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Keep Yourself Alive 第六感の場合  作者: 東山ルイ
異常者たちの哀歌。
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相互監視

リーコンは有頂天だった。知り合ってから1週間だと言うのにもう彼女になったのだ。

「彼女って最高だな!持ってるAV全部捨てよう!」

ハッスルしていた。ココ最近いいことが続いている。チェーカーとして人間の限界まで精神を病んでいた頃に比べれば、内務委員にもなれたし、イリイチと大智という盾と剣も手に入れた。彼女も出来たし、あとは2年生の有力な生徒を屈服させられれば、自分が生徒会長になるのだって夢じゃない。

「なんてたって性格がいい。まるで俺の事を全て知っているみたいだ。好みも全てわかっている。なんて気分がいいのだろうか!」

ハッスルモードのままデートに向かうのだった。

少し早く着きすぎたのか。予定の時間よりも30分は早い。

仕方ないと思い、黙って待っているともう1人の男が現れた。

「鈴木翔。久しぶりだな。」

「なんだ。イリイチの犬野郎か。」

翔にとってはリーコンは嫌なやつだ。様々な事件の首謀者の従順な犬だ。

「犬とは嫌な言い方だな。そんなんじゃ女が寄り付かないぞ。」

「そりゃあお前もそうだろ。わんわん吠えてうるせぇ駄犬には牝犬だって寄り付かねぇ。」

相性の悪い2人だが、どちらにもそれなりの理由があるものだ。仕方がないと思い、2人とも黙って相手を待つ。

ちょうど同じタイミングだった。そしてちょうど逆の道からきて、同時期に相手と会った。

「お待たせーリーコンくん。」

「ちょっと遅れたわ、ごめんね。翔。」

2人の男は少し照れた顔で待ってないと言おうとした時だった。

2人の女は舌打ちをした。それは自分に向けたものなのかと、少し戸惑うが、向けた相手は直ぐにわかった。

「嫌なやつがなんでいるんだよ。」

「こっちのセリフだ。年中発情期の牝犬め。」

険悪なムードだ。仲の良いもの同士の冗談とは少し違う。

「誰が牝犬だって?あそこに糸がはってある閉経寸前の処女(アマチュア)め。」

「ガバガバすぎて生理不順なあんたには言われたくないね。」

この空気は不味い。とりあえず2人を引き離すために不器用な2人は話しかけようとする。

「ちょっと落ち着けって。」

それも聞こえないのか完全に戦闘モードに入る。非常に不味い。楽しいデートが普段通りの殺し合いになってしまう。

手が出た。先に出したのは未来だ。応戦して美咲も殴り返す。

「離してっ!離してってば!」

「やめろって!喧嘩はやめろ!」

なんとか拘束して、事なきをえる。学年1位と2位が殴り合えば学園そのものがタダでは済まない。

「「この女だけは…絶対に許さない!」」

完全に同じタイミングで叫ぶ。ここまで険悪なのは訳があるようだ。

ある程度離れた場所に連れていき、経緯を聞くことにする。

「未来ちゃん、あの子と何があったの?」

少し落ち着きを取り戻した未来は少し経緯を説明する。

「あたしはあのアマチュアが大嫌いなの。リーコンくんはあの子嫌い?」

そんなことを聞いてどうしようというのか。好きでもないし嫌いでもない。生徒会で顔を合わせる程度の関係だ。ここは話を合わせておこう。

「まぁ、そんなに好きではないかな。」

それを聞いた刹那、彼女は笑顔になる。

「だよね。だよね!あの女は自分が正しいと思っている。そういうやつは死んだ方がいいのよ。」

感情が荒ぶっている。恐らくはあちら側もそういった所だろう。

なんで?とは聞かないことにした。その後の下劣で酷い悪口もとりあえず同調することにした。

しかしまぁ、よくここまで悪口が出てくるものだ。お高く纏まっている女だとか、高飛車で女王気取りだとか、挙句の果てには男を知らないくせに上に立った気でいる勘違い女だとか…。

別に間違ってはいないのかもしれない。彼女の正義心は少々融通が効かない。それにしたってこんなにも悪口が出てくるとは、昔は仲がよかったのかもしれない。

興奮気味な彼女をみて、今日は早めに帰した方がいいと思い、上手く方弁を使って帰した。

ほぼ同時期に鈴木翔のほうも事が終わったのか、こちらに向かってきた。

「…どう思う?」

「どうって…。」

2人はかなり困惑している。彼女たちは少なくとも彼らの前じゃ、普通の子に見えて可愛らしく見える。悪い噂も耳にするが、それらを感じさせないぐらいに健気ないい子だ。

だが、今日は例外だ。あきらかに感情コントロールがおかしかった。急に怒ったり、笑ったり、最終的には涙目だった。

「あの2人は近づけない方が良さそうだ。これからデートするときは、位置情報を送りあおう。そうでもしないとまた惨劇の繰り返しだ。」

LINEを交換して、位置情報を送り合うアプリを入れる。相互監視されるのはいい気分ではない2人もこの窮地に立っては仕方がない。

「平和条約だ。互いに互いのことを上手くコントロールしよう。彼女たちと付き合っている間は我々は盟友だ。」

ふとしたことが切っ掛けで友人の輪は広がっていく。今回に限れば窮地に立たされた男たちの負け犬同盟だが。

「じゃあ、二度と会うことのないように努力しようか。」

リーコンの言ったことは捨て台詞ではない。()()()そうしないといけないのだ。

まだまだ始まったばかりだ。終わりは遥か遠くにある。


ヒューマンドラマではない気がするんでアクションに変えました。内容は変わりません。

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