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Keep Yourself Alive 第六感の場合  作者: 東山ルイ
欲求不満野郎。
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喫煙禁止区域にて喫煙した場合罰則金として2000円が課せられます。

催し物は終わり、彼らは一睡もせずにこれからについて考えていた。ゲームのクリア条件があのバケモンの打倒というのなら、難易度がルナティック過ぎるのではという懸念の声しか湧かない。こちらの鬼札はイリイチのみ。と言うよりも学園の3年と2年の交流会というのならばこちら側としてももう少し鬼札が欲しいものだ。それは誰が該当するのだろうか。

「極東の果てまで来てまさか欲求不満の不能野郎の自慰行為を手伝うことになるとはな。地獄でボスが笑っているさ。」

「うだうだ文句を言ったって仕方がない。出る杭は打たれる。俺たちはもう少し打たれ強くならないとな。」

「2年生の上位生徒を担ぎ込むことは出来ないのか?」

リーコンは少し首を傾け、否定のニュアンスで首を振る。

「無理だな。思慮深く、一癖も二癖もあるあいつらをまとめられるヤツなんて存在しない。2学年7位の俺が言うのだから間違いない。」

こちらの戦力は3人。学年7位と学年14位、そして順位では表せない男が1人。この3人で全体1位2位を倒してゲームクリアというのは、ほぼほぼ不可能な困難に近い。

「ブツブツ文句垂れたって仕方がない。もうヤニがない。買いに行こう。」

ある種の現実逃避のために、梅雨で湿気ている外に出るのであった。

時刻は朝の7時だ。あまりいい天候とはいえない今日は、彼らの悩みを表すにはこれ以上ない状況だ。

「実際問題、俺とあの先輩がタイマン張って勝てる可能性っていくつよ。」

「現状、君が負ける可能性のが高い。」

「だろうな…」

リーコンは現実から逃れることは出来ない。仮想世界では皇帝であるからこそ、()()からは余計に逃げられない。あそこまでやられて、黙って引き下がれる程、大人にはなれない。わかり切ったことだった。

「クリア出来なかったら、俺たちは詰みだ。というかもう王手をかけられている。学園全体が敵だ。1000万円は途方もない金額だ。およそ4000人強を敵に回して生き延びられるほど強くはない。」

「せめて同盟者がいればな。」

喫煙所はとても混雑していた。イリイチとリーコンは今すぐ吸いたいわけではないので喫煙をしなかったものの、大智は我先にと喫煙所のすぐ近く、喫煙禁止区域にて煙草を咥える。

「そらみろ。風紀委員殿が走ってきた。」

「そもそも未成年喫煙自体がアウトだろ。相変わらず滅茶苦茶な学校だな。」

「そこら辺は黙認されているのさ。学園は治外法権だ。でも喫煙禁止区域があるんだな。馬鹿みてぇ。」

この学園、校則がないように見えて一応は存在する。授業も本当は普通性高校のように設定されてはいるのだ。ではなぜ誰も守ろうとしないのか。それは単純な話、誰も知らないからだ。風紀委員ともなるとある程度知ってはいるようだが、喫煙そのものを咎めるのではなく、喫煙禁止区域で喫煙したことを咎める。どこか歪んでいるのだ。

「喫煙所とは目と鼻の先だろ?なんで罰金取られなきゃいかんねん。」

「規則は規則よ。喫煙禁止区域にて喫煙した場合、罰則金として2000円が課せられます。これが全て。」

「馬鹿みてぇ。マジで馬鹿みてぇ。今の俺最高に惨めじゃん。ほら2000円。たくよ、暇人が!」

ヤニカスは脳までヤニで汚染されているのか。それとも惨めと言えば余計に惨めになることを知らないのか。理由はどうあれ、惨めな面持ちで2000円を失うのであった。

「災難だったな。大智。まぁでも良かったじゃあないか。校則を知れて。」

イリイチのことをみた風紀委員は少し固まる。無理もない。この前のチェーカーたちの大量殺戮の記憶は鮮明だ。そしてそのあとのことも。

「あ…この前のお嬢さんか。こんにちは。」

「貴方、捕まったんじゃないの?」

「無罪釈放だ。あんたも酷いことしてくれるよねぇ。人の事を拘束するなんてさ。でもまぁ許そう。正義心から出た行動なのだろうから。」

現在、生徒会にて1番の懸念である、詳細不明の当校生徒。ロシア人にして史上最高額の契約金で入学した文句なしの化け物。現在、懸賞金をかけられ逃走中だと思えば、こうして堂々と学園にいる。どこまでも分からない男だ。

「そんな正義心溢れる貴方に敬意を評して、1つ面白いことを教えてあげよう。大智の罰則を回避してくれるのならばな。」

少し悩んだ様子を見せるものの、実際その面白いことは、眉唾物ではない事がなんとなく理解出来る。イリイチの隣にいるのは新しく内務委員長に就任した通称リーコン。情報を制す者が全てを制すと多ぞれたことを言うのに相応しいだけの情報通だ。

「…わかった。教えて。」

「貴方は生徒会にいるなら分かるだろうが、現在の生徒会会長は文字通り学園1位の猛者だ。そんな彼は今欲求不満に襲われている。ここ何日か学園の生徒たちは様子がおかしかったろ?それの黒幕がアイツだ。」

彼女はあまり驚いた様子はなかった。第六感(シックス・センス)を使ってみてもそれは明らかだ。薄々この陰謀ごっこに勘づいていたのかもしれない。仮にも2年生の中の1位である以上、そういう勘は強いのだ。

「…それで、私はなんて反応すればいいのさ。」

「正義心から、正しいはずの生徒会が無実の生徒に対して裏から攻撃するなんて行為を許せないと反応すればいいのさ。」

パーティーゲームはみんなでやらなくてはな?


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