喜劇
「こちらリーコン。情報開示を求める。開示内容は2年生女子生徒桑原未来と高橋美咲の全ての情報だ。」
「学生証の提示を」
学生証を投げ捨てる。それを確認し、間違いなく内務委員会委員長であることを認証する。
「リーコン殿。どうぞ。」
扉が開かれる。ここはこの学園の全ての情報がある巨大な情報管理室だ。膨大な情報を全て管理し、秘匿するために頑丈な警備とネットワーク規制がかかっている。
そして、生徒会のメンバーであろうと、限られた情報にしかアクセス権は与えられない。それがたとえ学園内の内務を担当し、情報を飯の種にしている内務委員会委員長であろうと。
ノートパソコンにアクセスする。当然ながらこのパソコンは限定的なアクセス権しかない。だが、当局が掴んでいるあの2人の情報は全て記載されているのだ。
幼稚舎と中等部のデータは既にアクセス済みだ。肝心なのは高等部のデータである。そこには個人情報の保護なんてまるで無関心なように膨大で確かな情報が書いてあった。
「現在学年は高等部2年生。市場価値は7,125,500,000円。70億円程。超能力判定は7段階評価で7。精神的な安定を得られれば今すぐにでも実戦投入可能。特殊能力は4次元空間。違う次元にあらゆるものを保管しておき、即座に取り出すことができる…。」
重要な情報ではあるが、それだけでは足りない。個人的な人間関係もあるはずだ。それは高橋美咲の情報アクセス権と併せて見れる。
「現在学年は高等部2年生。市場価値は7,130,000,000円。こちらも70億円程。超能力判定は7段階評価で6。超能力者としては劣ることもありゆるが精神力は完成しており、即座な実戦投入も可能。特殊能力は鋼鉄線の糸。鋼鉄線で出来た糸を自在に生み出し自在に操る。攻撃面でも防御面でも優れており、簡単な拘束や、擬似的な飛行も可能。」
この2人の情報を合わせることによってあるデータが出てくる。
「学年1位と2位の両者ではあるが、その関係は11年前まで遡る。勝気な高橋美咲と内気な桑原未来は両者の頂点と欠点を補強しあい、高等部までは親友と言ってもいいほどの仲を持っていた。それが崩れたのが高等部1学年次。高橋には性的嗜好のひとつにレズビアンがあった。長年の思いを伝えるために告白するものの、桑原は拒絶。愛情を憎しみに変換し、高橋が桑原をつけ狙うようになった。現在2人はとても険悪であり、もし接触する機会があればその時は殺し合いに発展する可能性がある。」
リーコンは唖然としていた。物事はいつも想像の上を行く。精々男を寝取られたとかそういうレベルの話だと思っていたのだ。
「…高橋がレズ?じゃあ、鈴木翔とはどういう付き合いなんだよ?」
困惑のあまり硬直していた。だが、推理が着きつつあった。
「お友だちって訳か?いや、それは無い。1番可能性があるのは…」
バイセクシャル。ようは両性愛者だ。両性愛者とはいえ10年間の付き合いの中で本当に愛を渡すに値すると感じたのだろう。
「頭がクラクラしてきた…。イリイチが喜びそうな答えだ…。」
守秘義務がある以上話すことは出来ないが、思考を読まれるのまでは守秘義務には入らない。今頃あいつは腹抱えて笑っているだろうな。
「……解決の方法がない。」
本当にない。10年間の愛を拒絶されればそれは憎しみに変わるのも理解できるし、同性の親友に告白されれば、それは拒絶して当然でもある。その後、1種のトラウマを忘れるために色恋沙汰が絶えなくなったのは理解が及ぶ。失踪の原因は怒りで我を忘れて、ナイフでも振るって、その屍を4次元空間に入れたのだろう。
だからといって、終わらせ方がないのだ。未来に狙われる可能性はあまり高くない。どうも彼女の性格を考えるにこちらが誠実にしている分にはこちらには危害は向かないだろう。だが、今度は高橋だ。まさか…。
「今までの彼氏を意識不明にしたり行方不明にしたのは…!」
事件の真相がこれであれば、物事というのはなんと喜びや楽しみに満ち溢れているのだろうか。もしこの線で行けば、関与を否定するのは当たり前なのだ。
つまりは…
「真実はいつも締まらないものばかりだ。」
書いているときにこのオチ思いつきました。人間って怖いっすよね




