15歳の私と黒の侯爵家 4
翻訳薬が切れ始めたころ、
コン、コンっと、ノックの音がした。
姿を現したのは白のブラウスに紺色のメイド服を着た女の子、
私と同じくらいかな?
肌の色は白く、
エメラルド色の綺麗な瞳に、
濃緑色の髪、
キャップタイプのホワイトブリムがいかにもメイドさんっという感じで萌えます♪
ウェーブの髪が両頬に沿って流れ出ていて、顔の美しさはもちろん、
絵本の中の妖精さんが現れた様な、不思議な雰囲気も醸し出している。
自然と彼女へ視線がいってしまう。
エドワルドさんへ何か言っています。
翻訳薬を飲んでいない方のようなので、
言葉がわかりません。
「お嬢様、、、まだ、、でし、、
あちら、、、おしょく、、、翻訳や、、、
おや、、、まだ、、、は、、い、、、」
『お嬢様、お昼ご飯はお済でしょうか?
お済でないようでしたら、あちらの食堂で
お食事とともに、効果の高い翻訳薬をお召しに、、、
おや!?まだ薬の効果は続くはずですがおかしいですな、、、』
エドワルドさん、
どうやら、翻訳薬の効果が切れてしまったようです。
「おねぇさん!お昼ごはんだって!
一緒にあっちのお部屋でご飯を食べようよ!」
エルデン君が通訳してくれました。
ありがとう!
そういえば、お昼ご飯まだだったなぁ・・・
お昼休みに食べようと用意したお弁当とお菓子・・・
お腹すいた・・・
召喚された時に身に着けていたものは、
握っていたシャーペンと、
ジーンズのポケットに入ったスマホくらいで、
ネットは流石に使えない様だけど、他の機能はバッテリーがある限り使えそうだ、、、
この世界で役に立てるかな、、、?
元の世界では、生活に欠かせない必須アイテムだったけれど、、、
今はなんとも頼りない。
リュックごとこっちに来てないかな?
私の荷物どうなったんだろう?
私の周りにいた子は巻き込まれなかったのかな?
案内されたのは一階にある大広間兼、食堂は30畳くらいの広さで、
テーブルや椅子もホテルの家具のような品位、高級感を醸し出していた。
とても緊張する。
広い部屋で私は、
リンデル君、エルデン君、と向かい合うように席に案内され、
翻訳薬を出してもらいました。
エドワルドさんや使用人の方々は一緒には食事をされないそうで、
いつも兄弟2人、もしくは侯爵様と3人でのお食事なのだそうだ。
今度の翻訳薬は紅茶に混ぜてあるのか、ティーカップに入っていて温かく、
こちらも飲みやすいものだった。
効果も長く、飲み交わす必要はないようで、近年はこちらの方が主流のよう。
何で最初からこちらのお薬ではなかったのか?
と、疑問は残るものの再び言葉が通じるようになり、
ほっとして、
私の他に荷物がなかったのか?
食事が運ばれてくる前に告げてみた。
先ほどの女性レーシー さんが手にリュックを持ってやって来た。
気が動転していた私は気がつかなかったけれど、
どうやらレーシーさんも私がこの屋敷へ現れた時にエルデン君と一緒に廊下に居たようで?
私たちが居間へ向かった後、部屋の中を調べてくれていたそうだ。
ちなみに私が現れたのは、侯爵様のプライベートルームに隣接された魔術部屋で、侯爵様がお留守の時は厳重に鍵がかけられているそうです。
リュックの中に不審なものが入っていないか?
中を確認させてもらったと、、、断りはあったものの、
リュックの他には荷物や周辺に人はいなかった。
と言う言葉を最後に、部屋を出て行ってしまいました。
口数が少ない方の様です。
ここへ来てしまったのは本当に
私だけ、、、
リュックの中を確認すると最後にを開いた時のままの荷物がそこにはあった。