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Keep Yourself Alive 第六感の場合  作者: 東山ルイ
第2次ダウンフォール作戦
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белый медведь "世界最強の超能力者"

「ロシアって国は象徴的な動物が2つある。ひとつは双頭の鷲。もうひとつがクマ。これから闘うコーバっていう野郎は所謂ホッキョクグマの力を自在に操る。」

物音ひとつしない暗い道を歩きながら、イリイチは説明する。

「ヤツの本当に恐ろしい所は…。()()()()()()()()()()()()()()()()()所だ。つまりは…。強い。圧倒的に、デタラメに、バカバカしく最強。」

イリイチはある部屋の扉の前で立ち止まる。それは闘いの合図であることを翔は知った。

「だが、無敵ではない。最強であってもな。さァ…。ホッキョクグマ『белый медведь』を狩る時間だ」

聞き慣れないロシア語を聞いたと同時に、イリイチの第六感(シックス・センス)は起動を遂げる。赤いオーラが彼を包む。翔は呼応するように、扉を暴風で吹き飛ばした。

「三度目の正直だ…!コーバァ!テメェの自殺手伝ってやるよ!」

拍手をしながら、大柄な白人は立ち上がる。

「よろしい。二度あることは三度あるにならないように気をつけな。イリイチィ!」

速い。翔はあっという間に詰められた距離間に驚く。

「翔!暴風だ。丸ごとかっ飛ばせ!」

「あいよ!」

翔を中心に黒い風が渦巻いている。それはこの領事館の一室の用具を消し去った。

「…危ねェ友だちだな?イリイチ。」

「だろ?」

しかし、コーバが損害を受けた様子はない。イリイチもそうなることを予期した上で、部屋の逃げ道を無くすためのものだったのだ。

「……!?」

イリイチの口が動き、言葉となる前にコーバは翔の首元を爪で抉った。翔は抉られる痛みに手をブラブラと動かす。

「厄介な方から消しとくのが正解だろ?」

「…そりゃそうだ。なら…。」

スイッチを入れ替えるように、イリイチの瞳は赤色から暗紫色を帯びた。イリイチの動きは俊敏となり、コーバを引き離すことに成功する。

「…第六感(シックス・センス)先鋭化と五感消滅による身体能力の無自覚制限(リミッター)解除を使い分けるってか。いいね。」

コーバはまたもや拍手を飛ばす。もはや嫌味のように。

「……翔、今から術式計算して、ここいら一体を吹き飛ばせる暴風を生み出すのに何分かかる?」

即座に脳内で計算式を整えた翔は、イリイチへ答えを伝える。

「5分、最低5分だ。一切の妨害なしでな。」

「…よし、一旦下がって計算し始めろ。」

消滅した扉から翔は出ていく。何かをしようとしているイリイチと翔の思惑にある程度勘づいたコーバは、止めるために翔を追おうとした。しかし、それはイリイチが彼の前に立つことによって阻止された。

「よォ、ヴェーチャのアホも、ラーリャのボケも、クリムのバカも全員死んだみたいだぜ?お前はこれで1人。だが俺には親愛なる相棒がいる。それだけでも優位は揺るがねェんだよなァ!」

赤く透明な放射線がイリイチを包み込み、白い放射線を描くコーバと対峙する。

「言ってくれるじゃねェか!小僧ォ!」

3度目の闘いが始まった。





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