第六感・イリイチVS学園序列第1位・光義経
「さぁ、ゲームを終わらせようか。」
憑き物が取れたかの如く、いつも通りの余裕を取り戻しつつある義経。実際イリイチをお釈迦にしてしまえば、全ての責任をイリイチに擦り付け、自分が逃げ切ることだって不可能ではない。
「自己保身のために必死だな義経せんぱぁぁい!」
それを知った上でイリイチだって闘おうとしているのだ。掛け金は自由。負ける訳にはいかない。
「いいや、自己保身ではねぇな。色々考えたが、やっぱお前は気に入らねぇ。だからやっちゃうわ。」
シックス・センス相手に近接戦は禁物だ。刀を超高速で振り、強力な斬撃を作り出す。それを相殺する手段をイリイチは持っていない。
「やっちゃう?先輩が?意外なこというなぁ。」
相殺出来ないのならば、避ければいい。回避に関してもシックス・センスは怪物じみた強さをもつ。ちょうど攻撃が全く当たらないであろう場所に近いように、最初に向き合った段階から気を使っているのだ。
義経は超能力によって、大量の刀をイリイチに向かわせる。常人なら確実に直撃する量だ。それすらも難なく避けた所で、更に超能力でフラグをイリイチの頭上に湧かせる。
「なんで生きているんだとか月並みな反応は辞めてくださいよ?せんぱぁい!?」
爆煙の中から何事もなかったのように、五体満足で現れるイリイチ。まるで効いちゃいない。
「化け物め。だが、お前は俺の事を倒せやしまい。」
義経は軽く動揺しながらも、攻撃手段に乏しいシックス・センスでは義経は倒れはしないのも事実だ。相手の僅かな隙に漬け込んで切り落とすことが唯一の攻撃手段であるイリイチにとっては、過去最高クラスの難敵だ。
「ほらほら、いつもの人を食ったような態度はどうした?そんなんじゃ俺には勝てねぇぞ?どうするんだイリイチくぅん?」
義経の煽りは的確であった。翔のように暴風でも起こせれば、確実に勝てるのだが、そんな芸当はできない。シックス・センスを更に暴走させるための理由はできあがりつつあった。
「…そんな煽りでこちらが動揺するとでも?これだから半端なクズはダメなんだよ。四の五の言ってねぇで俺をお釈迦にしてみろよ、根暗野郎。」
「その減らず口を封鎖して、お釈迦通り越して仏にしてやるよ。」
一瞬だった。ほんの一瞬で間合いに入る。満身の力を込めた居合いは辛うじて回避したものの、生徒会本部自体に大きく亀裂が入るほどだった。シックス・センスが反応する前に攻撃してしまえば、イリイチはただの人間だ。僅か0.01秒未満の話だった。
「大丈夫かなぁ!イリイチ君!お前のシックス・センスじゃあこういう時どうするんだ!?」
マウントを取られ、喉仏に日本刀があと数ミリで突き刺さる所まできた。未だ無い危機が義経をまた進化させた。完全に拘束されたイリイチはもうどうすることも出来ない。
「お前さ、自分のことダークヒーローとか思っちゃってるだろ?夜な夜な人の復讐心を具現化して、大量虐殺してさ…。そんな自分結構カッコイイとかおもっているだろ?俺はさ…そんなヤツは大嫌いなんだよ!」
「itaqajmえk!」
「痛てぇか?痛てぇか。そいつは良かった。ご機嫌だ。お前はもっと苦しまなくてはなぁ!」
喉仏に突き刺した刀をそのままに、他の刀で少しづづ肉を抉っていく。かつての処刑方法でもっとも残酷と呼ばれた凌遅刑の再現だ。
「はははっ。笑えてくるぜイリイチィ!そう簡単に死ねると思うなよ。外道が。」
5年前 ロシアにて
「ボス。悪いヤツらを皆殺しにしてきたよ。でも…。」
「超能力の暴走だな。イリイチ、お前の能力は危険すぎる。ある程度制御出来ないと、自らをも焼き払うことになるぞ。」
かつてロシアの暗殺機関に12歳にして、メンバーの1人であったイリイチは自らの能力を理解仕切れてなかった。
言わば爆弾のようなものだった。いつ爆発するか分からない。そして爆発すれば、誰彼構わずに殺戮し始めるという厄介な能力。悪いヤツらを皆殺しにしたのは正しいのだが、一応ご法度である一般市民への危害を与え、相当な数の人が意識不明の重体である。
「博士。イリイチの能力を制御できる装置は出来たか?」
「出来ましたな。とは言っても、科学力と言うよりは…」
イリイチは12歳とは思えないほど静かな子だった。だが誰よりも狂っていた。そんな子どもを引き受けた組織としては、彼を制御するための装置か何かが必要だった。
「僕を制御するの?ふーん。じゃあボスがやってよ。僕はボスのことを1番信用しているから。」
生死すらも分けてしまうような制御装置は今は亡きボスに託されたのであった。
「制御されても僕は強いから大丈夫だよ。いつかボスやみんなのことも守ってみせる。」
ある意味子どもらしい万能感ではあるがイリイチに限ってはあまり嘘ではない。
第六感。その能力の真価は…
「…!まだ死んでない!?」




