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ゲームにおける勇者

「嫌です!付いていきたいです!」


仮にも奴隷であるアリサの反抗。原因はケンとナホだけが船で直接王都へ向かい、人間と魔族の王を暗殺するというものだ。

ランウィによると魔王は王都に入っている可能性が高いと見ている。


「正直に言おう。アリサに中級魔族以上の相手はまだ無理だ。付いてくるってことはそれだけ危険と失敗の確率が大きくなる」


ここは嫌な言い方をしよう。魔王の強さは身に沁みてる。勝算はあるが厳しい戦いになるのだ、本当はナホだって連れて行きたくない。

それでもナホは努力と勇者特典でかなり強くなったし、1人なら最悪何かあったらナホだけでも逃げさせることは出来る。


「ねえケン。前に魔王と戦って追い詰めたんでしょう?その時と比べてどうなの?」


「前に比べて不安な点は、味方が少ない。あれから魔王がどれだけ変化しているかわからないだな。有利な点はナホがいる。そして昔は奴隷の首輪で使えなかった能力を全開にして戦える」


「あの、旦那様。能力を制限して魔王を追い詰めたのですか?」


「ああ、前の時は戦場を撹乱してくれる沢山の兵士と、支援が上手い友好的な兵士2人がいたからな。いや、親友とも言える2人と戦えたからだ。

万が一の反乱を防ぐのと、流れ弾で国の偉い奴に当たらないようにで、使える技をほとんど封印されてたよ」


その親友2人の兵士は左遷されたらしく、どこにいるかもわからない。せめてイアンやセドンにいてくれれば仲間に誘ったのだが。


ケンは頭の片隅で最悪の想像をしている。オルフェスとセキシンはどこの街にいる?ナホが悪魔だったときに聞いた願いだ。

答えはどこにもいない。同名はいたが人違いだった。つまり……。


まだ心配しているアリサにケンは笑いながら安心しろと言う。


「大丈夫だ。俺の国で勇者ってのは、少人数で敵の親玉を撃破する暗殺集団のリーダーって意味なんだ。従兄の兄ちゃんから貰ったゲームや漫画はそんな話が多かったし」


「だからケンは昔の漫画とか詳しかったのね。私も兄の影響で少年漫画やアニメ好きよ」


敵地に潜入して暗殺。その為には回復アイテムや食事等、向こうで困らない物をいっぱい用意してほしいと頼んだ。そしてその夜。


「ナホ。本当は俺1人で行きたいって言ったらどうする?」


「当然私も1人でケンの後を追いかけるわ。そうさせたくないなら連れてってね」


「わかった。それじゃ、ランウィさんが決めた決行日の数日前に出よう」


ケンはランウィの思考を読んだ。頭の良い彼ならきっと自分達の盾になる人達を選抜し手助けしようとすることを。

それをしたら進行部隊の戦力を割くことになるし、自分の為に直接命を投げ出す人を見るのは嫌だ。

そうならない為にも作戦を聞いて出来るだけ早く動けるようにしなきゃならない。


「わかったわ。私達の未来の為にも絶対成功させましょう」



「ってあの2人は言うだろうってお父さんは言ってたわ。だからルーシーと私で見張ってたの。私の魔族捕縛魔法を習いに来たからもうすぐってわかったの」


「そこまでわかってるなら行かせて欲しいんですけど」


「水臭いぞケン!ぱぱっと終わらせて凱旋しようぜ!」


「私達なら魔王や側近レベルは無理ですけど露払いは出来ますよ」


「ケンは人間を殺せるのか?」


ゴーレムみたいな身体の戦士ロウフンがケンに質問する。それは暗殺する上で重要だ。


「直接はない。けどやるさ」


「役割分担ですYo!戦う少数精鋭OH!Yeah!」


特殊な話し方をする女性ヒーラーのウィンナが説得らしきことをしている。

ここまでバレてるなら独断専行は無理だろうと思い、勇者の盾に協力を申し出た。


「ただ、パーティー名みたいなことはしないでほしい」


船に乗り込みリントンはモーターを回す。船というよりヨットみたいな感じだなとケンとナホは思う。

王都に陸路で行けるのはトゥルエ(数字の12に当たる街)だけだ。

しかし、王都からは船で全ての街へ行くことは出来る。逆は反逆罪で即死刑になる重罪に科せられ監視の目も厳しい。


が、今政変軍を相手にしながら全ての港を厳重に見張ることは可能だろうか?

現時点で戦争が始まって現王軍が船で攻めて来たのは2回だけで割と少人数だった。ランウィはそれらの進行すらも読み切り大きな被害なく倒している。


「お父さんの読みだと今戦ってる向こう側の港から近づくのが良いらしいわ」


えっ?1番危ないんじゃ……

物資や人員が船で運ばれてるから1隻VS多数隻の兵士じゃ分が悪い。


「それがYo!向こうが乗ってるの魔族だったらコッチも乗ってるYo!対魔族の魔法使い3人残忍OH!!Yeah!」


「モーター駆動の船はそんなに作られてないはず、メインの魔族が乗った船に魔法をかけていけば、それだけでこちらも安全ですし戦争に加わる兵士を遅らせることが出来ます」


なるほど。ランウィさんらしい一手だ。1つの行動で複数の意味がある。それにモーター駆動の船じゃないってなら帆船かオールで漕ぐタイプだろう。それならこっちにも手段がある。


それにしてもウィンナさんみたいな話し方の人と会ったなら覚えてる自信あるけど全く印象にない。


「ケン。テンテンの街で貴族の傀儡になってる兄妹を覚えてるか?それが俺達だ。ケンの言った、俺だって今の状況は嫌だ!それでも一歩踏み出さなきゃ変わんねぇ!俺達その言葉で踏み出した」


あぁ、召喚されて初めのうちにテンテンの街は行ったな。覚えてる。俺が出くわした、当主が魔族に取って代わられて治安が良くなった最初の例だったな。

人間の親戚は信用ならないし、魔族は親戚よりマシだが僕達は何も出来ない。そう言ってたひょろ長い兄とその後ろに隠れた小柄な弟の兄弟だったよな。

それが今や2年で兄はゴリラに、そして弟は女の子?あれ?触れちゃいけないかな……


「まさかYo!ケンは昔の私のことを弟とか思ってたとかないYo!ね?」


思ってました。ごめんなさい。それにしても気弱でおどおどしてたのにこんな変わり方するなんて、どんな一歩を踏み込んだんだろ?


ルーシーさんはなんか記憶に残ってるんだよな。オルフェスとセキシンがタイプだ!って盛り上がって2人で告白して振られたのが懐かしい。


辛い環境でも耐えて戦えたのはあの2人のおかげだ。不味い飯も笑って不味いと言えたしバカ話をよくしてた。

こっちに来て友達がいるとするならアイツら2人が親友と言える。

ナホの願いでさえ見つからなかった2人だけど、生きてると信じてる。アイツらが簡単に死ぬもんか。


アイツらもし王都にいるなら絶対助けてやるからな。戦争に出てきたら保護してほしいとランウィさんには頼んでる。

実はこの拙い文で2作品目です。

話が気になった方はブックマークやレビュー、感想等を貰えると励みになります。

誤字脱字多いので指摘して貰えると助かります。

処女作、常識チートは非常識も良ければ閲覧お願いします。

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