目的探し
セドンの町に着いたことをアンジェに知らされる。最近は何をしたいのか考えて過ごしているけど漠然としてるな。
こういう時は先入観のない人に聞いたほうがいいか。
「なあ、過ごしやすい所ってどんな感じだ?」
「そうですね、やはり御主人様が居られる場所なら」
「わたしもご主人様がいるならどこでもついてきます」
うーん。嬉しいけど進展がないな。肩を突かれてるけど考えるのに邪魔だな。
嫌な場所から消してくか。なんかどっかの探偵が、あり得ないのをあり得ないなんてあり得ないから残ったからあり得るって言ってた気がする。
まずは王都、トゥルエ、レンブ。この3つは近寄りたくない。
「ちょ、無視しないでよ。まず居場所作るのにはお金必要でしょ。今はドラゴンのお金あるけど都合よく高額のモンスターがいつもいるとは限らないんだから」
まぁ、確かに。山に籠もって厭世気取った賢者にはなりたくないな。あと、ナホにお金をお願いしたらお姉さん彼女に金をねだる駄目彼氏みたいじゃないか。
別にナホとは恋人とかじゃないけど……。
「それじゃあお金稼ぐために市場調査するか。目指すはポーション長者だ!」
俺のアイテム生成は材料があれば望んだ物を作れる。ここまで来るのに乗った魔道馬車だって自作だ。
水に俺の回復魔法を固定するための触媒を入れて瓶に詰め、回復魔法をかければ高級ポーションの出来上がり。
この触媒は水以外ならそこらの雑草でもいいけど不味い。作るなら美味い物を作りたい。
「安いけど美味しい果物があればメモしてくぞ」
瓶は町の外に行ってアイテム生成使えばいくらでも量産できる。水だってそこまで高いもんじゃない。
あっ、小ぶりの桃がある。高いのかな?
「グルーネンカーリが安いです御主人様。1玉で銅貨6枚です」
「あらそうね、グルーネンカーリだったら銀貨1枚でもおかしくないわ」
「グルーネンカーリたべたことない」
「禁止。あれは桃です。グルーネンカーリ禁止。美味しそうだけど小さいし、水に薄めることも考えないと。果汁の量も金額として考えよう」
はい。と、2人が答える。ナホだけは何よモモってと文句を言う。むしろグルーネンカーリってなんだよ。
俺はナホの用意した料理以外は、こっちに来てからお湯で溶いたクズ野菜スープと、カビ臭いパンが主食だったんだぞ。逃げた後も何が出されるかわかんないから宿屋の食事も頼んだことない。
それからは3人が果物の名前を言っては日本語に直すの繰り返し。覚えれず間違えたらデコピンをするケン。
可愛いがってるアリサにも容赦はしない。平等だ。
「結局何も決まんなかったわね」
確かに。ナホにお願いするか。するとしたら汎用性高くチート性のある……
「ナホ!例えば金目の物を対価に地球で同じ値段の物と取引出来るようになるスキルとか能力を俺に付けれるか?」
所謂通販系チートだ。これなら調味料から重火器となんでも揃えれる。願いで対価無しも出来そうだけど泥簿みたいでしたくない。気分の問題だ。
「いいの?地球のこと思い出さない?」
「多分思い出す。でも今はナホ……、とりあえず多分俺は大丈夫だ」
「わかったわ。えーと、こっちの貨幣や貴金属等を使ってどこでも取引出来る能力、地球に繋ぐ能力、地球の価格を調べる能力、地球の物を検索する能力、後は取引に余った金額を繰越す能力、それらを纏め上げる能力。これなら毎回願いを消費しないで済むわ」
もう既に、お願いを少なく使う方向へ自分から提案し始めるナホ。
それを見て母性の様な笑みを浮かべるアンジェ。
そして頼られない自分に落ち込むアリサと三者三様だ。
「何よ。私アリサも嫌いだけどアンタも好きじゃないからね。何ていうか、恋人いる男に彼女の愚痴を聞いて『彼女さんヒドーい!私ならそんなことしないし、言わなーい。それじゃ〇〇君可哀相』とか言って奪うタイプなのよアンタは」
「ナホ、前世日本人だったろ。なんだよその例え」
「日本人って知らないわよ。何よそれ。でもケンと一緒なら今は私日本人よ」
「ご主人様、そのねがいとかって、なに?」
「それはまた今度な。話が長くなるから」
素直に引き下がるアリサ。心は納得してないけどケンに嫌われたくない。その一心でだ。
目的の能力が手に入り、売れそうでこっちで再現しやすい物を次々と買い漁る。当然自分の好きな物は自由に買う。
買取出来る店に来たときに変な噂を聞く。どうやら魔王は死んでなく、治療で姿を消していたと。
その証拠に魔族がまた現れ暴れているという噂だ。
「確かに魔王が死んだら凡そ50年から100年は復活しないんだっけ」
召喚時の説明を思い出し苛立つケン。あの時の主要メンバー殺しとくか。
「ねえ、私の話を聞いて。ケンは今まで私の願いで直接誰かを不幸にするお願いしなかったわよね。これからもしないで。魔族や王達をそれ以外も苦しめたり殺したりするお願いはしないで」
どうしたんだ?いきなり。確かにお願いで魔族一掃は考えてたけど。願いを叶える悪魔がお願いしないでとお願いするなんて。
「わかった。しない」
「えっ。いいの?色々聞いてきたり拒否しないの?」
「してほしいのか?願わないでってなら別に負担じゃないし」
そんな話をしながら売れそうな商品をアイテムボックスに入れ始める。
栄養ドリンクに回復魔法をかけたポーションは大量生産を頼まれ、
他にも鑑定と道具精製で作った高品質の石鹸や日用品もそれなりに売れた。
食料品は、俺とナホには勇者特典でアイテムボックスがあるけど、他の人は劣化のマジックバッグがあればいい方なのだ。なので美味いものは流通させ辛い。調味料で勘弁してくれ異世界人。
ちなみにナホに、アレスターとかギルドの人には俺様口調じゃないのね。と言われたけど当たり前だろ、一応接客業経験者だ。居酒屋の賄い食いたいなぁ。
目標はキャンピングカーかな。時魔法使えばメンテ要らずでガソリンさえ買い続ければいいんだから。
そしたら電化製品もいけるな。似たようなの作れるけどさすがにそこまでの材料集めは面倒くさい。
実はこの拙い文で2作品目です。
話が気になった方はブックマークやレビュー、感想等を貰えると励みになります。
誤字脱字多いので指摘して貰えると助かります。
処女作、常識チートは非常識も良ければ閲覧お願いします。