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Keep Yourself Alive 第六感の場合  作者: 東山ルイ
欲求不満野郎。
30/289

第六感解放式 第一号

「ハハハハハハハハハハ!!!!」

何かが壊れたかのように笑い狂うイリイチ。だがそれだけじゃない。今まで切り取った肉体が完全に再生している。明らかに違う。

「第六感解放式第一号…!生命の危機に現れるとはなんたる都合のいい能力よ!おい、根暗野郎。お前はもう俺を()()()()()

「寝言はいてんじゃねぇ!」

攻撃を仕掛けるものの、まるで通らない。いや、攻撃をすればするほど自分にダメージのベクトルが向かう。

「無駄だよ。無駄だ。無駄。人間が神に向かって矢を引くなんて許されないだろう?」

「てめぇは神ににでもなったつもりか!?」

「いいや、違うな。俺は神じゃあない。神の力を行使しているだけだ。」

義経は狼狽えるしかなかった。攻撃をしてもこちらがダメージを喰らうならまるで意味が無い。もうどうしようもなかった。


「イリイチ、何が神だ。無神論者の癖してよ。」

寮にて静養中の翔が呟く。神の力?そんなものは否定されている。これはただの暴走状態だ。

「畜生…畜生が!」

まだ身体にダメージが残っているのに、いても経ってもられなくなり、イリイチを止めるために生徒会本部に急ぐ。


「素敵な能力だろう?攻撃は無効どころか相手の攻撃を綺麗に反射して、相手に喰らわせる。だが欠点もあるんだな。」

生徒会長室は地面への衝撃により完膚無きまでに破壊される。生徒会本部には気絶した生徒が残ったままだ。

「…!まさか。」

「よぉく分かってるじゃないか。正解だ。()()()()()()()()()()()体力を消耗する。だから()()()()()()()()()()()。」

人の魂。本来なら具現化して見えるものでは無いのだが、イリイチの場合は違う。魂を自らに取り込むという()()では出来ない芸当をするために、わざわざ具現化しているのである。

「この本部だけで100人はいるな。まぁ、足りるだろう。」

義経はただただ絶望するしか無かった。こんな感覚は初めてだ。本当の意味で敗北したのだ。負けの代償は文字通り生命。しかも他の生徒を巻き添えに。

「フフフ・・・ハハハハハハハ!!楽しいなぁ!久しぶりだ!」

翔が駆けつけたのはまさにその時であった。魂を抜き取って生命維持のために利用しようとするまさにその時である。

「わるいが、ゲームオーバーだ。」

翔は黒い暴風に青い閃光が混じった全てを吹き飛ばしかねないブラックホールのようなものを作り出す。魂に直撃し、そのままイリイチにも直撃したのであった。

「義経先輩!何があったんですか?」

「翔か…。助かったよ。ありがとう。」

恐怖で簡単な言葉を出すのが精一杯な義経と、暴走が終わり、通常の姿に戻ったイリイチはさすがに疲れているようだった。

「久々にマジで疲れたわ。確かにあの状態はヤバいな。生命維持能力が崩壊する。」

かなり消耗した様子のイリイチではあるが、どこか満足気でもあった。

「お前…どの口が言うんだよ…。」

翔も怒りを通り越して呆れ気味だ。義経とタイマンまでは良かったものの、暴走モードで大量殺戮となれば、本当に全員破滅だ。

「取り敢えず怪我人が多い。救急隊員を呼ぼう。」

生徒会本部生徒数126名。生徒会長代理、生徒会会長、2年生生徒2人。結構数の生徒が()()入院してくることとなった。

「講和会議と行こうか。」

「白紙和平で。」

「異議なし。」

「講和条約は締結されました。」

この闘いで得られたものは少なくとも彼らの中ではそう多くはない。全員が全員猛者である以上、損害も多いのだ。各個の強化はされたものの、当人たちはあまり気がついていない。そして、戦争が起きた時に1番得をするのは…

「サンプルはたくさん取れた。これは教授の言う、強化人間の完成もそう遠くはないな。」

「わざわざ6カ年もかける必要はないんだよ。上位層の生徒を闘わせればいいのだから。」

超能力。科学によってほぼ解明されているとはいえ、超能力を人造的に湧かせたり、何倍にも強化したりということは未だ誰も体験していなかった。

「大幅に前倒そうか。例の計画を。」

夢は始まったばかりである…


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