鍛冶屋で装備を
ケン達は少し町から離れた鍛冶屋の前にいる。
ここの店主は上位の街レンブに住んでいた程の腕前だが、領主と喧嘩しイアンの町へと落とされた。
ケンはそのことを勇者時代に聞いており、気難しいドワーフを説得してみたい。ただそれだけの為に来ている。
あとついでにナホの防具も。
ドアを開け入ると。ふん!という、言わなくてもいい挨拶が飛んできた。
早速店の中を鑑定だ。ふむふむ。よし!お目当ての物はあるな。しかも剣だ!ファンタジーって言ったら剣だよな。俺もケンだし。
「なあおっさん。この剣くれよ」
「見ての通り金貨200枚だ。小僧に払えんのか?」
「当たり前だろ。鈍らの剣で金貨200枚で売ってる剣とか金運上がりそうだからお守りにしとくんだよ」
「小僧!今なんつった!」
よし!食いついた!
「お守りにするって言ったんだけど聞こえなかったか?」
「違う!その前!」
「本当はおっさんが寝ながら打ったより酷い、見てくれだけは綺麗な実用的じゃない鑑賞用の剣を金貨200枚で買うって言ったんだよ」
「そこまでは言ってなかっただろうが!」
なんだよ。しっかり覚えてるじゃん。
「久々にまともな奴が来たわい!おい小僧!名前は?」
「ケンだ。いい名だろ?」
「その目と同じくらい腕に自信があるなら仕事を頼みたい。そうしたらお前さんと別嬪の奥さんに装備一式を作ってやる」
「あら♪正直者のオジサマね♪受けるわ!」
要するに鉱山に強い魔物が出たから退治してくれって話か。
受けたんだしそれはいい。ナホにはしっかり言っとくか。
「ナホ。俺は付いて行かないぞ。ナホが受けたんだ。なに、俺のスキルで作ったアイテムをあげるから大丈夫」
「な、何よ。なんで私だけでって、わかったわよ」
うん。物分りの良いやつは好きだぞ。俺は昨日の受付嬢と楽しんでくるから。
鉱山内部にて文句を言いながら進むナホ。
「ほんっとうに、あの悪魔ぁ!昨日のは勘違いだったわ!なんで私が1人でこんなとこ来なきゃいけないのよ!このアイテム便利なのも腹立つ!」
怒り過ぎてて何を言ってるか自分でもよくわかってないナホ。
ステータスは多少上げてるので、今のところ問題なく進んでいる。
「大体!私の綺麗な手にタコが出来たらどうするのかしら?もう!ムカつく!」
一方その頃のケンはお目当ての受付嬢がいなく不貞腐れてる。が、すぐに思い直す。
「そうだ!捨て値同然の美少女奴隷を格安で買って治療すりゃいいじゃん!うは!ハーレム作ろっと♪」
鉱山をしっかり進むナホ。鍛冶屋の店主が言ってた場所に到達する。
そこには鋼で出来たゴーレムがいる。しかも魔法耐性が高めでナホにとっては天敵だ。
相性の悪さを初撃で悟ったナホは退却をしようとする。
しかしゴーレムはそれすら許さずに、ナホの後ろの天井に向かって岩を投げ退路を塞いだのだ。獲物を逃さないようにじわじわと近づいてくる。
ゴーレムの力で叩きのめされたら自分は消滅する。ケンに許された魔力ではどうすることも出来ないのだ。
目を瞑り現実逃避をしてケンに悪態をつくナホ。目を閉じててもすぐ近くにゴーレムがいるのがわかる。
多分自分は死ぬのだろう。これが最後と思ったナホが言った言葉は。
「助けてよ。ケン」
いつまで経っても何もしてこないゴーレムに恐る恐る目を開ける。そこにいたのはスライムだ。不定形タイプの。
ゴーレムはいなくなってた。
「えっ、何これ。なんか紙が身体に入ってる。読めって?」
何故かスライムの言いたいことがわかる。その手紙に書かれてた内容は。
「拝啓ナホ
この手紙を読んでるってことは、ピンチか最深部に到達して鉱脈を掘り返すとこだろう
魔道具を渡す時にこっそりテイムしたスライムを忍ばせといた。
か、勘違いしないでよね!願い叶えてもらう前にいなくなったら困るんだから!ってやつだ
テイミングスキルで俺のステータス2割がソイツに上乗せされてるので、戦うにしても労働させても役に立つだろう。
俺はきっと女の子と遊んでるから頑張れ
かしこ」
「ふ、ふ、ふ、ふざけんなぁ!どれだけ怖かったと思ってるの!チクショウ!
でも本当は私のこと心配して照れ隠しなんでしょ?お姉さん分かってるんだから!」
色々あり過ぎてパンクしたナホ。怒ってはいるがケンに大切にされてる。それがなんとなく嬉しく一所懸命仕事をこなして帰るナホ。
宿屋の部屋の前まで来たが話し声が聞こえる。女の子の声もするが会話のようだ。ドアを開けるとそこには女性と少女がいた。
「焦らずゆっくり食べていいんだよ。ここには君を虐める奴はいないし来ても俺が守るからね」
見たことない優しいケンに自分の中で何かが崩れるナホ。
開いたドアに目を向け手を振り出迎えるケン。
「お疲れおかえり。奴隷2人買ってきた。元欠損奴隷でさ、この子可哀相だし世話役も買ってきぞ。2人とも挨拶」
20歳には見えない低身長で童顔だけど、出るところは出てるメリハリした身体の女性から挨拶する。
「ご紹介に預かりましたアンジェです」
もう1人はガリガリの浮浪児みたいだ。ナホの予想では年齢1桁だろうと見てる。
「アリサ」
どことなく不機嫌そうなアリサに苛立つナホ。ケンにそんなに優しくしてもらって何が不満なのか。
「アンジェ。アリサの世話を頼む。俺はナホとちょっと」
「いやよ!なにさ!奴隷とすればいいじゃない!私はもういらないでしょ!」
そう怒鳴りつけ宿屋の外へと走り出す。それを見て呆然とする3人。最初に行動したのはアンジェだ。
「御主人様。追わないのであれば私めがお相手を」
「いや、別にそういう気分じゃない。追いかけるさ」
実はこの拙い文で2作品目です。
話が気になった方はブックマークやレビュー、感想等を貰えると励みになります。
誤字脱字多いので指摘して貰えると助かります。
処女作、常識チートは非常識も良ければ閲覧お願いします。