表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

第1話「私、転生しちゃいました」

よろしくお願いします。

 私は某少年誌のイベントに行くため、

 深夜4時、家を出た。

 徒歩、電車、乗り換えと移動手段を切り替えるうちに

 何かよくわからない駅にたどり着いた。

「次は子猫ちゃん~子猫ちゃん~」

 その駅名に疑問を覚えた私は、

 先に進むことが怖くなり、

 子猫ちゃんという駅に降り立った。


 どうみても王子様にしか見えない衣装の駅員が

「よく来たね、僕の子猫ちゃん」

 とウインクしてきた。


「ないわぁ」

 

 正直に感情を口にした瞬間、

 私の意識は消えた。


「次は異世界転生~異世界転生でございます~」


 目が覚めると私は意思だけの存在になっていた。

 貴族と思わしき家に生まれ、

 何不住なく育ち、

 いずれは王妃と言われるように王都にほど近い屋敷に

 私は暮らしているようだった。


(まあ、何も考えなくていいから楽でいいや)

 ドラマの配信でもみているような気持ちで

 私は貴族ファルメリア家の長カルリの一部として

 人生を終えるはずだった。


「誰か、助けて…」


 カルリの乗る馬車は王都へ向かう途中、

 盗賊に襲われた。


 幸いにしてカルリだけは逃げ出すことが出来たが

 慣れぬ山道のせいで遭難していた。


(やばいなぁカルリちゃん、このままだと)


 それなりに見てきた手前、

 このまま死なせるわけにもいかず、

 私は少しだけ手助けができないか

 考えていた。


 力を込め、木の実を落としてみたり

 近くの湖まで引っ張ろうとしたけど

 うまくは行かなかった。

 そのうち、カルリは倒れ

 このままだと衰弱死してしまうと

 私は思った。


「んん~子猫ちゃん~子猫ちゃん~」

 妙な警笛を鳴らす蒸気機関車が現れるまで

 私の心は酷く現実的で必死だった。

 怒りに震えた私は力いっぱい叫ぶ。


「助けて、駅員さん!」


 蒸気が一瞬止まったかと思うと

 猛烈な勢いでカルリのほうに近づいてきた。


「誰だい~僕を呼ぶ素敵な子猫ちゃんは~」


 カルリが見つかりやすいように

 思いっきり手をふる。


「ん~誰?幽霊?」


 「失礼な!」


「ああ君か。お久しぶり。

 駅員王子改め駅長王子キラメキ・ザ・スコティッシュだよ!」


 「そんなことよりカルリを!助けてあげて」


「ああ、この子…あれ?おかしいね、もう他の誰かに転生してるよ」


「言っている意味が分からないんですけど…」


「ああ、この子の魂はもう、生まれ変わっているってことさ!」


私はカルリちゃんを守り切れなかったことに絶望していたと思う。


「ん~生まれ変わった先の名前は如月友梨佳!君の肉体だね!」


「ふざけんなぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁl!」


私は生まれて初めて、本気で叫んだ。



ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ