邂逅
「それじゃあ、契約通りお願い♪」
この話は召喚された少年が酷使され絶望したところに現れた悪魔と契約し、
「このぉ!悪魔ぁ!」
国に振り回された勇者が、今度は悪魔と天使に振り回されながらも幸せを掴もうとするお話。
「ハァ、ハァ。やっと今日も終わった」
召喚されてすぐに奴隷の首輪を着けられ馬車馬のように働かされてきた俺だけど、国軍が魔王を倒してからは更に酷くなった。役立たずだのなんだのバッシングの嵐。
俺が魔王も側近も引きつけて弱らせたんだ。最後の攻撃を不意討ちで決めた奴が英雄なんて。勿論魔王や魔族と戦えたのは俺に友好的な兵士とその中でも親友と呼べる2人の助力あってこそだったけど。
その兵士達だって今は左遷させられたって聞いてる。
後はまともな食事も与えられずに、ただひたすらモンスターと戦わされる日々。
楽しみは何もなく、短い睡眠時間も悪夢しか見ない。
日本での生活に戻りたい。いつまでこんなことをし続けていれば……
「もういっそ死にたい」
「ならその命を対価と引き換えで私に頂戴♪」
誰だ!妖艶で露出の高いビキニみたいな衣装を着ている美女が話しかけてきた。
いや待て。なんだか身体が軽いし、こっちに来てからずっとあった倦怠感もなくなった。あれ?奴隷の首輪も無くなってる。
「ふふふ。身体が楽になったでしょ?それはサービスよ♪私と契約したあとに貴方の願いを3つ叶えたら魂を頂戴♪あっ、願いを1万個とか1万回にしてとか言ったら、同じ願いを1万回叶えるんだから。勿論、数を変えてもダーメ!断ったら身体もさっきのままよ。バイバーイって感じ」
分かりやすい。この国の王より話が出来そうだ。契約したあとにって言ったな。
「何個か質問させてくれ。何故俺なのか、君の呼び名、悪魔だし真名を言えとか言わない、そして悪魔側から契約不履行したらどうなるのか」
「君の絶大な絶望と憎しみを持った魂を私の物に出来たら大戦果だからよ!名前は好きに呼んでよ。最後のはあり得ないわ、だって、そんなことしたら死ぬより大変な目に合うんだもの、そんなことする悪魔はイナイ♪」
どうやら口は軽そうだな。俺の知りたいことは教えてもらった。でも、誤魔化す為にまだ話そう。
「願いを叶えたら絶望と憎しみはなくなるんじゃないのか?どうして直接殺したりしない?」
「だぁってぇ。願いを叶えきった後にする後悔や自己満足とプラスされて負の感情が増幅されるんですものぉ。私達が対象の人間に直接何かするのはルールだからとしか言えないわ。その他は何しても許されるの♪」
よし!この流れで契約するか。その時にこっそり俺が有利になる契約をしてやるからな。
「わかった。このままじゃ飼い殺しだ。やりたいことやって死のう。契約だ!その代わり契約は話した通りの内容だけだよな?後出しルールは認めないOK?」
「オッケーよ♪」
足元に魔法陣が出てきたら悪魔が俺にキスをしてきた。どうやらこれで契約完了みたいだな、ん。コイツ舌を入れてきやがった。
「ふふふ。どう?気持ちいいでしょう?願いを言えばスッキリさせてあげる」
なるほどな。ササッと手早く済ますつもりか。ならばこちらも手早く願いを叶えて貰うか。こちとら日本では現役厨二病患者だぞ!こんな妄想何回したと思ってる!甘く見るな!
「ああ。ずっと不満と一緒に溜まってたんだ。だからお願いする」
何でも言って良いのよ?と俺の願いにブーストをかける。
「ああ、それじゃあ最初の願いは」
「願いは?」
「1つ目の叶える願いを一万種類にしてくれ!」
「はぁ?何言ってんの?アンタ見た目通りバカなのね?だから良いように使われてこんなところにいるのよってなんで!?」
この悪魔の身体にサソリが這い回り半透明になっていく。だけどこれは当然だろう。
「願いを万"個"とも万"回"とも言わないで好きにお願いしたんだ。どうやら契約上間違ってるのはアンタみたいだな?」
そう。初めから願いの数を増やすのは駄目と言われたらアウトだった。まあ、その時は違う願いにするつもりだったけど。
おっ。どうやら契約不履行は避けたいらしく願いは受理された。
しっかりお願いしないとな。
「それじゃあ契約通りお願い♪」
「このぉ!悪魔ぁ!」
悪魔もそんなフレーズ使うんだ。勉強なったな。
この悪魔の名前考えてあげないとな。長ーい付き合いになりそうだからな。
うーん。そうだ!ナホなんて可愛くないか!
「お前の名前がきまったぞ。なんだっけかな?お、ナホだった」
「アンタ!目的が見え透いてんのよ!地獄に堕ちろぉぉぉ!」
実はこの拙い文で2作品目です。
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