303・はじめての いらいしっぱい
|д゜)シンの事ではないです(依頼失敗)
「す、すいやせん。
俺たちまで乗せてもらえるなんて」
「いやあ、私は初めてではありませんが、
やはりすごいものですね」
元傭兵団のリーダーである、2メートル超の
薄いダークブラウンの短髪の男性と、
小太りの商人が『乗客箱』に乗って、
窓の外を見ながら語る。
狂リスに襲われていたサンチョさんと、
その護衛をしていたラジーさんたちをあの後
どうするかで悩み、
このまま護衛としてライシェ国まで
付き合うよりも、いっそみんなを連れて
飛んでいってしまおう、という事で、
サンチョさんの馬車はハニー・ホーネットたちで
飛行・運搬してもらい、
また半分ほどのハニー・ホーネットたちが
その役目で『乗客箱』から出た事でスペースが
確保され、
その分の空きに彼らを乗せて……
ライシェ国まで飛ぶ事になったのである。
もちろん、ドラゴンとハニー・ホーネットでは
速度が異なるので、そちらに合わせてはいるが、
全ての地形効果を無視して飛ぶというだけでも、
かなりの短縮となる。
「あとどれくらいになりそう?
アルちゃん」
アジアンチックな童顔の妻が、伝声管を通じて
もう1人のドラゴンの方の妻に問うと、
『2,3時間というところじゃな。
まあ安全運転じゃ』
向こうから返事が来て、
「そ、そんなにですか―――
こちらは、明日か明後日あたりに到着と
見ていたのですが」
「まあそれは、羽のあるものの特権である」
サンチョさんの驚きに、茶色のロングカールの
少女が胸を張る。
その下半身は植物のアルラウネだけど。
「そういえばラジーさんは、ライシェ国に
到着した後どうするんですか?
護衛終了?」
私がふと話題を切り出すと、
「いえ、一応帰りの護衛も頼まれています。
ただ商談で、サンチョさんは5日は滞在する
そうですので……
その間俺たちは、故郷の村に戻ろうかと」
そこで私は『ん?』と首を傾げて、
「ラジーさんたちの故郷って、ライシェ国
だったんですか!?」
「ははは。
まあ辺鄙な村でしたけどね。
傭兵団だった時の連中はほとんどこの国
出身です。
今では『鉄道』もライシェ国に通って
いますから―――
もう2・3回はそれで里帰りしていやすよ」
そういえば、そもそも彼らと出会った時は、
獣人族の子供が行方不明になった件で、
スケープゴートにされそうだから、
新生『アノーミア』連邦から逃げて来たって
言ってたし。
そしてその情報を取引材料として……
ウィンベル王国で落ち着こうって話だった
からなあ。
(■108話 はじめての しょうゆ参照)
「へー、じゃあいずれは故郷に戻るのー?」
メルの疑問に彼らは首をブンブンと左右に
振って、
「いやー、あの公都に骨をうずめるつもり
ですよ。
というか、あそこから離れる事自体、
考えた事もありやせんや」
まあ、何だかんだ言ってあそこが今、
一番生活レベルが高いだろうからな。
生まれ故郷といえど、そう簡単にあそこでの
暮らしを、捨てる事は出来ないだろう。
「それよりシンさん。
俺たち、こうやって助けてもらったお礼を
まだしちゃいないんですが」
そこで申し訳なさそうにラジーさんが
切り出すが、
「こう言っては何ですが、たまたま運良く
見つけられただけですし―――
それに同じ冒険者同士です。
お礼と言っても特には……」
とは言うものの、彼らも何かしらの返礼を
しなければ、後味が悪いのかも知れない。
よし、こういう時は―――
「えーと、ラジーさんやみなさんは故郷に
里帰りするんですよね?」
「へ? へい、違う村のヤツもおりやすが、
往復に2日もかからねえところばかりなので。
それが何か?」
「じゃあ、その土地のもの……
石でも木でも食べ物でもいいので、
それを持ち帰って頂けませんでしょうか。
何か新しい発見があるかも知れませんから」
冒険者たちが『え?』『その程度の事で?』と
いうような表情になるが、
「ラジーさん、シンさんはすごい目利きでも
あるんだ。
地元では何でもないと思っているものでも、
シンさんがそれをその地の特産品や産業にまで
してしまった例もある。
とにかく、何でも持って来てごらんなさい」
商人としてサンチョさんが助言を出してくれて、
「私のは商談の後、一度公都『ヤマト』まで
戻ると思いますので―――
お礼はその時でよろしいですかな?」
「ええ。
商談がうまくいく事を祈っていますよ」
私たちはその後、ライシェ国に到着するまで
雑談に興じ、
目的地に着いた後は、ハニー・ホーネットたちの
移動と巣作りをプリムさんと行うため、当日は
一泊する事にして、
翌日、巣を作る土地を決めた後、公都へ
帰還する運びとなった。
「ホイ、依頼完了。
お疲れさん」
「しかし、狂リスとはまた……
まあ、ウチの冒険者たちに被害が無くて
良かったッス」
公都に戻った私はひとまず、依頼完了を報告
するため、冒険者ギルド支部へ。
(プリムさんはそのまま果樹&各種野菜の
栽培地区へと直行)
そしてジャンさんとレイド君、現ギルド長と
次期ギルド長に確認してもらった後、
「お疲れ様でした。
そういえばラジーさんたち、里帰りですか。
『鉄道』が出来てからというもの―――
どことも一気に距離が短くなった気が
しますね」
ミリアさんも書類を整理しながら、会話に
参加する。
ちなみに彼女はレイド君との子供が出来てから、
子育て休暇を取っていたが……
今は職員寮にも乳幼児用の部屋が出来たため、
少し前から職務復帰している。
「んで、サンチョとやらが帰って来たら、
また報酬か何かもらうのか」
「お金は基本もうあまり必要無いですし、
彼も未発見の物とか持ち込んでくれるんで、
お礼はいらないんですけどね。
ただ商人として、そういうわけにはいかないと
思いますから―――
適当に何か頂いて手打ちにしますよ」
ジャンさんの言葉に私が返すと、
「お礼をそう考える人って、なかなか
いないッスよ」
「でも今のシンさんが欲しがるものって、
思いつきませんしねえ」
2人は夫婦そろってウンウンとうなずきながら
話し、
「じゃあ、後は……
ミレーヌちゃんの顔でも見て行こうかな。
確か、今はここの施設にいるんですよね?」
目的は達した私がそう告げると、
「おう。
ルードやルフィナの顔も見て行け」
「えっ?
ギル君やルーチェさんのところの?
あの2人もここに?」
ギルド長の言葉に思わず聞き返すと、
「あの2人は職員じゃないッスけど、
冒険者の子供の預かりもやっているッスよ」
「あと基本、赤ちゃんや子供はこの公都の
子育てが一段落した方を雇って、任せて
いますけど―――
子供のいる夫婦なら、他の子の面倒も
見る事が出来ますから。
だから依頼が無い場合とかは、そういう
仕事も考えています」
2人の話を聞いてなるほどなあ、と思う。
雇用の幅が広がる事にもつながっているのか。
「だから、お前のところのシンイチや
リュウイチも、いつだって預かる事が
出来るぜ」
「う~ん……
でも今回みたいに遠出する時は、
児童預かり所や自分の屋敷で雇っている、
公都『ヤマト』婦人会の方々にお任せして
ありますので。
ただ、たまには連れて来た方がよさそう
ですね。
他の冒険者の方々に顔見せするためにも」
実際、私の身分は平民で冒険者。
この公都の冒険者ギルド所属のシルバークラス
なのだ。
なので、子供たちにも冒険者たちの顔を、
覚えてもらうのもいいだろう。
まあ、まだ幼児だから覚えるも何も無い
だろうけど―――
それにレイド夫妻やギル夫妻のように、
親となる冒険者や関係者もいる。
家族ぐるみの付き合いはしておくに越した
事はない。
「ちなみに、子供を預けに来る冒険者って
多いんですか?」
するとレイド君とミリアさんが少し考え込み、
「今のところは俺たちと、職員さん
くらいッスけど」
「すぐに増えると思いますよ?
何せ、ブロンズクラスでもシンさん絡みの
仕事を1年単位で契約すれば……
月に金貨15枚が約束されていますからね。
その上ぼーなすとやらもついてくると
あれば、奥さんと子供を養えますし」
そこでジャンさんが苦笑し、
「冒険者ってのはよお―――
その日暮らしが当たり前の稼業だった
はずなんだがなあ。
今じゃフツーに進路の1つに入ってやがる。
まったく、昔じゃ考えられねぇよ」
そう言いながらも、ギルド長はどこか
嬉しそうで、
しばらく歓談に興じた後、ギルドの
子供預かり用の施設に行って……
その顔を見た後、ギルド支部を後にした。
「えっと、どういう事でしょうか」
5日後―――
私は再びギルド支部に呼び出されていた。
ライシェ国に行ったサンチョさんが、『鉄道』で
彼だけ戻って来たらしく、
「そ、それが……
約束の日になっても、ラジーさんたちが
戻らなかったのです」
「えっ、全員!?」
応接室にいたサンチョさんは首を左右に
振って、
「いえ、戻らなかったのはラジーさんと、
彼と同じ村出身の4名ほどです。
他の故郷に戻っていた方が、一応彼らを
呼び戻しに行ったのですが―――
その方も戻って来なかったので」
それを隣りで聞いていたギルド長が片眉を
つり上げて、
「そいつぁちょっとうまくねぇなあ」
「何かに巻き込まれたッスかねえ」
次期ギルド長の青年も両目を閉じて、
眉間にシワを寄せる。
「う~ん……
他に、誰かラジーさんの故郷の村を
知っている人は?」
「そ、それが―――
その知っている人が向かってしまい
ましたので、その」
そこで私も両腕を組んでうなると、
「レイド。
元傭兵団『鷹の爪』のメンバーで、
誰かラジーの故郷を知っているヤツが
いないか聞いて来い」
「了解ッス!」
ジャンさんの指示ですぐにレイド君が動く。
あ、そうか。
確か元傭兵団は30人前後いたし、全員が
あの時護衛していたわけじゃない。
残留組ももちろんいるわけで……
そして待つ事5分ほど、すぐに情報を
知っている元メンバーを連れて彼が
戻って来て、
彼とサンチョさんを連れて―――
アルテリーゼの『乗客箱』にメルと乗り込み、
再びライシェ国へと飛び立つ事となった。
「シンさん!」
「あ、姐さんも!!」
ライシェ国の首都で、残った護衛の方々と
合流し、まず事情を聞く事に。
「お願いです!
団長を助けてください!!」
「団長は無断で依頼を蹴るような事は、
絶対にありません!
何かあったに違いありません!!」
そこで妻たちがなだめに入り、
「まー、落ち着いて」
「故郷の村に向かってから、もうどれくらい
経つのだ?」
その質問に、彼らは頭の中から必死に
情報を探り……
「サンチョさんと別れた当日には、
村に向かいましたから」
「だいたい、9日か10日くらいかと」
「ええ。
私もギリギリまで待ちまして、これは
異常事態だと思って、すぐさま『鉄道』に
飛び乗り、公都に向かった次第」
ふむふむ、と状況を確認し、
「この事、ライシェ国の治安機関へは?」
「い、一応は報告しましたが―――
腰が重いと言いますか」
まあそうだろうな。
盗賊や魔物に襲われた、という情報でも
入れば別だろうけど、
ただ故郷に向かった人間が戻って来ない、
という理由では……
「それに冒険者相手だからか、
『どうせ逃げたんだろう』
『仕事が嫌になって故郷に帰ったのでは?』
とまで言われちまって」
それを聞いて、メルやアルテリーゼと一緒に
『あ~』とため息をこぼす。
ウィンベル王国では今や公都を中心に、
もう冒険者をそういう目で見る人間は減って
いるが、
他国では未だにそういう扱いなのだと、
思い知らされる。
「では、これからすぐラジーさんの村に
向かいましょう。
みなさん、『乗客箱』へ!」
私がそう促すと、
「ありがとうございます!!」
「どのようにでも使ってください!!」
そして商人のサンチョさんだけは待機して
もらい、私たちは一路、ラジーさんの村を
目指した。
「すいません、驚かせてしまって。
私はウィンベル王国の平民で、
シルバークラスの冒険者、シンです」
ラジーさんの故郷の村まで飛んでいったのは
いいが、
ドラゴンが現れた事で村はパニックに陥り、
まず上空を大きく旋回して敵意が無い事を示し、
また、ラジーさんからある程度は私たちの事を
聞いていたのか、『乗客箱』が着陸すると
ようやく落ち着いたようで、
そこでやっと私たちは村長の家で、状況を
たずねる事が出来た。
「あ、あなたがラジーの言っていた、
『万能冒険者』殿ですか。
へえ、ラジーたちは確かにこの村に
帰って来ましただ。
ですが、数日前に山に入っちまって、
戻って来てねぇんです」
村長らしき老人は心配そうに話す。
「??
でもどういった理由で山に?」
「山に何かあるのか?」
妻たちが首を傾げると、
「いや、何でも―――
『恩人への土産に、珍しい物を見つけるんだ』
と言って、お仲間と共に……
山は危ねぇって注意したんですが、
それも聞かずに」
それを聞いて私は思わず天を仰ぐ。
『じゃあ、その土地のもの……
石でも木でも食べ物でもいいので、
それを持ち帰って頂けませんでしょうか。
何か新しい発見があるかも知れませんから』
そう言ったのは私だ。
まさかこんな事になろうとは―――
メルとアルテリーゼも察したのか、微妙な
表情となり、
「し、しかし……
山は危ないってどういう事でしょうか?
何か魔物でも出るんですか?」
気を取り直して私が老人に問うと、
「いや、普通の村人ならそもそも村から
出ないですだよ。
でもラジーたちは、俺たちは傭兵もやって
いたし、今は冒険者で食っているんだからと
聞かなくて」
そういえばそういう世界だったなあ、と
改めて思い出す。
基本、こういったところの人たちは、
村の外に出る事なく人生をまっとうする。
特別な魔法を持ってでもいない限りは、
わざわざ魔物と出会うリスクを冒す必要はない。
彼らもそれなりに腕に覚えがあったん
だろうけど―――
「……わかりました。
直ちに捜索に入ります」
私が立ち上がると、
「どうかよろしくお願いします。
ラジーたちを救ってやってくだせえ」
そう彼に言われ、私たちは村長の家を出た。
「取り敢えず、空から山の様子を窺うか」
私が方針を示すと、
「そーいえばさ、ラジーさんや他のみんなって、
この村では有力者だったとか?」
何気ないメルの言葉に、同行して来た
元傭兵団のメンバーは首を横に振る。
「いや、そうだったら傭兵になんか
ならないです」
「そもそも身寄りが無かったので、村を出て
傭兵になったと聞いています」
それを聞いて今度はアルテリーゼが、
「それにしては、あの村長の頼みようは
尋常では無かったが」
そう疑問を語ると、
「実は、あの公都で冒険者になって以来、
この村に金を送っていたようです」
「これで氷室や浴場を作ってくれと―――
また、養殖用の貝や魔物鳥プルランも、
里帰りで持って行ったと言ってました」
そういえば、と村を見渡すと、公都よりは
劣るものの……
それらしき建物や施設がチラホラと見える。
アルテリーゼで1時間ほど郊外に飛んだから、
それなりの距離はある。
言っては何だが『片田舎』だ。
そんな村にこれだけの施設を作る事が
出来るのは、彼らの支援によるものなのだろう。
だが彼はこうも言っていた。
『公都に骨をうずめる』と。
そんな彼が、ここまで故郷に肩入れする
理由は―――
純粋な善意もあるだろうが、おそらく、
自分と同じような身寄りの無い子供が出た
場合、その面倒を頼む、というのも言外に
入っているんじゃないだろうか。
それがわかっているからこその、村長の
懇願なのだろう。
「何としてでも助けないと」
ぼそっとつぶやいたが、それが元傭兵団の
メンバーに聞こえたのか、
「シン殿!!」
「そう言ってくだれば、百人力でさあ!!」
喜んで気合いを入れる彼らに、私は気恥しく
なって、
「ま、まあ。
私へのお土産でケガでもされたら、
後味が悪いしね」
照れ隠しにそう言うと、さっそく捜索のため
『乗客箱』へと乗り込んだ。
「!
いた! シン、いたよ!!」
山の上空を飛ぶ事30分くらいで、
メルが発見の声を発する。
「彼らは無事か!?」
状態を確認しようと聞き返すと、
「何かフラフラしているー。
生きているのは間違いないみたい」
妻の言葉に、同乗している元傭兵団たちが
ホッとした表情になる。
「アルテリーゼ、魔物とかは」
『ここからじゃよう見えん。
ただ、魔物に襲われていたら、もっと
激しく動いているのではないか?』
伝声管を通して、彼女が見解を伝えてくる。
「わかった。
じゃあ、どこか適当な場所に降りてくれ。
その上で彼らを収容しよう」
『わかったぞ』
そして近場に『乗客箱』が着陸し……
ラジーさんたちの元へと向かった。
「ラジーさん!」
「迎えに来ましたよ……って」
真っ先に元傭兵団『鷹の爪』メンバーが、
彼らのいる場所へと走ったが、
「ラジーさん!?」
「様子がおかしいのう」
私とアルテリーゼも、フラフラとしながらも
こちらに剣や武器を構える彼らに困惑する。
「シン、アルちゃん、奥!!」
この時、メルの言葉に全員が彼らの後ろ―――
森の奥へと注目する。
そこには、キノコの亜人?
のような人型の魔物がいて、
「ありゃ何じゃ、メルっち」
「マイコニドっていう、人型のキノコの
魔物だねー。
多分、アレに操られているんだと思う」
B級映画に出て来そうなその異形は、
煙のようなものを吹き出しながら、
ボスのようにラジーさんたちの後ろに陣取る。
多分、あの胞子だか何かで彼らを操って
いるのだろうが、
「アレと意思疎通は?」
「出来ると思うー?」
両手でバッテンを作って妻は答え、
「じゃあ、まあ……
やるしかないか」
私の言葉に、同行して来た彼らの仲間は、
ビクッと肩を揺らすが、
「ああ大丈夫大丈夫」
「シンに任せておけばよい」
と、メルとアルテリーゼがさり気なく
彼らを下がらせて、
距離がある程度空いたところで、
「人型の姿で―――
胞子、その他の手段で他の生き物を
操る菌類など、
・・・・・
あり得ない」
そう私が小声でつぶやくと、
「…………」
ラジーさんたちが次々と力なくその場に
倒れ込み、
一方でマイコニドとやらは、どうも機動力を
奪うには至らなかったようだが―――
その状況に困惑しており、
「アレ、お土産にもらいますか」
そう私が魔物を指差すと、
「わかりました!!」
「てめぇら、ヤるぞ!!
ラジーさんたちの仇だ!!」
いやまだ死んでないでしょ、というツッコミを
入れる間もなく……
元傭兵団のメンバーがマイコニドに飛び掛かって、
少しボコした後に縛り上げると、
倒れたラジーさんたちを収容。
『乗客箱』で、いったん村まで戻る事になった。
「という事になったんですが」
「なったー」
「ちなみにマイコニドとやらは、
そのままパック殿やシャンタルが
奪うように持っていったが」
2日後―――
ウィンベル王国公都『ヤマト』まで戻って来た
私たちは、
冒険者ギルド支部、その支部長室で事情を
説明していた。
ちなみに帰りは、ライシェ国の上層部が
気付いて動いたらしく、
サンチョさんや護衛のラジーさんたちは
『鉄道』で、
サンチョさんの馬車はワイバーンが空輸して
くれる事が決まり、私たちと一緒に公都まで
運ばれた。
「まあ、災難っちゃ災難だったな」
「しかし、これどうなるッスかねえ」
「ギルドの規定通りなら、依頼失敗。
罰金が科されますけど……」
複雑そうな表情でギルドメンバーが語り、
「いや、でも―――
元はと言えば、私が余計な事を言ったのが
原因なので」
私は思わず擁護する。
ラジーさんたちはすでに公都に戻っているが、
パックさんから安静にすべし、と判断され、
入院している。
まあ、2・3日で回復するとの事だったけど。
「だがそれだってソイツらの判断だろ。
その前にお前さんたちが助けてやらなきゃ、
どっちにしろ依頼失敗だったんだ」
ジャンさんが私を気遣ってそう話し、
「そこまでシンさんが気にする事じゃ
ないッスよ」
「依頼失敗どころか、命の危険すら
あったと思われます。
それも二度も……」
レイド君とミリアさんも、ギルド長に同調して
そう言葉を続けるが、
「それはまあ、そうなんですけど―――」
なおも私が納得しない、という顔をすると、
「そんなに気になるんだったら、まあ、
お土産とやらを高く買ってやりゃどうだ?
罰金は確か……
いくらだったかな?」
「えーと―――
今回は遠距離護衛でしたので、依頼料が
金貨40枚でしたから……
報酬無しの、罰金として金貨20枚です」
ジャンさんの言葉に次期ギルド長の妻が答え、
「うわー、結構持って行かれるッス―――
ね?」
と、なぜかレイド君が疑問形の言葉を発し、
「いやまあ、ブロンズクラスにゃキツいぞ?
……多分」
「と思いますけど―――
シンさんと付き合っていると、
金貨100枚200枚は当たり前って
感覚になりますからね」
父と娘のように2人とも両腕を組んで
考え込む。
ぶっちゃけ、私の自由に動かせるお金は
100万や200万枚じゃないだろうしな。
「ま、そういう事だ。
後味が悪いんなら、何らかの形で補填
してやりな」
「わ、わかりました」
そこで話はまとまり……
私は冒険者ギルド支部を後にした。
( ・ω・)最後まで読んでくださり
ありがとうございます!
本作品は毎週日曜日の16時更新です。
休日のお供にどうぞ。
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(;・∀・)カクヨムでも書いています。
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【異世界脳内アドバイザー】
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【かみつかれた】【完結】
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