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Keep Yourself Alive 第六感の場合  作者: 東山ルイ
異常者たちの哀歌。
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特務生徒

イリイチの能力、シックス・センスは相手を監視するにも長けた能力だ。リーコンと未来がどういうことをしていて、どんな感情でどんなことを考えているのかすら即座に理解出来る。まさかそんな能力を他人の恋愛事情の監視に使うとは思っていなかったが。

「いま終わったな。一応データを打ち込んどくか」

パソコンを開いて、データを打ち込んだのなら、今日のところは特に問題なくすすんでいるのを再認識する。

「やっぱり、核兵器ってのは眉唾じゃないか。」

痴情のもつれで暴力を振るうヤツらはたくさん見てきた。それを踏まえればただ、気性が荒いだけのただの少女なのではないかと思うようになる。

「まぁ、シックス・センスがある以上、この学園のヤツらが考えていることなんてすぐ分かるだがな。」

天性の力を持って人の土俵に素足で殴り込みに行く。第六感(シックス・センス)という力はそういうことだ。

「現段階でなにかすることはないな。」




一週間後 学園内部にて

学園こと創成学園横浜校では、一般高等過程の授業も行われている。超能力者として未熟でありなおかつこれから発展する可能性の低い生徒はこの授業を受けて一般大学狙いに切り替えるのだ。

裏を返せば、ある程度の実力者は授業は受けない。やることと言えば定期的に研究班に自らの能力の維持と発展を指揮してもらうことだけだ。

さらに言えば学年順位1桁の猛者共は研究班に会う必要性すらないので、最低限の研究だけして、学園から給料まで貰える。希望者には創成グループの傭兵部隊に編入して、紛争地域に送り込まれそれで金を稼ぐことも可能だ。

そして言わば落ちこぼれが集まる授業は意外と人が多い。学年順位で言えば1000位以下の公表すらされない限りなく一般人に近い能力者達だ。

伊藤はそこにいた。彼もまた能力は弱く、順位非公表、人柄の良さだけで学園に残り続けていると評判だ。

伊藤は虚しかった。超能力者としての才能があるとスカウトの口車に乗せられて、高い学費を親に負担してもらい、一般生徒として入ったはいいが、人間を通り越した化け物たちに阻まれて学年順位はとうとう3年間ランキング外だった。こうなってしまえば仕方がない。首にならないだけマシだと思い、学費がそこまでかからないであろう国公立大学狙いに定めつつあった。

一通り授業を受けて、終われば自習室で静かに勉強をする。高校三年生らしいと言えばらしいが、超能力者として将来を約束されている同期を見れば虚しさも溢れてくる。

そんな自習室には珍客が現れた。学園序列第1位と第2位だ。

「久しぶりだな伊藤。元気してるか。」

「元気だな。うん。元気だ。」

彼らは高等部から入った新参同士でそれなりに仲がよかった。それは義経が全体1位になっても変わらなかった。むしろ義経はその地位を使って伊藤の首を繋いでいることすらあった。

「聞いたぜ。義経。イリイチと殺しあったんだろ?義経みたいな強いやつがあの子と()()()()()とは思わなかったぜ。」

引き分けると聞いて少し顔を顰める。白紙和平ということで引き分けで終わったものの、あのまま続けていたら間違いなく負けていたのは自分であるからだ。

「あ、あぁまぁな。だが今日お前に会いに来た理由はそれじゃないんだ。」

「そうか。なんだ?」

義経はスマホを少し弄り、ある写真を見せる。

「こいつをわかるよな。現在生徒会の内務委員会委員長、リーコンだ。学年は一つ下。」

「あぁ、知ってるとも。この前一緒に遊んだんだ。」

「そしてこいつも分かるよな。2年生学年2位の桑原未来だ。」

この2人といえば、あの時の海でいい感じだった2人じゃないか。女の子のほうはあまりいい噂を聞かないがどうしたというのだろうか。

「この2人がもし付き合ったらどうなると思う?」

「どうなるって…普通に恋人同士になるだけだろ。」

「ところがそれじゃあ済まないんだなぁ。」

それじゃあ済まない?なにか引き金でも引くことになるのだろうか。

「彼女と付き合った男たちは皆、ボロボロで病院送りかそれともなくては行方不明の失踪だ。生徒会は証拠を掴んでこいつを逮捕したい。この女は確かに強いが、学年上位の有望株をかなり失踪させている。」

「…殺していると。」

「殺人で立証して、そのまま懲罰大隊に送り込む。今日の幹部会で決定したことだ。あの2人をよく見ておけ。そしてこのことをイリイチにも伝えておけ。ついでに今日からお前らは特務生徒だ。」

義経には作戦があった。学年上位の生徒が学園の思惑通りに動くことは少ない。それならまだしも、重要な資産を何十個も失っている。2年生との交流会で彼には弱みができた。白紙和平で集結したとはいえ、ここら辺で学園を掃除する必要ができたのだ。

「義経くん。あのイリイチってガキが特務生徒になるのかよ。」

「なるさ。なるとも。イリイチにとってはリーコンは重要な右手だ。情報を握って置く為にも、生徒会ネットワークにアクセスできる権利をもつリーコンを、くだらない失踪で終わらせるわけが無い。」

愛は憎しみに変わる。それはそう遠い話でもないのだ。

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