学園横浜序列第4位
「何が気に食わないって?そりゃあんたらの存在。シックス・センス?笑える冗談ね。そしてあたしがなんでこんな強いって?それは…。」
人工的に造られたシックス・センスと、リーコンにより造られた人種と性格と性別と身長を持つ、名もなきアルファベットは、目の前に立っている1人の女子を恐れていた。
「学園横浜序列第4位。って言えば分かるかしら?」
昂りを隠せない彼女の右手は、この世の無機物有機物問わずにすべてを引き寄せる。2回りは身長で勝っているアルファベットが何一つとして攻撃行為を行えないまま、彼女が生み出した黒い嵐に埋もれていく。あらゆる内蔵が引きちぎれる子気味いい音と共にアルファベットは消え去った。
「おうおう!やべェな!凄いもん見せてもらったわ!」
嫌味のこもった拍手と歓声を送った男は、この計画の責任者として邪魔たてする者を生かしておく訳にも行かずそこに立っていた。色素が抜けた金髪をオールバックにした上に七三に分け、準備万全と言わんばかりだ。
「PKDI:RANK4、第4位、学園横浜最高の才女。この世の最強の惑星として有名なマグネターに喩えられるほどの超能力者。いやァ、怖いわ。ほんとに!怖いわァ。」
驚嘆しているというよりは、相手を軽く見積っているのが正解だろう。イリイチに今までなかった慢心は、その身の破滅を招くこともそう遠くはない。それを証明することになる。
「早速釣れるとは思っていなかったわぁ。あたしのことはよぉく知っているみたいね。なら…。」
取り付けられていた作動装置を強制的に作動させたイリイチは、引き寄せによる一方的な暴力を防ぐために、術式回路の改竄を行う。だが、それを許すほどに実直な超能力者ではない彼女は、改竄が追いつかない速度で矢継ぎ早に引き寄せを行っている。
「なら!ここでやられてくれない?」
元も子もない言い草ではあるが、イリイチを倒すには速攻戦が1番の特効薬なのだ。それでも、1部の術式が狂った彼女は、イリイチそのものを引き寄せることが出来ない。
「あぶねェな…。マグネターは眉唾でも無さそうだ。」
攻撃手段は銃火器を使うしかない。幸いなことに、銃火器を引き寄せないように柔軟に能力執行を変化できるほどに器用な役者ではない。アサルトライフルを構え、銃弾を放ったその時であった。
「超能力者開発指数段階4に指定される基準の1つに、自分の周りの環境に超能力を作用できるかがあるのよ?引き寄せられるものはなにもあんたの身体だけじゃあない。例えば…。」
ライフルを持った手に力が入らない。それどころか身体中の全てに力が入らない。今まで流したことのなかった鼻血が吹き出したイリイチは、彼女のやった出鱈目なマジックの正体に気がついた。
「酸素…とかね。この空間に散らばる酸素を引き寄せれば、あたし以外の誰もかもが呼吸困難に陥る。ま、それでも人間はある程度行動出来るし、行動出来ればこれを止めることは容易い。でもねぇ…。」
人工脳髄の過熱により、イリイチのありとあらゆる行動原理は停止する。今まで様々な人間を苦しめてきた鬼子は、小さな呻き声を出しながら沈没するように崩れ去った。
「人工脳髄を使用した半人間は、酸素欠乏に気が付きにくいのよ。あんたが見えた時点でもう既に決着は着いていた。ね?」
草木も眠る丑三つ時、学園横浜の中央地点に居る者は1人となった。
職業判定テストをやるといつも芸術家になります。小説で食っていきたいものです。この文章力じゃ無理でしょうが。




