マオの実力
「人間を倒したいならマオを倒してみるの!」
気にしてない素振りを見せてはいたが、魔族が自分に従わずイライラしていたマオ。
その憂さ晴らしを兼ねて、自分が魔族を倒すと言い始めた。
勇者としての経験に魔族の身体。心配することはないので任すことに。
圧巻としか言いようがない戦い方だ。魔族を掴んで武器にする。途中から距離を取る魔族にはダッシュで掴みかかり投げ飛ばす。
魔王としてケンと戦っていた時とは正反対な戦い方に、昔戦った3人は驚いている。
「うん。やはりあの子は強いね。アレが本来の戦い方かな」
「それにしては目が血走ってないかい?」
ある意味魔王時代より魔王のような戦法を取るマオに対して、敵わないと知り逃げる者にはナホの魔法で始末され。
そのナホなら接近すれば勝てると思い突撃してくる者はケンに始末されている。
「俺の女に手を出すな!」
ドヤ顔である。言ってる本人も言われてる方も満足げだ。ただしその言葉を聞いてたマオはと言うと。
「ほんっとうにムカつくのぉー!」
ご立腹である。怒りに身を任せて更に猛攻が続く。実力を出し切れていなかったのは何もケンだけではない。
今代の魔王であったマオにとっては、スキル魔王の器は足枷でしかなかった。もちろん魔族の身体になり全体的に強くはなったのは間違いないが、勇者時代からMMOの姫プレイのような戦い方を続け、魔王になってからも奸計で戦ってきたが、本来マオは前線で戦う方が性に合っている。
「そういえばタリックス。マオは死んでこっちに来たって言ってたけどお前はどうなんだ?」
「私は寝てるところを召喚されたのだ。たかがウォッカ何瓶か飲んだだけで死んではないと思う」
「タリックスってどこの国の人?」
「ロシア帝国だ」
「皇帝の名前はニコライ?」
「ピョートル1世だ」
「○ョードル?」
「ナホ違うよ。ロシア帝国の初代皇帝だ」
「ケンって色々知ってるのね」
「一応現役高校生だったし教師目指してたからな」
「へえ。ケンの新しい1面知っちゃった。だからあの子達に教えるのも楽しそうにやってたのね」
「まあな。でも戦い方やサバイバルとかアイテム生成は2人から学んだことだよ」
「うん。ケンは過酷な状況でも不貞腐れずに前向きだったね。その教えるの好きなおかげで、ここ2年の間で国の色んな産業が発達したんだ」
「ヤバ目の知識は奴隷の首輪の制約を上手く躱して伝えてたねぃ。咄嗟の判断力や機転はピカイチだった。残念なのはジュウって武器を再現出来なかったことかい」
「いやいや、俺の聞きかじった知識で再現したり、発達させたセキシンや職人達が凄いんだよ」
「ケンって昔からルールの穴とか探すの得意なのね。銃なら私の作ったので良かったら見てみる?ケンと私の共同作業で出来た奴よ」
「本当かい?有り難いねぃ」
「なんか色々とおかしいのぉぉぉ!」
顔を真っ赤にしたマオが魔族ではなくこちら側に突貫してきた。と言うのもその内容は。
「なんでこんなに可愛いマオが頑張ってるのに団欒して話してるの?そして魔族が多いの!」
どうやらマオ達が王都に潜り込ませた魔族より今倒した魔族の方が多いらしい。
脳筋な戦い方をしていてもしっかりと把握しているあたりトップに立っていたことはあるだろう。
「つまり考えれることは……、」
「うん。半魔族が多いか」
「勝手にこっちに来てるってことかい?」
「まだあるわ。呪いみたいなスキルを人に付けるような人が、魔王の器を壊されてはいお終いってあり得る?」
「マオ様以外の魔王が現れたということか?」
「自動でなっているのかアルが動いたかは今は判断出来ないの」
マオがキレた後は皆で殲滅し状況の整理をする。勇者の盾にはこれから現れる魔族を対処してもらい、自分達は魔族達の大陸に向かい、どうにかして魔界へ入ろうという結論に至った。
「ねぇエアルゥ。私がこれを読むの?」
「ルーシーが1番だと思うの。他の人はどう?」
「悪い!俺長い文字見ると頭痛と吐き気が!」
「人前でYo!話すなんて無理だYo!」
「本当に済まないと思うが口下手な兄妹でな。頼む」
「これ考えたエアルゥが読みなさいよ!」
「私はほら、ちょっと流れ次第でやらなきゃいけないことあるから」
こうして多数決でルーシーと決まり。民衆が集まったのを確認して、今の状況を説明し始めた。
「私達は今の王政のあり方に疑問を持ち、反乱を起こしました。勇者ケンの扱い、不当に虐げられる人々。そして何より魔族と手を組み国民を食い物にしたこと!これを私達は許すことは出来ません!」
エアルゥは父ランウィから、国政に携わる人を総入れ替えしたら回らなくなるから即処刑の空気だけは作るなと言われたので、そちらに神経を尖らせている。
そろそろロウフンの出番となった。
「これから私達の正当性を示すために質疑応答を開始しますが、嘘偽りなく答える為に私達のパーティーである彼にこれを着けて貰います」
そう宣言し、奴隷の首輪をロウフンに着けて、正常に作動するかの確認を行った。
勇者の盾は民衆を疑惑を晴らすために自分達の行動を説明したあと、1人1個ずつ質問させ答えるというなんとも時間のかかる方法を選んだ。
その一人目を決める時だった。
「まずは俺から聞きたいかな」
「うん。色々と聞きたいことあるね」
「1人1個ってんなら何度でも並ぶしかないかい」
日本人がそれを見たら、まるでモーゼのようにと表現したくなるほどに、人々が押し詰めていた所が一気に割れ歓声が上がった、知る人ぞ知る異世界からの救世主と、その仲間で英雄と名高きこちらの世界の兵士2人がそこにいた。
実はこの拙い文で2作品目です。
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