想像を絶する茶番劇
「おいおい、やめとけって2年。義経くんを本気で怒らせたら…」
「外野は引っ込んでろ!!」
翔は武蔵の胸ぐらを掴み、そのまま吹き飛ばす。傍から見ると何が起きているのかわからない光景だ。
武蔵の反応がない。あれだけ強靭な男が、どうも気絶ってしまったようだ。
「おぉ、1発でお釈迦にしたか!そいつは素敵だ!最高だ!」
「気持ちよくラリってんじゃねぇよ!次はてめぇだ!」
手を軽く降るだけで、まるで台風のような暴風を呼び起こす。間一髪で避けるものの、確かにこれを喰らえばこちらもお釈迦にされてしまう。
「確かに素晴らしいな。単純な強さだけで言えば、あのロシア人より上かもしれねぇ。だがな…」
義経は義経で日本刀を思い切り振り、その力だけでおおきな斬撃を作る。再び暴風を起こし相殺するものの、こちらもコチラで喰らえばお釈迦だ。
「流石は史上最高額ルーキーだな。ちょっとワクワクしてきたぜ!」
3たび動いたのは翔だ。地面を足で叩き、大きく割らせる。その大量の破片を義経に向けて発射させる。
避けきれない所は自らの超能力で吹き飛ばすものの、これ以上やると、生徒会本部自体が破壊される。
「始末書は勘弁だ。早いとこ蹴りを付けたいが…やっぱ楽じゃあないな。」
こういう時にこそ人質だ。美咲ら3人を人質に取って戦意を喪失させるのが手っ取り早そうではある。
だが、そんなことはさせない。ブチ切れているように見えて、誰よりも冷静なのが今の翔だ。少しでも彼女たちの所に向かおうとすれば、その隙をついてミンチにしてしまうだろう。
「大丈夫だ。蹴りは今すぐにでもつくさ。」
勝利宣言とも取れる発言をする翔。実際の所、義経は交わすことは出来ても、有効な攻撃を打ち込めない。いや、有効な攻撃を打ち込んでも、即座に対応されてしまう。優劣は着きつつあった。
「飛べよ!クソ野郎!!」
強烈な蹴りの動きで強烈な波動を作り上げる。それらは回避することが出来ないほどに広範囲であった。だが…
「一旦落ち着け。」
先程お釈迦になったはずの武蔵が立ち上がり、止めに入る。イラついたような表情で肘打ちを食らわせるものの、止めた意味が直ぐに理解できた。
「そうだ。その通りだ。俺はともかく、彼女たちに当たる。本当にお釈迦になってしまうぞ。」
義経もそれに気がついていたのか、なんとか止める方法を考えていたのだ。
「あぁ…糞が!」
興奮を抑えているつもりが、助ける相手をすんの所で殺しかけた自分の未熟さに憤りと間抜けな感覚を覚え、攻撃をやめ、煙草に火をつけるのだった。
「取り敢えず休戦だ。お前の事実と俺の事実を組み合わせよう。」
休戦ということとなった。彼女たちは中々目を醒さず、結果的に義経、武蔵、翔による首脳会談ということとなった。
「俺はあのロシア人に高橋さんが拉致されていると解釈して来たが…違うのか?」
「違うな。あの3人は自分の意思でやってきた。おそらくは瞬間移動だろう。それに殺す気なんてさらさらない。流れで戦闘になっただけだ。」
「そうか…。ロシア人。イリイチはどうやってあの3人をけしかけたんだ?」
それはわからないというニュアンスで首を振る。
「ただひとつ言えることは…あの野郎は相当な外道だ。こうなるのを予測した上でやりやがった。お遊び感覚でからかったら、とんでもない損害を出しやがった。」
現在、横浜校の生徒、おおよそ3分の1が記憶障害となっている。そして更に3分の1が何らかの怪我をしている。もし、懸賞金のことが発覚すれば、義経及び義経派の生徒たちはタダでは済まない。多くは退学となり、残った生徒も懲罰部隊で紛争地域の最前線に送られるであろう。
もう欲求不満を解消したかったからでは済まない。生徒一人一人に価値がある創成学園では尚更だ。だから…
「手打ちにしないと俺は破滅だ。自業自得で始めた以上、オレ1人で蹴りをつける。」
「素晴らしいじゃあないか!!せんぱぁい!!!」
高笑いする声がどこからか聞こえる。声の主はイリイチ。もはや一人勝ち状態だった。
「ざまぁ見やがれ!!不能野郎の性癖なんざなんで俺が解決しなくては行けないんだよ!そのまま破滅して、歴史の掃き溜めに消えていけやバーカー!」
もう解決は出来ない。義経の名声はこれから地に落ちていくことになるだろう。そう、何も無ければ…




