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魔王の器

マオとタリックスに改めて捕縛魔法をかけて会話をすることになったが、それすらも罠かもしれないとケンは気を張っている。


「まず、私の話を最後まで聞いてほしい。殺すのは聞いてから判断してほしいの」


「わかったわ」


「俺も聞きたいことがある。それまでは生かしとく」


「まずはケン。オルフェスとセキシンはもういないと思ってくれ。その上で私と番になる気はない?」


「ふざけてるのか?冗談を言って死にたいなら望み通り」


1番聞きたくて1番聞きたくない事実を突きつけられ居合の構えをとり、殺気を纏いながらいざ抜こうとしたときマオは薄く微笑んだ。それにナホは気づき急いでケンを止め、話を聞くように説得した。


「その子笑ったわ。死ぬ間際に。てことは、ううん。何か嫌な予感するの」


「なんだ。もう心に決めた人がいて私の物にならないなら違う方法で一つになろうとしたのに……

結論から話そう。私はケンの一応前代勇者に当たる存在だ。魔王を殺したら私が魔王に取り込まれたの。スキル魔王の器を詳しく見てみろ。見覚えがないか?」


鑑定

スキル魔王の器(不老、成長スピード補正、言語理解、各種戦闘術、仲間の成長補正、仲間の強化、意思疎通、限界突破etc.etc)


なんとなくしか見ていなかったが勇者特典に似ている。似すぎている。前に願いでナホに同じのをつけたんだ、見覚えのあるのしかない。

その中で確かにおかしいのが1つある。言語理解だ。

ただ人類を苦しめ殺すのなら言葉は必要ない。

確かに暗躍して人類を苦しめたこの魔王なら必要かもしれないが、他の魔族には言語理解はなかったのにそれでも会話をしていた。つまり魔族は元々この国の言葉を話せるということ。


ということはスキルがないと魔王はこっちの言葉を話せなかった。まるで召喚された勇者のように……

その思惑を見透かしたかのように魔王は続ける。


「ケン。お前の仲間は周りより突出してなかったか?心が通じ合った人ほど強くなったり、特殊な技能を身に着けたり。私は勇者マオの時はそうだった。

魔王になってからは意識を魔王の器に持ってかれてね。そうすることでこっちに来る魔族と心が通じ合い強く、そして個人の特性を活かした能力が身につくらしいの」


ケンは答えず、でも考える。初めは一緒に戦っていた兵士だったオルフェスとセキシン。でも苦楽を共にすることでどんどん仲が深まった。それに合わせて確かにあの2人は強くなり続けた。勇者ケンと共に戦える仲間として。


ナホはどうだろうか?アイテム生成で新品になる能力。勇者特典があるとはいえ、戦い続けた自分と変わらない魔法の力。


アリサは戦ったこともなく、ガリガリで死にかけた女の子が下位魔族となら戦えるレベルにまでなってるし、フラセとシアンはギルドに出したら絶賛されるレベルの物を作れるようになってる。


(そっか。私とケンは心が通じ合ってるから私の仲間成長補正の影響でバランス良く更に強くなったのね)


「でも、俺の仲間は急に弱くなったり出来てたことが出来なくなるってことはない。それは何故だ?」


「それは簡単だよ。魔王の器は今の私と心が通じ合ってないと駄目だ。勇者特典は通じてる時に得た物は失わない。その違いなの。

私の意見を無視したタリックスでもマオを慮ってのこと、弱いと感じたか?マシフは強くなかったか?」


「ねえ魔王マオ。対談を望んだり死を望んだり、アナタ口調や思考がこの短い間でブレてるけどそれは何故?」


「私が魔王倒してからの意識はない。記憶はあるけど他人の物のに感じるの。つまり、マオとしての私と、魔王としての意識があるのだ」


「なら教えてくれ。マオ、向こうでの記憶はあるか?国の名前は」


「チンギスカンが攻めてきたの。建てた金も征服され西夏は滅亡した。その時に私は死んだんだ」


えっと俺がこっちで2年位で約50年経ってて、前魔王はこっちで50年前位。こっちで1年が地球の25年だとしたら約750年前。

モンゴル初代のチンギスカンって……思い出せ高校受験の記憶!


「まあ、確かにマオの言ってることも真実味はあるな。言われればマオって中国っぽい名前だし」


そこへ複数の人達が更に入ってきた。ケンの後ろで聞き慣れた、いやずっと聞きたかった声があった。


1つは優しい声で誰よりも敵の攻撃を受けてきた親友オルフェス。


「うん。あれは確かに僕ら童貞同盟のケンだね」


もう1つは厳つい声で、3人の中で思慮深く判断を的確サポートしてきたもう1人の親友セキシン。


「おっ。あのチビ魔王までいやがるかい」


ケンは期待に満ちた心で振り返る。やっぱり無事だったんだ。ようやく会えた。今まで魔王と話してたことなど気にせず、喜びと期待でぐちゃぐちゃになった思考を捨てて確かめよう。そこには、


「お前らこそ童貞臭い面しやがって。俺は一足先に結婚したぞ?」


心配した、会えて嬉しい、今までどうしてた?言いたいことは沢山あるが3人共そんなことは言わない。

言葉を交わさなくても気持ちは通じてるのだから。だから今まで旅してた通りに会話をする。


「うん。見れば分かるよ。俺の童貞は理想の女性に取ってるんだ。と色んな女に言い寄られても靡かないケンの隣にいるんだから。紹介してくれよ。その理想の女性をさ」


「3人共これで非童貞かい。まぁ俺は年増なんかにくれてやるつもりはなかったんだけどねぃ」


「俺に言い寄ってくるのは俺じゃなく勇者目当てだったしな。ロリ巨乳とかいう不可能追いかけてルーシーさんにフラレた男達が言う言葉じゃないだろ」


昔告白された理由を知り、手で胸を隠すが強調してるようにしか見えないルーシー。

感動の再開に水を差すのも気が引けてたがそろそろ無視されるのもキツいと感じ、話しかける魔王。

後から来た勇者の盾やオルフェスとセキシンにも説明する。


「そんな。まさか。魔王が歴代勇者だって言うの?」


「確かにYo!前勇者の名前はマオだYo!歴代勇者は魔王と相討ちって教育係が言ってたぜYeah!」


「国の不都合は隠し、次の魔王候補のケンに奴隷の首輪を着ける。酷いが合理的だ。あの屑王がやりそうでもある」

実はこの拙い文で2作品目です。

話が気になった方はブックマークやレビュー、感想等を貰えると励みになります。

誤字脱字多いので指摘して貰えると助かります。

処女作、常識チートは非常識も良ければ閲覧お願いします。

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