我が友人 イリイチの復活
「……!今何日だ!」
17歳の金髪碧眼スラヴ人は復活した。全く訛りのない日本語は、彼のシックス・センスの強さを感じることができる。
「あれから1ヶ月弱たった。さて、何処から説明して行こうか?」
日本人の今となれば1番の友だちは、彼に向けて冷静に説明しようとしている。
「イリーナ!お前無事だったのか!…よかった。」
唯一血縁があると思われる少女の無事を喜ぶスラヴ人の声や顔つきからは、冷徹な殺し屋のそれを感じることは出来ない。
「お陰様で生きているよ。」
普段はあまり表情豊かではない少女の綺麗な笑顔を見たイリイチは、なんとも嬉しそうな様子だ。そして、彼に課せられた定めを遂行するために大智から説明を受けようとする。
「時間が惜しい。端的に言おう。イリイチ、お前さんは記憶喪失だった。イリーナが付きっきりで看護していたのさ。感謝しろよ?そして、今学園横浜は、あのライミーが率いる本校と対立している。それの解決を頼みたい。あと…。」
状況を瞬時に飲み込む要領の良さはあまりシックス・センスは関係がない。彼の生き方が関係している。
「お前さんの左脳の大半は空洞化していたんだ。それを人工脳髄に取り替えた。ほら、説明書だとよ。」
「説明書が必要なぐらいに難解なことか?現に今俺は、シックス・センスを行使していr…!」
呼吸が大きく乱れる。脳に酸素が送れていないのだ。慌てながらも、大智は対策を打つ。
「超能力者開発指数を基準として、段階4に相当する超能力者が半径10M以内に侵入すると、人工的超能力完全開放と第六感完全解放が自動的に行われる…。制限時間60秒…。制限時間を過ぎると…!…脳に酸素がいかなくなるだと!どういう原理だよ!」
人工脳髄の超能力機能を強制的にシャットダウンすることによってイリイチの呼吸困難は収まった。落ち着かせて水を飲ませる。大智は説明書を隅々まで読み尽くす。
「自動的超能力開放システムは、段階によって分けられる。PKDI:RANK2相当には、シックス・センスの限定開放。PKDI:RANK3相当にはシックス・センス限定開放に人工超能力完全解放。所要時間は前者が30分、後者が15分。」
「よ、要するにだ。シックス・センスを再現しているんだろ?人工的超能力はあまり再現に省くリソースはないが、シックス・センスはかなり脳を使うからな。」
息切れを起こし、苦しそうな声を絞り出しながらイリイチは分析している。そしてそれが正解である。
「…シックス・センスってそんなに危険なの?」
「あぁ、危険だな。お前には制御の方法を教えてやらんとな。俺みたいにはなりたかぁねぇだろ?」
いつもの調子で煙草と拳銃を探すが、見当たらないことを確認し、イリイチは大智に話しかける。
「悪ぃ。1本くんね?」
病院内はさすがに禁煙だ。屋上にて、1ヶ月ぶりの煙草を味わう。
「セブンスターも悪かぁねぇな。」
「厨房の時からセッター一筋だかんな。」
煙草の煙に巻かれて、イリイチ自体の復活は成し遂げられた。彼がシックス・センスそのものを取り戻せるのかは、未だ未定である。
100部分目で主人公久々のご登場!!




