二回戦から決勝へ
二回戦までの一週間は、流れる川のように早く過ぎていった。
そして二回戦。
またもや夕と当たってしまった。
読み手が札を読む。読み手の声が決まり字に到達するのと同時に、夕の綺麗な白い手が札を捕らえ、札は弧を描くように舞い上がる。
「やっぱり…、強い…。」
私はそう呟いた。
読み手の、
「静かに」
という凛とした声が響き渡る。
場が静まり返ったのを見計らい、読み手は次の札を読んだ。
「いにしえの」
パシッ。
小気味良い音が響き渡り、札は宙を舞う。
畳の上には、札を弾き飛ばした私の右手が残っていた。
夕は、一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに楽しそうに微笑んだ。
「山川に」
パシッ。
今度も私が取れた。
夕相手にまさか2回も連続で取れるとは。
とても嬉しい。
でも、これが最後の札だったので、結局負けてしまった。悔しいけど、夕と戦えて良かった。
そう、心から思った。
夕は、すれ違いざま、
「今日は楽しかったよ。ありがとう」
そう言って微笑んだ。
決勝戦は二回戦と同じ日に行われた。
二回戦で負けた私は、強制的に家に帰らされた。さくらは、二回戦に勝ち残って、決勝戦で夕と当たり、惜しくも二枚差で負けたらしい。
私は、気落ちしている妹に、
「準優勝おめでとう」
と声をかけた。
さくらは、たちまち笑顔になった。
明日、学校で、夕にも
「優勝おめでとう」
と声をかけよう。
夕とも仲良くなれたら良いなぁ。
更新遅れてすみません。
これが最終話となりました。
今まで読んでくださった方、本当にありがとうございます。
また次の作品で会いましょう。




