超能力開発指数
超能力開発指数。この指数は3つの視点から捉えられる。
人間としての精神的安定度。超能力者は超能力者である前に人間である。超能力者の大半は、後には様々な戦争に介入する定めを持っているため、できる限り精神状態が安定しているのが望ましい。
超能力の応用力。超能力は多種多様だ。圧倒的な破壊力をもつものから限られた状況でしか作用しないものまで様々だ。だからこそ、その能力を応用して新しい使い方を考案することは望ましいことなのだ。
超能力自体の価値。超能力は無数に存在する。それらには全て系統があり、上下互換が定められているものも少なくない。その中で最上位に達しているものや、観測されたことのない希少能力者の順位は高くなる。
これら3つを考慮して、学園が集めていたデータを元に生徒を5段階に分けていく。0,1,2,3,4と。開発指数0の中等部以上の生徒は全員戦力外となる。この時点で1000人ほどの首切りが成された。
さらに高等部2年生時点で開発指数1の生徒はこれからの成長を望めないという理由で他校に無償トレードされるか、あるいは普通制高校に転校と言う形をとる。学園営業はビジネスだ。多額の契約金で華々しく入学したもののそこから戦力外とならずに残り続けることのが難しい。誰もがそれを理解した上で日々生きているのだ。
現在高等部3年生はもう時期卒業と言う事情から開発指数開示は行われなかった。もう実質的に学園生徒の主軸は2年生に移行しつつあるのだ。
纏めると、中等部以上の生徒で開発指数0の生徒は見込みがないということで戦力外扱い。高等部2年生、現時点での最高学年で開発指数1の生徒も戦力外扱いということになる。高等部2年生は最低でも開発指数2ではないと生き残れないのだ。
10月。プロ野球のチームが戦力外通告をする季節に、学園も怒涛の勢いで戦力外通告をしていく。
生き残りが確定しているような旧学年順位上位層には欠伸が止まらない季節でもある。学年順位はかなりの変更を加えられるが、未来や美咲は既に超能力者開発指数3の確約をもらっている。大智やリーコンは確約こそ貰っていないものの、首を切られるほどに才覚のない訳では無い。
「今まで学園一のお荷物校として笑われてきた。廃校の危機に何度も瀕した。幼稚舎から囲ってきた生徒も他校のそれに比べれば遥かに基準に達していなかった。それが今はどうだ。総市場価値は全体6位までのし上がった。それが例え金で集めた外様集団のおかげであろうと、結果が全てだ。」
学園長は息巻いていた。横浜校は総市場価値全体1位になったことは、長い超能力者学園の歴史の中でも2回しかなかった。全体最下位になった回数は実に22回。特に2000年代は10回の全体最下位。いつ1位になるかよりもいつ廃校になるかの方が取りざたされてた。そんな暗黒期を乗り越えて、栄光の時間を得ようとしているのだ。スカウティングに力を入れて、優れた子供には全く金を惜しまない。幼稚舎からの生え抜きに見切りを付けて、高等部からの生徒を大量獲得。合法非合法問わずに有望な超能力者は大事にすることで今の横浜校があるのだ。
「我々は新しい時代を作っていく。新しいものの前には古いものが滅びていくのは致し方ない犠牲なのだ。」
横浜校上層部はイリイチや翔と言った順位非公表生徒の順位を公表することを決めた。総市場価値全体第6位という数字には、イリイチや翔の価値は入っていない。彼らの他、裏契約金込みで入った生徒もさらけ出す。
「大人の都合に操られる哀れな子どもと同情されるほどに落ちぶれてはいない。」
イリイチも覚悟を決めていた。生徒会の改選を決定事項にする為にも、ここで文句をつけて、決まっていることだからと月並みな反応をされて時間を消費するよりも、新しい基準が出来る前に決めて古い基準を生かそうとしていた。
「現実的な落とし所ね。現時点での2大派閥が妥協した方がいいに決まってるわ。」
超能力者開発指数はまだ公示されていない。だが学年1位という強力な看板はもう直ぐに無くなる。リーコンの打診に美咲は賛成の回答をするのであった。




