RANK:4 万物破壊 VS RANK:4 万物創造
人は見た目では判断出来ない。それを痛感するような、そんないたいけな少女とも判別しても間違ってはいないであろう、そんな彼女だった。
「お、おい。イリイチ、この女子のどこが凄いんだよ?寝る前に教えてくれよ。」
「答えは…。ま、見れば分かるべ。1つ言えんのは…。女だからって拳の1つぶつけねェで凄んで勝てる相手じゃねェ。以上。」
「そこの白人の言う通りかもね?このあたし、石井萌依のRANKは4。貴方と同格。そして…。」
怒涛の勢いで生み出される様々な物質が、容赦なく翔に襲いかかる。まるでランダムに選ばれたように、危険物標識が着いた物質から、可愛らしいクマのぬいぐるみまで、多種多様なものであった。
「…おい!マジかよ!」
あまりにも咄嗟であった為、能力の制御が出来ておらず、必要以上の暴風がその物質を吹き飛ばした。
「流石ね。並の超能力者じゃ、この囮にチキって恐れ戦く。序列第1位は伊達じゃあない。じゃ、コレはどう?」
萌依が取り出した赤い林檎が、異様な変貌を遂げていく。1本の槍となった林檎だったものは、翔の身体を撃ち抜いた。
「…!どういう超能力だよ…。俺の超能力にはセンサーみたいなもんが着いている。それは自分に向かってくる意思のないもの全てを察知する。だが!その槍には反応しねェ!テメェ…。なにもんだ?」
愉快痛快と言わんばかりに、狂った高笑いをしながら、失笑を堪えるように萌依は説明を始めた。
「この世の全ての意思を持たないものねェ?それは正確ではないんじゃない?あたしの超能力名は万物創造。地球、宇宙、その果て、全てを問わずにあたしが考えた物質は…。」
再び林檎を取り出せば、それはまたもや変更を遂げる。刃渡り抜群のナイフに変わったそれは、真っ直ぐに翔の右脚を抉りとった。
「この林檎、あるいは適当な物質を通して製作可能って訳。このナイフと槍に設定された考えは、意思を持った無意思の物質って訳。どう?デタラメでしょ?」
「アァ…。デタラメでバカバカしい超能力だ。そしてもののついでにもう1つ聞きたい。お前は何故俺を狙う?さっききたバカどもとは違う考えで、俺と、この寝込んでいるロシア人を狙っているように見える。」
「何故?何故かって?聞きたきゃそのご自慢の超能力であたしを屈服させてみたら?学園横浜序列第1位、鈴木翔先輩?」
「聞いただけ無駄だったな…。」
女性に暴力を振るってはいけない。強い男なら尚更のことである。
翔の哲学は、この闘いに一切として勝ち目がないことを示していた。血で汚れ切った白色のシャツが、無惨な暴行の証拠となるのだった。
 




