第二ラウンド
コイツはヤバい。瞬時に判断して皆を集めるケン。
アルは既に余裕のようでニヤニヤしながらこちらを見ている。
そしてアルの後ろからゾロゾロと魔族が現れる。
「ナホ。指輪のアレ使っていいか?」
「いいわよ。でもどうするの?」
「こうするんだよ!限界突破LEVEL2」
限界突破。魔族が奥の手として使うステータス倍増。実は勇者特典にも入っていた。限界突破自体はこれで3回目だが、LEVEL2を使ったのはこれが初めてだ。何しろ覚えたのが王都での魔族殲滅の時なのだから。
30分ステータスが4倍になる代わりに効果が切れてからは1時間ステータスが1/10に下がるペナルティ付きだ。
そしてステータス内の数字を移動させ増減出来る。
ケンが指輪を作った際に結婚指輪の意識したため、本来はナホの状態異常を防ぐ能力を付けたのだが、お互いに状態異常を譲り渡すことが出来るようになっていたのだ。
『アイツをどうにか説得する。だから悪魔にも願ったり敵討ちなんて考えないでくれ。そして俺のことは忘れて生きろ。ワープ!』
「えっ?ここって王都よね?なんで?なんでケンは今際の際みたいなこと言ったの?なんでケンはここにいないの?」
「うん。あのバカはバカなことしやがったね」
「あの野郎はふざけてんのかい?なぁ、マオ!お前さんの魔法なら行けるだろ?もう一度あそこへ飛ばしてくれ!」
「えっ。正気なの?ケンがどうしてこんなことしたか分かってるの?行ったところで死ぬだけなの!」
「それに限界突破のペナルティを付けられたのだろう?ナホのステータスはどのくらいなってる?」
「関係ないわ!ケンが1人で戦ってるのよ!」
「うん。僕らは分かってて死にに行くんだよ」
「お前さん。ケンが見知らぬ土地で1人飛ばされて、ずっと孤独に戦い抜いて、最後愛する人を守るために死のうとしてる友と死ぬことを馬鹿にする気かい?」
「うん。20分だ。その間に僕とセキシンがナホのペナルティをどうにかする。その間ケンと死ねる人だけ覚悟をしてほしい」
「ああ、まさかケンの限界突破をどうにかしようとしてたのがこんな形になるとはねぃ。アルを殺せないなら何処に逃げても同じだねぃ」
地面にボロボロになって倒れているケンがいた。
「恐ろしいな。あれ程の魔族をお前1人で殺しきるとは。悪魔か?」
「ぬかせ。まさかたった10分も経たずに負けるとは。どうして殺さない?」
(なあ?俺と契約すればコイツを倒せるぜ?)
(失せろ。もうお前達には頼らない。あの時そう決めた)
「それには時間制限あるのだろう?どうやっても無理だと絶望させてやる。それまで私の苦労でも聞いておけ。そうしたらアイツらには手を出さないでやる」
「本当か?頼む」
「いいザマだな。さっきまでの勢いはどうした?」
「何よ!25分もかかってるじゃない!」
「うん。まさかここまでかかるとは」
「とりあえず嬢ちゃん2人はいいのかい?死ぬだけだぜ?」
「私の全てはケン様とあります」
「最初は私、お母さんと違って男見る目あるぞ!って感じで狙ってただけなんだけど、いつの間にかこんなに好きになってるなんてね」
「娘にそこまで言われるの悲しいわ」
「よっ。誰かが俺と契約すればケンを助けれるぞ?」
「馬鹿にしないで!ケン様から言われたことを覆す私達じゃないわ!」
「あーあ。1人の犠牲で皆助かるのに。人間って本当に愚かだね」
「そろそろ私の計画も話したし、お前の絶望した顔を見てから殺すとするか。何か最後に言いたいことはあるか?」
(マーサー、済まないな巻き込んで。えっ、好きで残ったって?ありがと。これで少しは寂しくないかな。よせよ相棒)
(でも、あの空間以降ナホに好きだってあまり言えなかったな。今仮に伝える手段があってもナホが悲しんだら意味ないか)
(言えば良いんですよ!言っちゃいましょう愛の言葉を♪)
「無いようだな。せめて苦しまないように全力でやってやる」
(貴方の世界では愛は救うってフレーズあるんでしょ☆それともあの娘より私の方が好きですか?)
「会いたい。ナホとずっと一緒にいたい。大好きだ!愛してる!」
「ふははは。安心しろ。それなら寂しくないようあの女はしっかり殺してやる」
「巫山戯るな!約束が違う!俺の女に手を出すな!」
(よく悪魔の誘惑に勝てました!貴方のステータス見てください)
「ステータスオープン」
HP:ERROR
MP:ERROR
STR:ERROR
VIT:ERROR
INT:ERROR
RES:ERROR
DEX:ERROR
AGI:ERROR
ユニークスキル
勇者召喚特典(不老、成長スピード補正、各種戦闘術etc.etc)
欲望解放(己に素直になることで他の能力を強くする。意識しないと心の声が思わず口にすることもあるが、その分強くなる比率が上がる)
p.sラブエンジェルの隠しサービスで普段は見えないようにしてました♪テヘッ☆レベルの上がり方に対してステータスが強くなってたでしょ?
「私も大好きよ!そしてアル!私の旦那に手を出さないで!」
「ナホ!来てくれたのか!嬉しい!」(なんで来たんだ!バカ!)
「ふん。今更1人増えたところで何が変わる?」
アルはあえてナホに向かい炎の魔法を放った。するとその魔法はあっさりと霧散した。
「うん。やっぱりケンのことなら心配するだけ無駄だと思ったんだ」
「違いないねぃ。まぁケンの奥さんの頼みなら仕方ないかい」
2人が空気を操り炎を消し無効化に成功させた。
「何故お前達程度が私の魔法を消せる?」
「あの人達ひねくれてますね」
「アリサちゃん英雄に対して厳しいわね」
「だってこの子世間知らずだからだよお母さん」
「だ、誰か限界突破して皆をここまでワープしたマオを褒めてほしいの。どうしてあの2人はマオのペナルティを消してくれないの?」
「流石ですマオ様。そして大丈夫です。私がついてますから」
「何故だ?何故力が抜ける?」
実はこの拙い文で2作品目です。
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