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ご機嫌斜めを真っ直ぐに

ガラァン。

その音がなる方を見たらケンが剣を落として動きを止めている。

ちょっとしたら剣を拾いそのまま指導を続けるが、さっきと違って動きが固い。


大きな蜥蜴が出てきたがケンが首を落とし一刀両断し。文字通り瞹殺だ。


「あらあら、私ったら余計なことを」


なんかよくわからないけどケンが不機嫌なのは分かるし、それを見てる私もなんだか嫌な感じがする。

だからこの女は嫌いなんだ。きっとあの時もこういう女が……。

なんのことだろう?余計に胸がざわつくような気がする。


嫌な雰囲気のまま迷宮攻略は進む。異様にアリサに優しいし、それに甘える小娘もどっちにも腹が立つ。


「そろそろ休憩にするぞ。家に帰るかここで休むか好きな方えらんで良いぞ」


満場一致で迷宮で休むことになった。アリサとアンジェは戦いに慣れるため、ナホは家に帰ると間違いなくアンジェと今日は寝る確信があったからだ。


実際に寝るタイミングになったら結界を2つ張りアンジェが呼ばれた。なんか今までで一番嫌な気持ちになってるけど文句も言えない。言いたくないのだ。


何か小娘が言ってるけど聞きたくない。そんな余裕なんてない。自分に魔法使って寝よう。そう思い使ったナホだが。

ただ、1つだけ意識が落ちる前に聞こえた言葉がある。


「よかったです。ご主人様のことなんとも思ってなくて」


そんなわけあるか。そう思った時にはナホは寝ていた。


「おはよう」


ただでさえ赤い目を更に充血させ、目の下には隈を作った不機嫌そうなケンが声をかけてきた。


私が何か言う前に、心配する振りをしながら甘えつつ、これからまた寝た方がいいと提案している。

ケンはアンタの提案なんて、それに今まで選ばれたこと無い癖に。


「そうだな。迷宮では危険だよな。ありがとう」


アリサの手を取ってテントに入ろうとするのを見たナホは、声を出すより先に動いた。


「いて、なにす」

「いいから来て!」


2人から離れた所まで走って距離を取る。もう良いかと思い止まって向き合うナホ。


「俺は眠いんだ。アリサと寝るの邪魔すんなよ」

「ねえ聞いて。悪魔とか勇者とかそういう言葉を使わない私達って他人にどう言えばいい?友達?」


睡眠不足や昨日のことでのイライラがある中で回らない頭でケンは考える。


友達ではないな。恋人でもない。契約は言えないし。

パーティー?いや、そんな見て分かることを敢えて言ったり聞いたりする奴はいないだろ。

この世界で唯一俺と一緒になってくれた存在。そんなことスキルの影響受けたとしても、口が裂けたって言えるか!

利害の一致でいつも一緒にいる需要と供給の関係って……


「ビジネスパートナー?あれ?違う、それはナホが言うから」


その言葉を聞いてショックを受けるナホ。


「いや、なんでナホが嫌そうな顔すんだよ。言ったのそっちじゃんか」



一方奴隷組


「アンジェさん。私もうちょっとでご主人様に選ばれたのに」


「焦ったら駄目よ。御主人様はアリサのこと好きなのは間違いないから。私がそれを間違ったことないのが自慢なのよ」


「じゃあアンジェさんもご主人様に好かれてる?」


「私のはちょっと違うわ。嫌われてはないと思うけど、多分これから家に帰ってナホさんとするけど、気持ちで負けちゃ駄目よ」


「あっ。帰ってきました」


「いきなり消えて悪かった。フラセとシアンのこともあるし一度帰るわ」


アンジェの言葉通りになって落ち込むアリサ。その落ちた頭に手が乗る。


「心配してくれてありがとう。奴隷商でアリサを選んで良かったよ」


自分はなんてチョロい女だろうと思うも嬉しくて仕方ない。そうだ。始めから自分は選ばれてご主人様といるんだ!それに気付けてさっきの悲しみが薄れていく。


数時間程眠ったのでレベル上げを開始する。今回だけで魔族を倒せる位強くなるのは無理なので何度かに分けて上げて行こう。


「ケンのアイテム生成で強力な装備とか作れないの?」


「いや、あれだよ。きっと素材とか足りないし、きっとアンジェは銃よりアーチェリー派だし。超音波ソードは切れ味が良くなるだけで元々切れない物を切れるようにはならないんだぜ?」


「つまり?」

「うっかり忘れてた。チート有っても使わなきゃ意味ないな。お願いはなるべく使わないようには意識してるんだけど」


結果、アンジェにはアーチェリー型の魔法射出器を作り、アリサには結局超音波ソードにしたのだ。


「私にはなんか無いわけ?」


「そういえば、たまたまナホの指に嵌りそうな輪っかあるからやるよ。一応結界系の防御魔法と回復魔法も付けてるから大事にしろよ」


そう言ってケンは薬指に合う大きさの、ダイヤモンドを拵えた指輪を箱に入れて渡した。


「……」


「なんか言えよ」


「大事に仕舞っておくのと常に着けてるのどっちが嬉しい?」


「…………」


「何か言ってよ」


「今日はセドンの街でゆっくりするか。俺達の作った調味料とかでどう変わったのか知りたいし」


「ねえ、どっちなのよ!」


ナホの言葉を聞こえない振りして町へと繰り出すケン。後ろから聞いたことある声に話しかけられる。


「あっ!あの真っ赤な髪はきっとお兄ちゃんだよ!」


「あっ、クルト!人違いだったらどうするのさ!」


ケンが振り返るとイアンの町にいた兄弟だった。走ってくるクルトを抱きかかえて、兄さんの言うこと聞いてるかと確認するケン。


「その節は息子達がお世話になったそうで、しかもクルトの命を救ってくれたとか」


その声、その顔。ケンは覚えてる。いや、会いたかった人でもあった。ボロボロのケンに林檎を渡してくれた男性だ。


「いえいえ、僕の方こそ貴方にはずっと感謝してました!僕のせいでイアン落ちになったみたいで本当に悪かったと思って、でもあの林檎(翻訳でコンメーキュと聞こえる)の味は今でも覚えてます」


言ってから気付く。あの時と見た目が変わってるし、自分のことがバレたら困る。勇者がいなくなったのは世界にとって大事件なのだ。


そんなケンの心配を余所に男性は正体に気付いた上で騒ぎ立てなかった。


「本当によかった。知らない世界から連れてこられ、無理矢理戦わせられる貴方のことを、心配してる人は貴方が思ってるより多いんです。今は綺麗な奥さんと幸せそうでよかった」


「あの、ケイン君が奥様が亡くなられたと言ってましたが、もしかして俺のせいじゃ……」


「違います。妻は元々病気持ちで、あそこでは治療費が払えなかったですけど、イアンの教会に行ったら格安で治療してくれましたよ。治せはしなかったですけど」


だから気にしないでくださいと逆に励まされた。

どうやら商人をやっていてセドンとイアンを行き来してるのだそうだ。

この前戻ったらクルトが危険なことをしてるので、仕入れの旅に連れてくことにしたと笑顔で話してくれた。


「ロハスさんがケンの言ってたイアンで会いたかった人なのね」


「まさかあの兄弟のお父さんだったとはね」


「アイテム生成で作ったマジックバックに驚いて最初拒否してたけど、使ったらもっと驚くんじゃない?」


「だろうね、でもロハスさんなら極端な金稼ぎに走らず子供達との時間を大切にするだろうさ」

実はこの拙い文で2作品目です。

話が気になった方はブックマークやレビュー、感想等を貰えると励みになります。

誤字脱字多いので指摘して貰えると助かります。

処女作、常識チートは非常識も良ければ閲覧お願いします。

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