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「2000年」に生まれた彼らは、数多の未来を集結させて過去に生きる者からの世界への反逆を止めるために固く手を結んだ。
「ほんとにここは日本なのかよ?人もいねェし、建物の老朽化がヤバすぎて今にも倒れそうだ。大体、横浜の中区だってのに電車の1つも通ってねェ。ソ連の集団農場にぶち込まれるかここで暮らすからなら、間違いなく前者を選ぶね。マジで。本気で。」
潜入と題するほどに大掛かりではない、言うならば監査のように、創始真理会が忍び込んでいる街に入り込んだ公正は、呆れの言葉を止めようもなく出し続ける。
「廃墟街というのも眉唾ではないな。と、言うか…。ここでおっぱじめても警察が走ってくるとは思えない。……は?ちょっとなんですか?……悪ィ、地元組織に絡まれた。1回電話切るわ。」
他所からやってきた者であることに気がついたのだろうか。地元社会に密着している人間というものは、大なり小なり排他的ではあるが、いきなり事を起こすとはあまりよろしい街では無さそうだ。
「聞いての通りだ。ヘリで急降下してもバレやしねェってよ。それに…。行くとこ勝負になるが、超能力者としての格はこちらのが遥かに高い。偉そうに鎮座してるバカと猛牛の犬野郎ども、そして、税金泥棒どもにでけェ仮作ってやろうぜ。」
「政治家や創成のお偉いさんがこの程度で恩を覚えるほどに謙虚とは思えないけどね!」
「いや、山下ァ。お前忘れてねェか?退学処分リーチしてんの。俺と公正、サラは恩を売るだけで終わりだがよ、お前は一気に逆転するぞ?やる気だせよ、スバルだって巻き込んでんだからよ。」
あっさりと解された優希が、やる気が出たような素振りを見せ始めた。超能力者というのは何処か純粋で、何処か利己的である。手馴れたものだった。
「サラ、なんか問題あるか?」
「えっと…。っ?…??」
日本語ではない。世界の公用語となっている英語、それもアメリカ式ではなくイギリス式、更に言えばかなりのドイツ語源を通じた所謂訛りまで着いてくる。
「ふんふん。日本語はあまり上手く話せない?まァ、日本語話せたところで日本でしか通用しねェしな?で?……あァ。急落下が怖いと。大丈夫だ。日本語で大丈夫。いいかい?」
イリイチだから、基、第六感を用いて常時様々な言語によって作られた意思を受け取っているため、彼にとって見れば言語の壁というものは精々、障害走に設置されるハードル程度のものなのだ。出鱈目とも取れるドイツ語とイギリス英語の混じった言語に、流暢なドイツ語で返答するのだった。
「?????」
「?????」
「帰りたい…。スバルゥ。こいつら何言ってるかすらも分からないよォ!」
理論上、この世に存在する言語を全て完璧に訛りなく流暢に話すことの出来る第六感持ちのイリイチと、公立中学にて3年間英語が2だった優希の温度差は、氷点下273℃まで到達する勢いだ。
「しゃあないだろ。一々翻訳を挟むのも面倒だし…。ま、作戦決行は決まった。明明後日の2時開始だ。必要な物は今のうちに言ってくれ。」
ただ広い学園横浜の高等部校舎の一室、40名の生徒収容を前提として作られた教室には、目立つことの多い白人、透明なような身体を持つ少女、それらに比べれば見劣りするがそれでも整った顔立ちの女子。男ならば誰でも羨む光景が光っているのであった。
はい




