魔族退治
「へえ、ニッポンは結婚するのにそんなことしなきゃいけないの。こっちは愛し合ってる2人が一緒に暮せば夫婦よ」
結局エアルゥに聞いたケン。忙しいランウィさんには聞けず、リントンには聞いてもどうだろうという結果だ。
「それじゃあもう私達夫婦なのね。だったら夫婦生活邪魔する魔族をやっつけないと」
そう意気込むが勇者特典があるとはいえまだまだレベルも30になったばかりのナホでは魔族の相手は危険がある。
そこでケン達は改めてアイテムボックスの中身を確認し始めた。馬車が入っていたのでアイテム生成で作ったものは消えてないのではないかと、装備を整えることにしたのだ。
そこにはかなりの数のアイテムが入っていた。栄養ドリンクの回復薬やナホに渡したダイヤモンドの指輪。
アリサ用にと色々武器や防具もあり、アリサの防具は体型的にシアンしか着れないが、武器はそれぞれ好きなやつを手に取った。
フラセは作った記憶のない弓矢がいっぱい有ったのでそれを選び、シアンはダガーを選んだ。
こっそり作って隠してた結婚指輪が見つかり渡すことになった。ケンはもっとムードのある時にと考えてたのだが、ナホが今すぐにしたいと押し切ったのだ。
「この指輪に不満はないけど、今のケンが作る指輪も欲しいの。それはしっかりムードを考えて渡してね?」
そしてこの言葉が決定打となった。
「いいなぁ。ご主人様の愛情いっぱい受けれてナホ様羨ましい!」
「そうね、シアンはいい子だからご主人様じゃなくて名前で呼んでもいいわよ」
「本当ですか!?ありがとうございます!ケン様ってこれから呼びますね!」
「皆。これから魔族と戦うことになると思う。直接戦うのは今は俺だけだ。ナホやアリサでもまだ下級魔族1人相手には出来ない」
そして魔族の強さを語り始めたのだ。
魔力が高く、それぞれに特殊能力を持つことが多く、生命力が強い。などなど。
「そして何より」
「力が強い。ね?ケンもあの漫画好きなんだ。私も見てたわよ」
「バレたか。その強い力と狡猾な手口でそれを振るってくるんだ。ただレベルを上げたり鍛えたりしてれば勝てる相手じゃない。そいつらに対抗してきた俺だからこそ戦えると思う。今の皆では魔族とは直接関わらないように気を付けてくれ」
「はい!」×3
「私は絶対に戦えるようになるからね!」
哨戒も兼ねたレベル上げも終わり、ランウィに与えられた宿に戻ることにした一行。その夜。
「ねえ君達。1つだけどんな願いでも叶えてあげるから、死んだあと僕に魂をくれるって人いない?」
アリサ、フラセ、シアンの泊まる部屋に小柄な優しい顔をした悪魔が現れた。
3人の反応は悪魔が驚くこととなる。
「じゃあ私から!ご主人様に買われてからずっと秘めてた気持ちを叶えたい!」
「何言ってんの?やっぱり妾より第二婦人になるのよ!」
「貴女達はちょっと頭が弱そうだから気付いてないかも知れないけど、御主人様って多分勇者ケンよ。私だってまだいけると思うし。御主人様ってきっと年上に弱いのよ」
コイツらは馬鹿な女達だ。そう確信した悪魔は仲間を呼び、3人共契約させようとした。
ナホと契約の仕方が多少違うのは、圧倒的なまでの才能の差である。幸福感からの転落を望むなら、1つの願いを叶えて死んだあとだと効率が悪い。
しかしナホみたいに願いを3つも叶えた上で、魂を刈り取るには上位悪魔位しか本来出来ないのだ。
それを見習いで出来たナホを、人間に戻すことに成功したアンジェリカはかなり昇格したとかしないとか。
つまり、この悪魔達に叶えれる願いもかなりグレードダウンしているのだ。
これで皆平等に叶えられるよ。そう悪魔は囁く。コイツラを手がかりにしてケンとナホを悪魔の道に引き込むか魂を取るために。
「それじゃあ私から!全知全能の神様になりたい!」
これはシアンだ。
「無限の魔力を」
こちらはアリサ
「どんな願いも代償も制限もなく叶えれる力を」
フラセだ。
「「「は?何言ってんの?無理に決まってんじゃん!」」」
悪魔達は困惑した。契約したあとにこれを言われたらアウトだった。どんな願いもと言ったが叶えれる願いにも限界がある。
まして1つしか叶えられないような悪魔程度では今のケンのステータスより多少強くなれる位が精々だ。
「それが出来ないなら契約出来ないかな」
「そうそう、する気ないから他の悪魔にもしっかり言っておいて」
(何しろ契約しないと願いが叶うんだから。まさかナホ様が話した次の日にすぐ来るなんて)
消えた後にハイタッチするアリサとシアン。
喜びと興奮のあまり寝付けずにはしゃぐ2人に隣の部屋にいたケンとナホが訪ねてくる。
「どうした?お前たちがはしゃぐなんて珍しいな?」
「ご主人様!あのですね!悪魔が3人?3匹?来たんです」
「そうなんです。まさか昨日聞いてすぐ来るなんて思ってなくて。しっかり断ったので、ケン様の妾じゃなく第二夫人にしてもらえるんですよね?」
「何言ってるの?私が奴隷として先輩なんだから私が第二夫人に決まってるでしょ!」
2人の剣幕にたじろぐが何を言ってるかわからないので返事が出来ずにいたらナホから助け舟がでた。
「ごめんね。この子達が悪魔に魅入られないためにケンと話したあとに、もし悪魔が来てしっかり追い払えたら褒美をあげる約束したの。それが」
「俺との結婚の権利か。約束したなら仕方ない。けど、お前たちのことは好きだけど、愛してるのはナホだけだぞ。それでもいいのか?」
その言葉に即答で、はい。と答える2人。そして……
「あの、もう1人余裕はないですか?私もしっかり追い払いました」
ここまで来たら同じだろうと言うことでフラセも妻となった。
実はこの拙い文で2作品目です。
話が気になった方はブックマークやレビュー、感想等を貰えると励みになります。
誤字脱字多いので指摘して貰えると助かります。
処女作、常識チートは非常識も良ければ閲覧お願いします。




