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Keep Yourself Alive 第六感の場合  作者: 東山琉生
外道、日本に立つ。
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Doing All Right

有能な者に払う金ほど有意義なものは無い。そいつが優秀であればあるほど、札束を積み立て、しまいには札束でビンタしたくなるほどだ。ロシアで稼いだ金は凍結され俺の手元には戻ってこないし、契約金を使い切れば、不器用な俺はまた殺人を通貨に変える仕事をしなくてはなる。それでもこの前の如く、いきなり狙撃されて対抗手段もなく、逃げるのに時間を省くのはもうゴメンだ。そのために護衛が欲しいと思った。俺より優秀な。だが、日本といういわば未知の地で信用と実力を兼ね備えた有能を探すのは非常に厳しいのが現実だった。

「超能力って、どうやって使えるようになるんかな。」

学校をさ迷い、教員に使い方を聞いてみたが、どれも要領を得ない説明ばかりだ。次に友人たちに聞いてみたが、どうも皆さん勘でやっていらっしゃるらしく、「契約金50億円のスーパールーキーくん」は最初の最初でスランプに陥ってしまった。

「調子はどうだい、契約金50億円のシックスセンスくん。」

「最悪だよ…誰だお前。」

「僕が何者かなんてどうでもいいことさ。そのシックスセンスで当ててみたらどうだい。」

生徒の皆さんは無理難題をおっしゃる。だがこいつはどうもかなりの情報通のようだ。

「俺がシックスセンスで契約金50億円のことを知ってる時点で中々の猛者だと思うがね。」

「ご名答。僕が猛者で天才であることに気づいたのはきみが初めてだ。正解の1本だ。」

電波だ。電波以外の何物でもない。言うことを予測したが、全てが痛々しい。

「そもそもこの学校の評価基準は間違ってると思わないかね、明智くん。超能力を使えるからなんだというのだ。僕やきみみたいに超能力を使えなくとも優秀な人材は転がっているというのに、全く世の中馬鹿ばかりだ。全く。」

じゃあお前も馬鹿じゃねぇかと言いかけたが、重要なのはそこじゃない。超能力を使えない人材はこの学校に一定数いるという事だ。そいつは普通に考えれば無能の烙印を押され退学処分(クビ)になっていてもおかしくはない。シックスセンスを知ってることといい50億円を知ってるといい、こいつはかなり特殊な野郎だ。

「電波くん。名前はなんだ。」

「ミシェルだ。」

「日本人じゃあないな。アメリカ人か。」

「答えはお前の中にある。」

どこかズレてはいるか、優秀であるのは間違いない。こいつとはよき友人でいた方がいい。

「そうか、じゃあ良き友人でいようk…」

勘は警報を鳴らしまくり、頭痛すら起きる。敵性が何人、いや数十人単位でいることが確認できた。

「実力テストだ。明智くん。きみの契約金をうっかり喋ったら、彼らは名前を売るために何をすると思う?」

「俺はこう言うな。名前を売りたいのなら、手っ取り早くや袋にすればいいと」

「ご名答。また1本やろう。」

「どうも…」

落ち着いてまた1本咥えていると、敵性たちは雁首揃えて首を取りに来た。

慌てずに丁寧に攻撃を避ける。さすがに光線を喰らって無事で済むほど頑丈ではない。

接近戦に持ち込めばシックスセンス的には不利になるが、この戦い、そもそも近づかない限りには勝ち目はない。

一瞬の隙を作るのはやはり一瞬である。瞬間的に攻撃が止むのを待ち、その隙に近づく。

腕時計を指に巻き、即席のメリケンサックとして、相手の鼻に叩き込む。鼻血が吹き出ると彼らにも動揺が走る。

とにかく使える暴力は使い尽くした。ただのパンチ、キック、肘打ち、頭突き。超能力者と言えど、接近戦に持ち込まれると厳しいものがあるのか、あるいは超能力に頼りすぎているのかは不明だが、思ったよりも苦戦はしなかった。だが…

「気持ちよく寝てなよォ!」

喫煙所に置かれる巨大灰皿。あれを人の頭にフルスイングするとどうなるか。理科の実験もびっくりの激しい激痛が走る。

身体のバランスが上手く取れない。立ってることは出来るが、それ以上のことは未知の世界だ。

頭の動線が何本かブチ切れたのか、シックスセンスが反応しない。ここから先は本当に未知だ。

「気持ちよく寝てろだ?誰に向かって吠えてやがる。糞ガキ共がよ!」

そこから先は殺戮だった。よくあることは記憶が消えるとか飛ぶとかだが、意外と飛ばないものだ。意志を持ち続け、人間をタンパク質に変えるだけであった。少なくとも教員が走ってくるまでは死体蹴りを続けようと意識ありきで行っていた。

「さすが、流石だ。イリイチ君。きみは完全(パーフェクト)だ。これ以上ない!」

電波野郎は興奮が止まらない様子で笑顔を浮かべながらそう呟いた。

「おい、電波野郎。本名を言え。」

「流石だな、イリイチ君。君には本名を言うだけの価値がある。僕の名はブライアン。イギリス人だ。」

「そうか、よろしくな三枚舌外交くん。」

「あぁ、よろしく。奴隷くん。」



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