どうか! 僕の子供を産んでくれないか!!!
僕は、53歳の未婚だ、、、!
恋愛経験もないし、、、。
女性とどう? 接していいのか分からない、、、!
僕の名前は、『野呂 敏夫』仕事は万年補欠の営業マン。
仕事が取れなくて、いつもノルマまで達しない、、、!
僕より若い世代の男の子達は、どんどん僕を追い越していく...。
僕は、みんなに陰でこう、呼ばれているあだ名があるんだ、、、!
それが、、、『のろまのとしお!』
何をやってもドジばかり踏んで、この歳でも怒られてばかりなんだよ!
いつの間にか、、、?
僕は、出世から遠のいてしまった...。
恋愛も仕事も、まったく出来ない!
仕事場の若い子達には、、、のろまのとしおと陰て呼ばれて、、、。
僕の人生って、、、?
【何なんだろうな......。】
▽
そんなある時、、、。
僕の働く職場に、新しく入ってきた若い女の子がいたんだ、、、!
職場は、ほとんど男ばかりで男臭が漂っていたのだけど、、、?
彼女が入って来てからというもの...。
職場の中が、パッと明るくなったように感じるんだよ!
しかも、、、?
我よ我よと、、、!
彼女に、職場の男どもは群がるように集まるようになっていったんだ、、、!
『ねえねえ、さなちゃんは、、、? 彼氏とかいるの?』
『可愛いしねえ~そりゃ~いるよねぇ~』
『・・・えぇ!? いませんよ~!』
『本当に!? マジで、嬉しい!!!』
『じゃ~俺! さなちゃんの彼氏候補に立候補しようかな、、、?』
『おれも! おれも!』
『もぉ~何言ってるんですか~』
『ホント! 可愛いな~さなちゃん!』
鼻の下を伸ばした男たちは、、、さなちゃんにメロメロだった、、、。
僕も実は、、、その一人だったんだけど、、、。
恥ずかしくて、僕はとてもじゃないけど、、、?
さなちゃんの彼氏候補に立候補は出来なかったんだ、、、!
いい歳だし、仕事も出来ないのに、、、。
どうせ! 僕なんか? さなちゃんに選ばれたりしないだろうと諦める
事にしたんだよ、、、!
▼
そんな時、、、何十年ぶりかに、、、!
僕が小学校の時の【初恋の人】と偶然、街でバッタリと出会ってしまったんだ!
『あぁ! 野呂君? ・・・野呂君だよね? 今、何してるの、、、?』
『・・・あぁ、滝川さん? 久しぶりだね!』
『ううん! 野呂君はあんまり変わってないんだねぇ~!』
『滝川さんは、とっても綺麗になったよ!』
『あら? 野呂君、そんな事、言う人だったけ、、、?』
『まあね! 僕も大人になったって事かな、、、?』
『立ち話じゃ~なんだから! 何処かで今から、話せない、、、?』
『あぁ、いいよ! 時間あるしね!』
『じゃ~あそこにあるお洒落な喫茶店にしましょう~!』
『あぁ、うん! いいね!』
僕と滝川さんは、近くにあった喫茶店に向かう事にしたんだ、、、!
僕は滝川さんと話ながら、思っていた、、、!
流石にお互い、53歳で老けたな~と...。
あの頃は、凄く可愛い女の子だと想っていたのだけど、、、。
今の滝川さんを近くで見ると、、、?
シワも多くなったし、それに体型もかなりぼっちゃりに変わっていたし。
そりゃ~あの頃の面影もあったけど、、、?
やっぱり想い出は思い出のままの方が良かったのかもしれないと感じたんだ、、、!
『野呂君は、結婚は、、、?』
『・・・僕は、まだ、結婚してないよ! イイ女性とまだ出会って
ないんだと思うよ!』
『あら? そうなんだ~! 私は結婚してね! 名前も“滝川”から“前野”に
なったのよ! 子供も、24歳の女の子と21歳の男の子の二人いるのよ!』
『・・・へーえ! 二人も子供がいるんだねぇ~』
『そうそう! 子供はいいわよ! 女の幸せを感じるから、、、!』
『僕には、分からないな~!』
『野呂君も、自分の子供がデキれば! 考え方も変わるわよ~!』
『・・・そういうモノかな、、、?』
『そうよ! 好きな女性ぐらい、いないの、、、?』
『あぁ! それなら、いるにはいるけど、、、?』
『ちゃんと、自分の気持ちを伝えた方がいいわよ! もう、私たちも人生の
折り返し地点なんだから! 迷ってる暇はないのよ!』
『・・・うーん、そうだね!』
『そうよ! じゃ、頑張ってね、野呂君!』
『・・・ううん。』
滝川さんとは、、、?
1時間ほど話して、お互いの連絡先も交換せず分かれてしまった...。
▽
僕は、滝川さんと会った次の日、、、。
思い切って! さなちゃんに、二人で話したい事があると言って、、、。
さなちゃんを呼び出したんだ、、、!
『ごめんね、急に呼び出したりなんかして、、、。』
『・・・正直、ビックリしましたよ! 野呂さん! 私がこの職場にきてから
ろくに話したことないし! てっきり私は嫌われているんだと思っていました。』
『そんな訳ないじゃん! 僕はさなちゃんの事が好きだよ!』
『えぇ!?』
『思い切って! 【僕の本音】をさなちゃんに言うよ!』
『・・・えぇ!? 何ですか?』
『ぼ.ぼ.僕の! 子供を産んでくれないか、、、?』
『はぁ!?』
『・・・ダ.ダメかな、、、?』
『ダメに決まってます!!! 何を言うかと思えば、、、? 野呂さんには本当
にガッカリしました! 幻滅です! 仕事以外でこれから、私に話しかけてこな
いでください! じゃあ!』
『・・・・・・』
僕は、完全にさなちゃんに嫌われてしまった、、、!
53歳、人生折り返し地点! 迷わず、僕の想った事をさなちゃんに
そのまま、ぶつけたら、、、?
見事に!!! 『撃沈。』
・・・もう、これからは!
正直に、思った事を言わないようにしよう...。
これからは、人目に触れずひっそりと生きて行くよ。
最後までお読みいただきありがとうございます。