうした方が遥かに楽だ。
「制限があるという事でしょうか」
ジャーヴがそう問うと、
「おお! いい線をいっておる。
第一、契約出来るだけで奴隷化出来るので
あれば、国交を交えて他国を占領する事も
容易かったはず。
同盟でも商売でも、契約とそれにサインする
人物はいただろうしな」
若手を指南する先達のように、彼は目を細める。
「何と言いますか、聞けば聞くほどぶっそうな
国のように思えるのですが―――
そのような国を、メナスミフ自由商圏同盟は
どうして加盟を許したのでしょうか」
今度はユールが疑問を呈するが、
「そりゃあ、自由商圏同盟の方が得る物が
大きかったからであろう。
売り時と買い時、条件を考え……
商いが成立するのであれば、どのような
人物とも組織ともワシらは組むよ」
そこでベルマイヤは、老獪な商売人としての
顔をのぞかせる。
「だけどねぇ。
そんなにオイシイ商売があるのかい?
ザハン国だってそれなりに見て来たけど、
辺境大陸に引けを取らないじゃないか」
ずい、とブロウが身を乗り出して、くだけた
口調になると、
「それがあるんじゃよなあ。
あそこは『最後の手段』じゃから」
「最後の手段、ですか?」
「と言いますと?」
細身の男性2人が、彼女とは対照的に
口調は変えずに聞き返す。
「まあ商売を長くやっておるとな。
どうしても間に合わない、用意出来ないような
状況が生じる事もある。
真っ当にやっていたら絶対間に合わん、
どう考えても不可能―――
そうなったらモトリプカの出番だ」
そこで老人は振り向いて後ろの2人に
手をやり、
「例えば彼らじゃが、ウチで働いてもらって
いるが……
当然、休日は与えられておる。
不眠不休で働け、なんて命令は出せん。
それなりに自由裁量もあるしの。
奴隷だってそうだ。
『効率良く』使うため、最低限の生活や
休息は保証されておる。
だが―――」
「あー、何かわかった。
つまりモトリプカには『無い』んだね?」
元マフィアの女ボスがそう指摘すると、
ベルマイヤの背後の2人の顔がどこか青くなる。
「その分高額ではあるがな。
いくら奴隷を使おうが潰そうが、
とにかく『間に合わせる』ため……
金と信用をはかりにかけ―――
他のメナスミフ自由商圏同盟の国々が
使うのよ。
そういう意味では、重宝するとも
言えるがの」
「いや、しかし……
そんな事していたら、いくら奴隷があっても
足りないでしょうに」
ジャーヴが呆れ半分で返すと、
「だから国民をも巻き込んだ奴隷体制を
敷いておるのだろう。
それに強硬派と言ったが、奴隷取り引きが
一番多かったのはあそこだからな。
よって辺境大陸は警戒どころか―――
敵視されていると言っても過言ではない」
そこで3人は互いに顔を見合わせ、
「やはり影響が?」
ユールが口を開くと、それを聞いた老人は
ゆっくりとうなずいて、
「そりゃあそうだろう。
辺境大陸が四大国との関係を深める中、
クアートル大陸との奴隷取り引きがごっそり
減ったからのう。
恨み骨髄と言ってもいいだろうさ」
そこでブロウが首をひねって、
「だけどねぇ。
それなら、そのモトリプカとやらはどうして
辺境大陸に報復を行わないんだい?
こう言っちゃなんだが……
ザハン国の跳ねっかえりどもより、よほど
動機があるじゃないか」
すると両隣りにいた2人も続けて、
「そ、そうですよ。
それに完全服従させた奴隷たちが
いるんでしょう?」
「こっちで嫌がらせして来いって、
片道切符で何人か寄越しても不思議では」
その指摘に、ベルマイヤは両目を閉じると、
「だから、そちらが先ほど言った通り―――
何らかの制限があるのであろうな。
時間か、もしくは決められた範囲でしか
発動しないとか。
ワシも調べようとしたのじゃが」
老人の言葉に、諜報機関の3人が反応する。
恐らく、彼はザハン国の中でもかなりの有力者。
その彼でもモトリプカは手に余る……
という事だ。
「人を入れたりしたのかい?」
「ああ。
そして何の手がかりも得られなかった。
帰って来ないという事はない。
ただ本当に、何の情報も得られんのだ。
手の内をさらさない相手ほど、
やりにくいものはないわい―――」
元マフィアの女ボスの言葉に、ベルマイヤは
フー、と大きく息を吐く。
「ていうか、ここは商人の国の集合体ですよね?
普通の商人に出入りはあるのでは?
例えば我々のように商人に化けて、
そこそこの情報を持ち帰るとか」
ジャーヴの意見に対し、
「それなら、出入りしている商人にでも
聞けば済む話だ。
そもそも、そういう国だからこそ、
誰も行きたがらんのよなあ。
あちらからは普通にやって来るが」
そこで次にユールが、
「ではその商人に渡りをつけるとか」
「それも無駄じゃった。
よほど情報統制をしておるのか、
国内の事情を深く知っておる者は外には
出さんらしい。
そして少しでも探りを入れようとすると、
そことは付き合いをバッサリと切って
それっきりじゃ。
正直、八方ふさがりじゃよ」
老人の答えに2人はうなり、
「だいたいねぇ、あんたたちが考えるような
事なら、この人はとっくにやっているよ。
しかし潜入だけなら、やってやれない事は
なさそうだねえ。
今の話を聞いていると……」
ブロウがそう言うとベルマイヤの
目の色が変わり、
「やってくれるか?
あ、いや。
そもそもワシにモトリプカの情報を聞きに
来たのに、こういう事を依頼するのは
おかしいかも知れんが」
「いえ、何度も言うようだけどさ。
事前情報はいくらあっても足りる、という事は
無いからねぇ。
今後もいい取り引きをしたいし、
その情報はあんたと共有する事を約束するよ」
そこで商談成立のような雰囲気となり、
同室の若い男性陣4人はホッとした表情になる。
「しかし、そのモトリプカという国―――
一番の強硬派という話でしたが、
そんなに過激な発言をしているんで
しょうか?」
「それは私も気になりました。
反対派の実質上の中心という事でしたが、
別段、それほど極端な主張をしているという
情報も無かったので……」
ジャーヴとユールは気が抜けたからか、
雑談がてら気になっていた事を口にすると、
「そこがあの国の食えぬところよ。
最大の反対派の国である事は誰もが
承知しておる。
奴隷や亜人・人外に寛容になって、
最も損をする国である事もな。
だが、公式に表明しているのは―――
『急激な方針転換には反対せざるを得ない』
ただこれだけだ」
「本当に厄介な国だねえ。
そういうところが一番怖い。
一見すると慎重に見えるだけってのが特にね」
「反対派の国々も、モトリプカが矢面に
立ってくれているとでも思っているの
だろうが……
下手をすると向こうについている連中、
一気に持っていかれるかも知れん」
それぞれのトップ同士の話に、ブロウの
両側と、ベルマイヤの後ろにいる男たちの
喉がゴクリと音を立てる。
「それじゃ、まずは行ってみるとするかね。
土産話を待っていておくれ」
「ああ、期待しておるぞ」
そしてブロウとベルマイヤは握手を交わし、
3人はロックウェル家を後にした。
『って事で、本格的にこっちでモトリプカを
調査するって事になった。
で、シン。
どこか注意するところとか、ここは調べた方が
いいとかあるか?』
公都『ヤマト』のとある日―――
私は冒険者ギルド支部に呼び出され、そこで
ライさんから魔力通信機で相談を受けていた。
「……とは言われましても。
しかし意外ですね。
もっと強烈に反発していると思って
いましたのに」
「そこはまあ、国が表立って止めやがれとか
死ねとかは言わんだろう。
ただ、ロクでもない国には違いなさそうだ」
アラフィフの、筋肉質のギルド長が苦笑しながら
話し、
「でも確かに、そういう国なら海の向こうでも
刺客とか送り込むくらいはしそうッスね」
「完全に隷属化出来る奴隷がいるのに―――
それをしないのは制限があるから、ですか。
持ち運び出来ない魔導具でも使って
いるんでしょうか?」
褐色肌の、黒の短髪をした長身の青年と、
その妻である、ライトグリーンのショートヘアに
丸眼鏡をかけたタヌキ顔の女性が私見を述べる。
『それも含めての調査だ。
それに、シン。
お前さんの知識で言えば、こういう場合
何に気を付ければいい?』
ライオネル様から再び質問が来るが、
正直、諜報機関に注意する事なんてあちらでも
学んだ覚えは無いし。
「そんな事を言われましても……
月並みですけど、そのメナスミフ自由商圏同盟
各国の中で―――
モトリプカだけ違うとか、異なる部分を
見つけてきてください、としか」
それくらいしか思い当たらないなあ、と
適当な返しをすると、
『ふむ。確かにそりゃ重要だな。
わかった、『見えない部隊』にそれも
伝えておこう。
あとまあ……
いざという時にはお前さんに依頼が行くと
思うから、それは留意してくれ』
そして魔力通信機は切れ、
「おう、次はメナスミフ自由商圏同盟で
ひと暴れか?」
「好きでやっているわけじゃありません!
ていうか暴れた事なんて無いですよ!!」
ジャンさんのツッコミに思わず反発し、
「そうッスよギルド長!」
「シンさんはただ、静かに爆発してくる
だけですよね?」
レイド君とミリアさんのツッコミにも
頭を抱える。
「いやなんなんですか、その静かな爆発って
いうのは!?」
するとギルド長が天井を見上げて、
「いやだってなあ。
たいていの問題は、お前さんを放り込んで
くりゃ解決するし―――」
「問題解決爆弾ッスか。
言い得て妙ッスね」
「物理的に相手が大人しくなるまでが
セットです♪」
3人が親子のようにそろって笑顔になる。
そして反論のしようが無いのもなんとも。
「まあそんな顔するなって。
それより、そろそろ昼だ。
何か食いに行こうぜ」
「うーん。でも寒いですし……
あ、そういえば冒険者ギルドの食堂って
職員しかダメなんですか?」
「いや、そんな事ないッスよ?
それにシンさん、ウチ所属の冒険者ッスよね?
それなら大丈夫ッス」
「今日は何だったかしら―――
あ! 担々麺の騎士団セットだったはず!」
(ラーメン+ギョーザ+チャーハンのセット)
そこで私はふと首を傾げて、
「そういえば、最初は騎士セットって
呼ばれていませんでしたっけ、それ」
(■133・はじめての さいかいきぼう参照)
「ん? そうだっけか」
「そっちの方が語呂が良かったんじゃ
ないッスか?」
「美味しければいいんですよー!
では行きましょう~」
そして4人で食堂へ向かい……
しばらく子供の事で情報交換した後、
私は自宅の屋敷へと戻っていった。
「こっちですか」
「はい。
こんな寒い季節に、わざわざシン殿に
来て頂いて申し訳ございません」
四角い顔のアラフォーの男性が私に頭を下げる。
この方はエドガー・タリス伯爵。
以前、娘が首輪型の魔導具を着けられ、
それを解除した事があるのだが、
(■257話 はじめての とりたて参照)
私たちは家族と一緒に、その領地まで
やって来ていた。
実はあの後、ジャンさんたちと昼食を
とっていた時に、不意に、
『おう、そういやお前さんに話があったんだ』
と、ギルド長が説明し始め―――
何でもタリス伯爵の領地で、雪山近くで
大きな魔物の影を見たとの報告があり、
伯爵が調査依頼を出してきたので、
顔見知りという事もあって……
私が出向く事になったのだ。
「おー、一面真っ白だねー」
「見事なものよのう」
アジアンチックな童顔の妻と、ドラゴンの方の
欧米モデルのように彫りが深い妻が、それぞれ
感想を語る。
ラッチも来ていたが、彼女はタリス伯爵の
妻子、モニカ夫人・ルミナ様と一緒に、
伯爵家の屋敷で待機している。
(シンイチとリュウイチは、冒険者ギルド支部に
預けて来た)
そしてもう1人……
「ふぅん。
確かに、妙な気配がするわね」
透き通るような白い長髪に、和風の着物を
身に着けてた女性が周囲を見渡す。
「あの、彼女は―――
『雪女』という事でしたが」
「ええと、精霊様と思って頂ければ」
彼女は、ドーン伯爵領での怪異の調査で
発覚した、氷精霊様を分身として作った
人なのだが、
(■294話 はじめての ほてん参照)
今ではすっかり公都『ヤマト』に居つき―――
時折、氷精霊様を元の住処である山に
派遣し、
自分は『神前戦闘』の女子枠に出場したりして、
公都ライフを満喫していた。
そんな彼女に今回の件を相談したところ、
好奇心も手伝ってか同行してくれたのである。
「それで、雪女さん。
妙な気配というのは」
私がおずおずとたずねると、
「何よー。
精霊が様付けで、わらわはさん付けなの?」
と、呼び方について絡んで来て、
「まあそれは慣れかなー」
「そんな事より、何がわかったのだ?」
メルとアルテリーゼがフォローしてくれ、
「うん、まあこりゃアイツだね。
時々出てくるんだよなー、あの猿」
彼女がアゴに人差し指をつけながら答える。
「猿……ですか?」
「そ。お猿さん。
ただ雪に特化しているかどうかわからない
けど、かなり強かったような記憶が」
雪猿か。
日本だと寒い冬に温泉につかる猿が、
そう呼ばれている。
そしてゲームではある意味、定番の
モンスターではあるけれど。
「危険、ですか?」
タリス伯爵が心配そうな表情で聞くと、
「まあ危険っちゃ危険だねえ。
アイツ、雪や吹雪の中じゃ無類の強さを
誇るし」
「意思疎通は―――」
私がそう聞くと、目を糸のように細める。
あ、ハイ。わかりました。
「場合によっては、シン殿たちに倒して
もらうかも知れません。
こんな中、ご足労頂いて悪いのですが」
申し訳なさそうに伯爵が頭を下げる。
かつて娘を救った事があるからか、それとも
元から礼儀正しいのか……
貴族にしては腰が低い方だ。
「まあでも、今は『鉄道』ですぐだからねー」
「こっちでは少し降っていたので驚いたが、
あんな雪の中でも動くものなのだな」
妻たちが感心してそう話す。
実際、雪対策というのはやっていて―――
維持管理として、冬季の間だけ地元住人を
『鉄道』管理部門が雇っているのである。
その方法は単純に、人を使っての人海戦術。
そう、雪かきだ。
地球では考えられない方法だが、何せここは
異世界。
基本、全員が身体強化を使えるので、
雪が降った場合は各駅に魔力通信機で
連絡が行き……
前線は一晩で、全て除雪されるのである。
さらにタリス伯爵領は『鉄道』沿線の土地。
なのでスムーズにここに来る事が出来たのだ。
「しかし、伯爵自ら案内とは―――」
私が彼にそう質問と疑問を向けると、
「住人から相談を受けて、何度が足を
運んでおりましたからな。
それにワシならば人件費も出ないでしょう。
節約ですよ、節約!」
そうイタズラっぽく笑う。
同時に、自分の足で現場に向かう……
それは指導者としてすごく評価出来る事だ。
何もかも人任せにはせず、自分の目で
確かめる―――
なるほど、ラーナ・ルトバ辺境伯令嬢が
認める人物なだけはある。
それに、滞納した税金を納める、という
事情もあるはずだし。
「じゃあ雪女さん。
気配がする場所ってわかる?」
「もっちろん!
じゃ、さっさと終わらせましょう。
帰ったら風呂風呂!
美味しいものもお願いねー♪」
そう言って軽やかな足取りで山に向かう彼女に、
みんなで苦笑しながらついていった。
「あり!? もう!?」
そして30分も歩かないうちに、雪女さんが
声を上げる。
「もう、とは?」
私が聞き返すと、
「いや、普段はもっと山中にいるはずなんだよ。
それがこんなふもとに……
あー、こういうのヤバいんだよなー。
そういや、人に頻繁に目撃されていたって
話だったしなあ。
そっかー、そういう事かー」
自分で話して自分で納得しているけど、
どうも危険性は高まったらしい。
同時に地響きがして、
「な、何?」
「地震?」
メルとアルテリーゼが驚いて周囲を見渡す。
すると伯爵様が、
「シン殿! あれは!」
彼の指差す先、そこには巨大な影があり、
「猿!?」
「あれが雪猿か?」
同時に確認したであろう雪女さんは、
ハー、とため息をついて、
「よりによってコイツかぁ~……
雪男王じゃないか」
私もその姿を目にし、それは地球でいう
ところのUMA、雪男だと確信する。
ただその身長たるや、4・5メートル
ほどあり―――
「そんなに強いんですか?」
「コイツ、寒さはおろか火などの熱さにも
強いんだよ。
しかも怪力でさー、その上何でも食らうんだ。
こんなのが人里まで下りたらたまらんよ?」
彼女の説明に、タリス伯爵様の表情が
険しくなっていくが、
「んー、じゃあ伯爵様をお願いー」
「こっちは我らで何とかするでの」
妻たちがそう言うと、雪女さんはタリス伯爵様を
後方に下げて、距離を取り始める。
そして十分離れたところで、
「二足歩行する哺乳類で……
その手足のサイズ比で、重力に負ける事なく
体を支えるなど、
・・・・・
あり得ない」
そう私がつぶやくと、
「ギュオオォオッ!?
ギュオオォオオオオッ!!」
その場で雪男王は足を骨折したのか、
うつ伏せに倒れ、
「じゃあアルテリーゼ、お願い」
「わかったぞ」
その後、ドラゴンの姿となった彼女に、
首筋にキバを立てられ、
魔物はその生涯を終えたのであった。
( ・ω・)最後まで読んでくださり
ありがとうございます!
本作品は毎週日曜日の16時更新です。
休日のお供にどうぞ。
みなさまのブックマーク・評価・感想を
お待ちしております。
それが何よりのモチベーションアップとなります。
(;・∀・)カクヨムでも書いています。
こちらもよろしくお願いします。
【異世界脳内アドバイザー】
https://kakuyomu.jp/works/822139838651832184
【女性冒険者パーティーの愛玩少年記】【完結】
https://kakuyomu.jp/works/16818093088339442288
ネオページ【バク無双】【完結】
https://m.neopage.com/book/31172730325901900
【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】
https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894
【指】【完結】
https://kakuyomu.jp/works/16817330662111746914
【かみつかれた】【完結】
https://kakuyomu.jp/works/16818093073692218686
【ロートルの妖怪同伴世渡り記】【完結】
https://kakuyomu.jp/works/16817330666162544958





