さよなら 内務委員補佐官殿
「内務委員補佐官殿に報告。全てのサーバーがダウンした。繰り返す。全てのサーバダウン。補佐官殿。至急命令を求む。」
その日はやってきた。内務局のサーバーは全て破壊され、命令系統は崩壊した。内務委員補佐官、ブライアンアーサーはいつもの不遜な態度が消え失せ焦りを隠しきれていない。
驕る平家は久しからず。自らの飼い犬であるチェッカーからの裏切り行為は今までのことでは有り得なかった。これまでの悪業が知られてしまえば彼の地位と権力は破綻し、学園からも追放されるであろう。
「いい仕事だ。リーコン。」
対象的に拘束されていたイリイチは笑う。あの間抜けな男の失脚劇を特等席で見れるというのならば、これまでの時間も報われるということだ。
「俺の、いや俺たちのやったことは反乱だ。だが、俺たちが勝てば反乱は革命へと名前を変更される。」
チェッカーたちの中でもより地位があり、そして穏便派でもあるリーコンはかの状況を創り出し、そして成立させるために腐心した。
「俺たちが優れているのは何も情報だけじゃあない。」
その言葉の通りに、チェッカーたちの不穏分子を言葉巧みに反乱させ、補佐官殿を引きづり落とす手筈を整えたのだ。
「この空白期間の間に今いるすべての被疑者を解放する。彼らの大半は無実の罪によって拷問されているのだから。中には中々の大物もいる。学年順位1桁の猛者どもだ。彼らが事実を話せば補佐官殿はチェックメイトだ。」
僅か一日の間によくもこう状況を創り出せるものだ。その下積みには、今までの杜撰な取り調べがあった。チェッカーだって人間だ。更に言えばまだ子供だ。権力に溺れて、拷問のために拷問するような夜叉にはなれないのだ。
「それじゃあリーコン。補佐官殿の所に案内してもらおうか。」
「地獄から帰還してきたぞ。意外だったか?ライミーくぅん?」
「飼い犬に手を噛まれるとは思わなかったな。だが、僕はまだ負けちゃいない。」
そう言い放つと、姿をくらました。超能力によるものだろうが、第六感のことを忘れちゃいないのか。
「いいや、お前の負けだ。ブライアン・アーサー。お前は破綻した。歴史の掃き溜めに消えていけ。」
「追わなくていいのか?」
「負け犬には用はない。超能力も使えない。チェッカーも反乱して使えない。あいつはもう学園にも、そして歴史にもいられやしない。」
「哀れな男だ。権力欲に溺れて、権力を守るために外道の道を進んで、最後は汚い野良犬として飢えて死ぬ。哀れで惨めで滑稽で無様だ。」
まぁこれで終わりだとは思わないさ。アーサー。次はもっと楽しませてくれよ。ライミー。
長く永く、永遠とも思われる最悪の1日は、結局1週間以上にも及んだ。結論として、ブライアン・アーサー、内務委員補佐官は失脚し、内務委員会チェッカーは解散となり、今までのような極秘のうちに拷問によって情報を引き出す事がないように、生徒会にて決議された。内務委員長は失脚し、新しくリーコンが2年生にして内務委員会委員長として君臨することとなった。その影にはイリイチがおり、学園内の警察機関は、殺し屋の手によって掌握されることとなる。当然ながらイリイチにかけられた被疑は取り消しとなり、彼はまた1人の生徒として学園に戻ることとなる。
「やはり若いというのは素晴らしいな。全てをぶち壊してくれた。そしてその内容を外には漏らさない。完璧だ。横浜校の名誉は守られた。」
「彼らの時代はすぐそこにまで来ている。勝利は我らとともにある。さぁ、新しい時代に乾杯しよう。」
第六感、破壊の地上代行者。この2人を軸にした新時代はすぐそこにまで来ているのだった。




