ペンは確かに強かった
出掛けた先で絡まれた。
うん、これも異世界あるあるかもしれない。
明らかに相手からぶつかって来たのだが、因縁をつけられている。
なんとかなだめすかして場を収めようとしたが、なにか気に障ったのか、それとも最初から痛めつけるつもりだったのか。ついには剣まで抜いてきた。
相手は三人。しかも剣を持っている。
こちらは丸腰。持っているのはペンだけだ。
誰か助けてくれないかと辺りを見回すが、みんな遠巻きに見守るだけ。
衛兵が助けにくるような気配もない。
「とりあえず死んどけ」
そんなことを軽く言い放ち剣で斬りかかってきた。
斬られると思った俺は思わずペンを突き出した。
相手の剣が砕けた。
それはもうなんの形も残さずに木っ端みじんに砕けた。
俺も相手もびっくり。周りの皆さんも固まっている。
「てめぇ、なにしやがった!」
いち早く正気に戻った奴が叫んできた。
ぃゃ、なにしたってペンを突き出しただけなんですけどね。
そこからは無双だった。
残る二人が持つ剣も砕き、まとめてペンで打ち倒した。
街の人達は拍手喝采。どうやら色々と迷惑をかけていたならず者だったらしい。
衛兵も手を焼いていたらしく、どうにもできなかったのだとか。
みんな困ってたんだね。助けになれてなによりだよ。
でもね……
「こういうことじゃねぇーーーー!!」
魂の叫びは吸い込まれていく。どこまでも高い青空へと。
女神様まで届いたろうか?