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不思議な少女と黒の侯爵家 1 -リンデル目線-

タイトル通り、リンデル目線です。

エステリアという世界の説明を入れました。

なんとなくわかっていただけたら幸いですm(><;)mつたない文章にお付き合いいただき感謝です☆


朝霧すず



異世界、地球という場所から来たと言う少女。


彼女は突然現れた。


(えり)にかからないほどの短い黒髪は、この世界(エステイル)の少女がセットするには短すぎるといって良いほどだ。微かに混じる茶色の髪は癖がない髪質に色を添えていた。





幼い我が身でも感知できるほどの莫大(ばくだい)な魔力と衝撃波(しょうげきは)が、

屋敷全体に走ったと感じた瞬間、奇妙な気配が流れ込んで来た。


気配のもとである部屋へと踏み込むと、現れたのは酷く怯えた様子の少女が一人、

言葉を発せずこちらを向き、身を守る姿で震え(かま)えていた。


微動だにしない少女。


「誰だお前!?どこから来た?」


何度も何度も試しては成功しなかった魔法陣が微かに青白く光り、床へと残っているが、、、


・・・アノ人はどこだ?戻られたのではないのか?


・・・また失敗したのか!?


思うことはたくさんある、

目の前のこの少女は何か知っているのか?



「おいっ。答えろ、話せるか?」



少女の腕を掴み、顔を覗くと大きな瞳をいっぱいに開き、驚いた表情のまま固まった。


どこか呆けている・・・


このままこの部屋に入られても面倒だ。


「部屋を出るぞ。・・・立て」


顎で扉を示すと、フラつきながらも廊下へと歩き出した。


どうしたものか・・・



「にぃさま~。アルさま帰ってきたのぉ~?・・・この、おねぇさん誰ぇ?」



廊下で待たせていた弟エルデンが尋ねてきたが「わからない」と返したがソワソワと落ち着きがない。

状況がどうであれ、幼い弟は久しぶりの来客にこうふんしているようだ。

「ねぇ、ねぇ」言いながらまとわりついてくるのだが力任せに振り払うこともできずそのままにさせておく・・・。


「レーシー、居るんだろ?客人を居間まで連れて行く。不審な点がないか部屋を視てくれ」


声をかけると、音もなく現れたメイドのレーシーは頷き部屋の調査へと向かった。


少女へ向くなり目が合った、黒く澄んだ瞳に見入っていると、


突然、その綺麗な瞳から大粒の涙を流しながら何やら言い始めた。


「・・・っ」


言葉がわからない、この国の者ではないのか・・・?







エルデンを落ち着かせ、少女と共に1階へと場所を移した。

居間まで辿り着くと、エルデンに「すぐに戻るから(少女の)相手をしている様に」と伝える。


「わかったよ!任せて~」と頼もしい返事が返ってきた。



この屋敷に客人は珍しいく、言葉の通じない国のものなど論外だ。それほどこの屋敷に人訪れない。短時間でも幼いエルデン一人に少女の相手をさせておくのは心配だ。急いで用意した翻訳薬は効き目が短いものだったが、地下室まで新薬を取りに行くのは面倒だ・・・しょうがない。


・・・少しでも手がかりがつかめればいいが・・・


急く気持ちも強かったが、執事のエドワルドへ状況を簡単に説明し共に少女のもとへと向かった。



エルデンが上手いこと、少女の相手をしていてくれた様だ。

先ほどは血の気が引いた様な顔色をしていたが、微かに赤みが宿っている。


少女が後ろに控えていた、エドワルドへ軽く挨拶をした様だ。

育ちは悪くはないのだろう初めて見る衣服だが汚れもなく、微かに残る石鹸の香りがとても好ましく感じた。


手にした翻訳薬入りの水を彼女へ渡し、飲む様促したが飲む気配がない。


「早く飲め、、、言葉が通じない」


そういっている間に、エドワルドは先に飲んでしまった。


オドオドしていたが、素直に口に含んでくれた。


翻訳薬が効いたのだろう、効果反応が微かだが現れた。


水を口へと含んで少しは気分が落ち着いたであろう少女へ、

エドワルドが声をかけると突然言葉がわかるようになり、すごく驚いて何やら言い始めた。


自分も翻訳薬を飲もうとエドワルドが盆に載せ持ってきた翻訳薬を口に含もうと手を伸ばしたところ、、、エルデンに奪われた・・・。


「っふーーっ。ハイ。にぃさま~」


戻されたコップにはわずかに残された翻訳薬のみが戻された。


・・・はぁ。


とりあえず飲んで、少女に向き直る。



ちょうど、エドワルドが自己紹介とこの場所がブロウ侯爵の屋敷であることを伝えたようだが反応がおかしい。


この国、聖アルゼンベルシュ王国。


その国でブロウの名を持つ侯爵家は一つしかない。この国の者、他国の者にまでも知れ渡っているその名は大抵の人間・人外の反応は決まってくる。


黒の公爵または呪われた公爵。最近では血塗られとも言われ始め、なかなかな呼び名だ。


とてもアンニュイな呼び名だが間違いはなくこの屋敷の主人を示すのには十分なものだ。大人はもちろんのこと子供などが近づくわけがない。



「お嬢様は、この国の方ではないご様子ですがよろしかったですか?」


コクコクと、うなずく少女。


微かに期待が高まるが、期待に反していやな予感しかしない・・・。


「では、お国のお名前はおっしゃっていただけますか?」


そう、エドワルドは言いつつ居間の棚から世界の地図を取り出し少女の前へと広げ見せた。


すると大きな瞳をいっぱいに広げ、口へ人差し指を押し当て固まってしまった。


「・・・・・・・・・・・・・」


首を振り、否定を示しているが、声を上げない。



「天地創造神であられるエステニアの様や聖人ルーベルト様もご存知ではありませんかな?」


コクコク・・・。


「おまっ(おまえは、まともにしゃべれないのか?)」


と、気が動転しているとは言え少女の態度に一言告げようとしたが、エドワルドにさえぎられてしまった。


「そうですか・・記憶がない・・と言うわけではない、んですね?

 ではまずは、ちゃんとこの場所のお話をしなくてはいけませんね?」


少女を安心させようとしているのか?微笑みながら語るエドワルド。


・・・・。



「ここは、聖アルゼンベルシュ王国のブロウ領でございます。

創造神エステニア様がお与えくださった7つの大陸の一つに御座います。こちらの一番北にある大陸で御座います。」

そう言い、広げた地図を指し示しながら説明が始まった。


微かに少女の眉間に皺が寄っている。


無理もないだろう。

地図に描かれた人の住む大陸は、中央の大陸を囲むように五つの大陸が描かれているのみなのだから。



「7つ目の大陸は、〔魔脈地〕エルゼリアと呼ばれる、女神エステニア様が魔獣・魔族に与えられた楽園だと言われております。魔脈と言う山脈のようなもので囲まれ、人界とは隔離されておりその全容は知られてはいないと言っていいほど情報が少ない地です。」


魔脈より放たれる聖なる力が魔獣達を人の人界エステリアへ踏み入ることを拒んでおり、魔獣達が自由に人の世界へ立ち入ることができぬ様にしている。


それは人にも言えたことで人がエルゼリアへ入ることを拒むように、エステイルとエルゼリアは離れている。


過去、新地開拓へとエルゼリアを目指して航海に挑むものもいたそうだが、荒波(あらなみ)、天候の変化に挫折(ざせつ)したそうだ。なにより魔脈より発する魔力量は人体に影響が出るとも言われ、近年学者が発表した論文によると、この距離が魔脈地より発生する力を分散し和らげ、人体にちょうど良いエネルギーとして人界エステイルへと流れているとのことだ。


つまり、この世界地図は人界エステイルのみ描かれており、魔脈地エルゼリアのは描かれていない。


とは言え女神エステニアのも完璧に魔獣を魔脈地へ封じ込めることに成功したと言うたわけでもなく、双方の力の均等が崩れない程度の微弱なドラゴンやユニコーン、妖精などのさまざまな魔法生物が人界エステリアの大地に存在している。


---神も完璧ではない---


魔脈地エルゼリアには魔族や魔物もいるとの事だが、彼らは強く遥か昔に人族を滅ぼそうと天変地異を起こし、女神エステイルを怒らせたとか言うそんな物語もある。エステイル神に関する話はごまんとあり、人に近い感性の神として語られていることの多い女神への信仰を、人々に浸透させるには十分な題材となっている。この世に「女神エステイルを知らない」と言う者はいないと言っても過言ではない、それほど女神の名はこの世界では常識だ。




「つまり、人と魔法が共存する大地を恐れ多いことですが、我らが尊び敬愛してやまぬ女神の名をお借りし、人界をエステイルと呼ばせていただいております。人々は精霊のお力と魔脈から流れ出る魔力の恵により人は魔法を、魔術を使うことを可能にしたと言われております。・・・こちらもご存じないようですね?」



エドワルドの話を聞きながら、少女の目は不安の中にも好奇心が見え隠れし始めてきた。

幼児でも知っているこの話をも、驚きのまなざしで聞き入る姿に嫌な予感は的中しつつある様に感じる。



獣人系・亜人種系・幻獣系・・・RPG。わぁ〜おっ、、

Web小説万歳っ☆

この夢素敵だっひゃっほ~♪

今後の同人活動のネタに・・・



少女はぶつぶつ含み笑いをしながら呟いているが・・・何を言っているのか意味がわからない。


わかるのは興奮し、頰が桃色に火照っていることだけ。


「Webしょうせつってなぁに?」

エルデンが少女の不思議な言葉に突っ込んだ。


そう言えば君も、飲んでたんだっけねぇ~・・・・


と、間の抜けた少女の反応に・・・イライラする。


「っお(おい)」

と切り出そうとしたところで、


またしてもエドワルドが、


そうでした!?大事なことをお伝えしておりませんでしたね!?と慌てはじめ、

「お嬢様の言葉がわからないとの事でしたので、お飲み物へ翻訳薬を含ませた物をお出し致しました」

と、翻訳薬の存在と用途を少女に伝えていなかったとを(わび)びていた・・・。



エドワルドから説明を受け、少女は納得した様だが・・・イライラ


そろそろ、本題に戻らせたいところだ・・・


・・・イライラ









ここまで読んでいただきありがとうございます!


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