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Keep Yourself Alive 第六感の場合  作者: 東山ルイ
第2次ダウンフォール作戦
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祖国は我らのために

「コーバ、今回の敵は最高に最低だね。悪の企業創成の生みの親、日本。その日本にいやがる超能力者()()()をぶちのめす。最高だ。」

男たちは、プライベートジェットにて計画を考案していた。

「ヴェーチャ、今回は一応ロシア政府からの頼みだからな?また頑迷な考えで大量虐殺するなよ?」

ヴェーチャという男は途端に不機嫌な顔つきとなった。こうなると互いの欠点を貶し合う大会と化す。

「…ラーリャ、お前こそレイプ大会始めんなよ?やって殺して埋めるのが通用するのは発展途上国だけだ。日本は先進国だからなァ、クリム?」

クリムという男は、そもそも何を話しているのか理解出来ていない様子だった。どうしようもない取っ組み合いに突入する前に、コーバは止めに入った。

「やめろ!ヴェーチャ、クリム。作戦の詳細を話すから、黙って聞け!」

しかし彼ら4人の中でもコーバは特別なようだ。途端に静かになり、全員がコーバの目を見ながら話に聞き入る。

「素晴らしいなァ…。」

「全くだ…。」

「…後でもう1回言ってくれないか?」

三者三様。驚嘆を漏らす者とそれを賛同する者、そして理解していない者。

だが彼らは笑っていた。傲岸に、不遜に。笑いを絶やさない。

「同志諸君。新しい闘争に祝杯を上げよう。」

シャンパンを持ち出せば、ソビエト連邦国歌が流れ始める。彼らのテンションは大きく上がっていく。

「自由な共和国の揺るぎない同盟を

偉大なルーシは永遠に結びつけた

人民の意思によって建設された

団結した強力なソビエト同盟万歳!」

愉快な気分になった彼らは、残り数時間と迫った日本到着を待ち遠しく歌い続けた。

____

___

__

「へー。ロシアの国歌とソ連の国歌って歌詞が違うだけでメロディは一緒なんだ。」

大智の部屋に潜り込んだイリイチは、意味もなくロシアの国歌の話をしていた。少しでも気を紛らしたいのだろう。

「色んな国の国歌を聴いたが、やっぱロシアが1番だ。俺からすればな。」

煙草を吸いながら、くだらないお喋りに終始していれば外も見えない。しかし、それも残り数時間の生命であることをイリイチは直感で理解していた。

「…つか、イリイチ、マジで体調大丈夫か?手が震えてるみたいだし、顔は青ざめている。病院行った方がいいんじゃねェのか?」

直感で恐怖を覚えていることまでは悟られていない。大智は素直に心配しているだけだ。

「アァ…。いや、大丈夫だ。心配無用。バカは風邪ひかねェって言うだろ?だから大丈夫。その証拠に今からネイティブで国歌歌ってやるよ。」

立ち上がり、一呼吸置くと、それは綺麗な歌声が部屋に響いた。

「ロシア 聖なる我らの国よ

ロシア 愛しき我らの国よ

力強き意思 大いなる栄光

汝が持てる物は世々にあり!」

大智は素晴らしい歌声へ万雷の拍手を送った。

久々の熱唱に満足したイリイチは、憑き物が晴れたようだった。




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