不満
「どうしてだYo!元奴隷達は行けて私達はダメなんだYo!振られパーティーが王都にin da house」
「妹。流石に、私腹を肥やしてたとは言え王が失脚し、多数の魔族が襲来、それに加えて新魔王の誕生とあっては市民は不安に思う。俺達が残るのは仕方ない」
「それよりもよくリントンは我慢出来ましたね。こっそりケンに付いていくのかと」
「ルーシーは俺のこと子供だと思ってんのかよ!話し合いは長かったけどケンに王都を頼まれたんだ。だから俺は残る」
勇者の盾が昼食を食べ一休みしていた所にエアルゥの父ランウィが来た。
「ここに居ましたか。私の推測に過ぎませんが嫌な予感がします」
ランウィが改めてケン達が発見した隠し部屋で書類を読んだら違和感があった。
どうして天使は異世界から勇者を連れてくる魔法を伝えれるのに、魔族を元の場所に送り返す方法ができないのか。
歴代勇者が成長したように、何故魔王が現れる前に呼べないのか。色々と不思議なことがあると説明し。
「そして何より、不老の勇者が来ると分かってるのに次の魔王が現れたらまた呼べと書いてあること」
「つまりどういうことだ?」
「リントンにはYo!後で私が説明するYo!」
「いや、出来ればエアルゥかルーシーに頼む」
ゴホン。と1つ咳払いをしてランウィは最後の推理を話す。
「つまり自称天使は知ってるんですよ。魔王を倒したら呼んだ勇者がいなくなることを」
「と言うことは、昔の王の夢に出てきた天使は天使ではないと?」
ルーシーがランウィの推理を理解して話を促す。
「ええ、もちろん天使にも思惑があってそうしてる可能性もあります。ですが勇者を魔王にするスキル、いえ。この場合呪いですかね、呪いをかけた者は、勇者を倒すより勇者に倒されることを望んでいるのではないかと」
「確かにそう考えると辻褄が合うわね。でも父さん、それならその呪いをかけた者、マオの話だとアルは何を望んでるの?」
「それこそ神のみぞ知るってやつです。ただ、もしもアルのこの行動が、何かの目的への実験だとするなら、世界征服なんかより恐ろしいことを企んでるでしょうね」
「ねえ、マオ達はいつまでこうしてればいいの?」
「もちろん魔界へ魔法で行けるまでだ」
マオが魔界からこっちへ来た場所へ辿り着き移動魔法を試したけど成功はしなかった。
その間にも弱い魔族が器の欠片を宿して襲ってきたが、倒すことはせずに籠城をしているところだ。
しかも今度は複数の魔族が魔王の器の欠片を持っている。
「しかしその女の感ってのは信用出来るのか?それならマオ様にあって然るべきスキルだろ」
「なんだロリックス?ナホに文句つけんのか?」
「うん。イライラするのは分かるけど仲間にぶつけるのは止めよう」
「何回体験してもケンの言語理解は凄いねぃ。ケンが来るまで聞いたことないロリコンって言葉でもキチンと伝わるんだから」
オルフェスとセキシンは自覚のあるロリ好きだ。
「マオ様の美貌にケチをつけるか!れっきとした大人の女性だろ!」
こちらは自覚なし。付ける薬も無さそうだ。
「うん。そんなこと言ってるケンだって、昔僕ら3人でバカ話してるときは、年齢2桁なりたてから40までイケるって豪語してたじゃないか」
ガチャリ。そんな金属音の方向にケンが首を向けると。
「へぇ。ケンの理想って幅広いのね。浮かれてた私がなんか馬鹿みたい」
「そんなことないぞ!奈穂実さんはピンポイントで俺の理想の体現者だ!」
あらそうなの?本当ね?その言葉と共に銃をしまうナホ。
(余計なこと言うなよ!)
(うん。迂闊だった)
(俺も危うく暴露するつもりだったねぃ)
(するなよ!絶対するなよ!)
(おっ。それが前にケンが言ってた振りってやつかい?)
(お願いだから!!)
全て目で話してる。これは勇者特典の意思疎通によるものか、はたまた3人の仲の良さのなせる業かは謎のまま。
「まだケン様への距離は遠いかぁ」
「そもそもケン様がナホさんしか見てないのが辛い」
「あなた達は頭撫でられたりされてるだけ良いじゃない。私なんてそれすらないのよ」
「なんか魔族がおかしいの!」
フラセとシアンが用意した野営道具にオルフェスとセキシンが結界を張って数日間様子を見ていたのだが、その間魔族がとった行動は、ゾンビ映画でフェンスにひたすら向かってく様な感じだったのが初めて距離をとった。
すると魔族の群れの奥の方から不自然な音がし始めた。
まるでライオンが狩った獲物を食べるかのような……
「おい。もしかして共食いしてないか?」
その言葉に元奴隷娘達は目を背ける。が、その他全員が鑑定をし始めた。
「ダメだ。全部文字化けしてやがる。名前も全部だ」
「こっちもよ。ただ何をしたいかは想像つくわね」
「うん。やっぱりアレかな?」
「新魔王はしっかり殺したはずだけどねぃ」
「コイツラがこれを一斉にやるなんて信じられないの」
「つまり指示した奴がいるというわけか」
そして最後の1人になった。
「おい。魔族を1人も産まなかったぞ?」
「リリカのより凶悪な魔族が産まれそうなのは私の気のせいかしら?」
その1人となった魔族の後ろの空間に渦が見え、中性的な声が聞こえた。
「マオ久しぶりだね。そして他の皆は始めまして。私はア」
「そしてサヨナラだアルとやら!」
タリックスが自分を召喚し身体能力を上げてアルに槍を突き刺した。
自分は勇者特典は付いてない。あくまでもスキルとして不老とアイテムボックスと召喚があっただけにすぎない。だから自分が魔王の器の持ち主を倒しても大丈夫だろうと思っての特攻だ。
仮に魔王になったところでマオ様や他の人達がいれば自分を倒すことなど容易い。そういった考えもあった。
不意討ち。通じるとは思ってないが、相手の出鼻を挫いて主導権を握ろう。タリックスはアルの一挙手一投足に注意を払っていたが……
「カハァッ!」
アルの胸に突き刺さった槍に滴る血。そしてタリックスにアルの身体がのしかかる。
実はこの拙い文で2作品目です。
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