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Nemesia  作者: 五流工房
Nemesia本編
6/18

君だったとはね

もうどれくらい探しただろう・・・・・・これと言った手掛かりは見つからない。

理想は本人とすれ違うってのが、私としてはいいのだけれど

現実はそうは行かないよね?

よし。諦めないからね。次に行こっか。


ブーン、ブーン。


スマホのバイブレーションに気づき、画面を確認すると、みあからの着信だったの。

「はい~どうし・・・・・・」「見つけたわ!急いでしよ!」

「ちょっと落ち着いてみあ。ちゃんと説明してくれないと」

「あ。ごめんなさい・・・・・・よく聞いて。さっき助けてくれた人覚えてるわよね?」

「うん。まだそこにいるんだよね?」

「いえ。彼は羽田へ向かったわ。だからあんたもすぐに向かってちょうだい」

「何で?まだこっちで探してるんだけどなぁ~」

「あぁぁぁ、だーかーらー」

なぜかわからないけれど、彼女は慌てている。もしや彼女に何かあった?

「もしかして彼に何かされたの?」

私の理解が鈍い事にしびれを切らした彼女が少し声を荒げて叫ぶ。


「その人がアイツ、"ヒロ"だったのよぉぉぉ!」




Nemesia(ネメシア) day1_君だったとはね ~




「どちらまで向かいましょう?」

「羽田空港まで、なるべく急いでいただければありがたいです」

「わかりました。ですが道路状況によります事をご理解なさって下さい」

「ええ。どうか無茶な運転だけはおやめ下さい。そこまでは望んでませんので」


お台場パレットタウンの方まで来ていた私は、急いでタクシーを捕まえて羽田空港へ向かう。

滞在時間も残りわずか。でも、やっと形のあるチャンスを掴んだ。

まさか、あの時の恩人が君だったとはね。

すぐに向かうから待ってて。

でも、これは偶然なのかしら?もしかして、アペリラの仕業だったりしてね。


・・・

・・


公園で彼女たちの様子を楽しそうに見ているアペリラ。

「フフフッ。さぁどうだろう。でも、みあおねーちゃんはほんとドジなんだから。ちゃんと待ち合わせ場所を用意しないと、また追いかけっこになっちゃうよ」

彼女たちが過去に滞在出来る時間も残り35分。

「しよおねーちゃんはあと何分で空港に着くかな?結構道も空いてるようだし、早く着けばいいね」

彼女は口元を不気味にニヤつかせる。


・・・

・・


「あぁぁぁぁしまった。アイツに待ち合わせ場所を指定してないじゃない」

「お、お客さま?少しお静かにお願いします」

「あ・・・・・・ははは。失礼しました」


店内に間抜けな声を聞かせてしまい恥ずかしめを受ける私。

たまたま近くを歩いていた店員に注意を受ける始末。

ま、さっきの行動と合わせると、完全にアウトだわね・・・・・・

連絡しようにもアイツの連絡先知らないし。もう私ってほんとバカなんだから。


「ごめん、しよ・・・・・・どうかもう1度、アイツに会えますように」


右手の拳を強く握って、今度はおまじないのように小さく呟く。


・・・

・・


「ありがとうございました」

「お気をつけて」


道も空いていたおかげで、20分弱で羽田空港に到着した私。

急がなきゃ。でもどこへ?

ううん、もう迷ってる時間はないわね。

とりあえず出発ロビーに向かいながら周りをよく見渡そう。


・・・

・・


『今からその子も羽田へ向うはず。だから・・・・・・お願い』


と、言われたものの。一体誰が僕に会いたがっているのだろう?

自分にはまったく身に覚えが無いので、若干騙されてると思ってしまう。

けれど、あの人の真剣な眼差しは、なんと言うか・・・・・・必死だった。

そんな顔をされてはこちらも困る。だって、あの人は昔のあの子に似てた。

君は"僕の友達"と結ばれたのかな?

おっと。そんな事よりも、まだ見ぬ客人を待とうか。


・・・・・・どこで待てばいいんだ?


こちらが下手に動けばすれ違いになるかもしれないし、そもそも僕は相手を知らない。


「仕方ない。保安検査場付近の目立つ所にでも立って待つとしますか」


・・・

・・


2階、出発ロビーに到着した私。

見渡せば沢山の人があちこちにいる。

保安検査場に向かう人、お土産を買う人、荷物を預けている人、椅子に座って話しをしている人。

この中に彼がいる・・・・・・はず。いえ、いると信じる。


手始めに周りをよく見て彼を探す。見当たらない。

お土産を見ているとしたら?ダメ。今からじゃとてもじゃないけど全部は探せない。

もう保安検査場の向こうだとしたら?もう諦めるしかないわね。

あ~こんなに近くにいるのよ?いっその事、名前を叫ぶ?

ダメ。多人数相手だから、禁則事項に引っかかるかもしれないわ。

もう!時間がないから冷静でいられないじゃない。

時間?あと何分なの?


私がロビー内にある時計台に顔を向けた時・・・・・・緊張の糸が切れたの。


「見つけたよ。私の忘れ物」


距離にして、約10メートル先の時計台のすぐ側に、彼は目立つように立っている。

自然と足が彼に向かって歩み出す。


ねぇ。もうすぐだよ・・・・・・


あの日、君と別れたあの瞬間(とき)から

私は自分のわがままのせいで、こんな結果になってしまったと後悔したの。

でも君は私を責めたりはしなくて、むしろ先の幸せを願ってくれた。

ほんとは辛かったと思うよ・・・・・・

だって、君は誰よりも私の事を・・・・・・

今日、あの場所に来て、君を思い出して、今になってようやく気づいた。

いや、気づけた。

だから、私は伝えたい。過去に言えなかった忘れ物。


時計台まであと3メートル。ここまで来れば声も届くし、顔もはっきりと認識出来る。

彼は、私から見ると横に向いていて、私が近づいている事に気がついていない。

まずは声をかけて振り向いてもらおう。

そう思い、私はちょっとだけ多めに息を吸い込んだ。


『ん?さわちゃん?』


脳裏に彼が口にした言葉がよぎり、吸い込んだ息を呑んでしまう。

突然、胸の鼓動が早くなる・・・・・・

あの時の言葉は・・・・・・何だったの?


彼に向かっていた足が止まる。


わけのわからない不安と恐怖が私を混乱させる。


『あんたは目的があるの。忘れないで』

忘れてないよ。でも君には・・・・・・

『なんか雰囲気が似てたもので』

その人は君の何?わからないよ。

『見つけたよ。私の忘れ物』

早く届けなきゃ。でも届けていいの?どうすればいい?ワタシは・・・・・・


気持ちは前に進みたい。でも心が足の自由を奪う。ますます不安と恐怖が膨れ上がった時。

いつしか右手の甲が”紅色”に光っていたの。


「もうどうしていいかわからないよぉぉぉ」


気がつけば大声で叫んでいた私。

慌てて両手で口を塞ぐ。

周りにいた人々が私に視線を向ける。

そして・・・・・・彼もこちらに気づいた・・・・・・



が、突然辺りが灰色に変化して、時が止まったの。

そして私は、違う場所へと飛ばされる。



「ジカンダ」


私の目の前に姿を見せた仮面さん。

私はその場で、両手で口を塞いだまま両膝を地面につけて項垂れたの。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい」


状況を理解した私は弱い声で返事をする。

塞いだ手をほどく頃には、右手の光は”消えていた”の。


私から少しだけ離れた所が光り出す。

そして誰かが上空数メートルから降ってきた。


「おわー。ちょ、私を乱暴に扱わないでよ、この身体じゃ受身も満足に・・・・・・て、しよじゃない」


「みあ。どうやら時間みたいよ」

「ま、そう言う事らしいけど、ヒロには会えた?」

「・・・・・・うん」

「そっかー。ならクリアって事かしら?」

「・・・・・・ごめんなさい」


私は彼女をまともに見れなくなっていたの。

だって、私のために犠牲になってくれて、チャンスも与えてくれた。

それなのに、最後の最後で・・・・・・


「大丈夫よ。まだ2日ある。12時間も残ってるわ。だから落ち込まないで気長に行きましょ」


彼女は笑顔で励ましてくれる。少しは叱ってくれてもいい所なのに・・・・・・


「そだね。ありがとう・・・・・・」


「所でさ?この何にも無い空間は何なの?」

「ココハ"時空の狭間(トキノハザマ)"。トキガクルトココニトバサレルバショ」

「って事は、元の時間に帰る前に、ここに飛ばされるってわけね?」


仮面さんはうなずき。私たちに右手を向ける。


「デハ、モトノジカンニカエス」


言葉が終わると同時に掌を見せ、私たちは過去から現在へと戻って行ったの。


・・・

・・


飛行機の出発時刻が迫ってきた。

そろそろ保安検査場へ向かわないと間に合わなくなるな。

・・・・・・仕方ない。行くか。

僕は保安検査場に向かって歩き始めようとしていた。


「もうどうしていいかわからないよぉぉぉ」


突然、女性の叫びに近い声が聞こえた。

僕は反射的に声の方に顔を向けた時、僕は待ち人が”誰”だったか理解した。

でも、それは・・・・・・


・・・・・・・・・・・・僕の”勘違い”だった・・・・・・・・・・・・


なぜなら、声のした先には”誰もいなかった”から。


「さっきの声は何だったんだ?ま、いいか。帰ろう」


僕は保安検査場に向う。聞き覚えのある声を、姿なきキミを、心の土産として・・・・・・


・・・

・・


去りゆく男の背中を遠くから見ている1つの影。

その者はスマホを取り出し、待受画面から右に3回、左に2回、右に1回フリックし、電源ボタンを2度押した。

そして、そのまま耳元にスマホをあてる。


「やあ、おにーちゃんから連絡くれるなんて珍しいね。おねーちゃんたちは無事に帰った?」

「ああ。さっき飛んで行った。だけどまた来るはずだ」

「次はどこの時間へ行くのか、ボクは楽しみだよ」

「・・・・・・くれぐれも無茶だけはさせないでくれ」

「ボクはそのつもりだけど、決めるのは”おねーちゃん”だよ」

「ああ・・・・・・そうだな」


耳元にあてていたスマホを下げ通話を終える。

そして静かに姿を消していく・・・・・・


・・・

・・


時は現在。


1日目のakua(ゲーム)が終了し、公園に戻って来た2人。


「お帰りなさい。おねーちゃんたち」

アぺリラが無邪気に駆け寄ってくる姿を見て、私たちは戻って来たと実感したの。


「「ただいま。アペリラ」」


東にあった太陽も、いつしか西へと傾いている事を知った私。

私たちが過去で経過した時間と同様、こちらもそれだけ進ませて返してくれたって事なのかしら?

不思議な事は増えるばかり。とりあえずアペリラに説明してもらった方が早いのかもね。


「お。元に戻ってるわ。やっぱ身体って大事よねー」


彼女には不自由な思いをさせてしまった。

改めて彼女への感謝と罪悪感を胸に残して、あえてこの件には触れずに会話を進める。


「ねぇアペリラ。色々と聞きたい事があるんだけど、いいかな?」

「ウン。わかる範囲なら答えるよ」

「じゃー私が先に質問させてちょうだい。帰る前に私の手の甲が"紅色"に光ってたのは何かしら?」

ほへ?あの光は・・・・・・私だけじゃないんだ。

「私も同じ色の光だった。あの時は感情が高ぶっていたから、何かの警告かと思ったのだけど・・・・・・」

「タイムリミット」

「じゃ~要するに」「制限時間を知らせてるってわけなの?」

アペリラはうなずく。そして私の右の手の甲を優しく撫でて、私に視線を向けたの。


「と、後はおねーちゃんの知りたい事のヒントだったりするんだ」


その言葉を聞いて、私の鼓動が早くなった。それを見て彼女は冷たく笑う。

その笑みと、仮面さんの言葉から、私の知りたがってる事は、間違いなく禁忌な事なんだと理解したの。

「そうよ、しよ。あんたは石油王と何の駆け引きをしていたわけ?」

アペリラとの会話が仮面さんとの事だと理解した彼女が、説明を求めて来る。

彼女に隠し事をするつもりはない。だから正直に説明したの・・・・・・


「過去に残る方法ですって!?あんた本気でそんな事を考えてるわけ?」

「いや、あの、そうじゃないんだけど。仮面さんが時を管理している人なら、時間の延長というか、残れる方法なんてあるのかなって」

「まー延長出来たら探せる確率も上がるけれども、そんな方法なんてあるの?」

「ナイヨ。"時間の延長"は出来ないんだ。あくまでも1日6時間が限界」

「そっかー残念だったわね、しよ」

「ほへ?ええ、でも無いなら仕方ないよね」


この時。私は知ってしまったの。

この話しにはまだ・・・・・・続きがあるんだって事が・・・・・・



私たちの質問が数十分程続き、一通りの謎も解明された所で、2人は公園を後にする。

「じゃーまた明日ね」

「ほんとに走って帰るの?」

「当然よ。いくつになっても好きな事はやめられないわよ。じゃまたね」


みあは家まで走って帰る。昔から走る事は趣味と言っているけれど、今も自慢の脚力は衰えていない。

人生やり直せるなら、きっと彼女はオリンピック選手にでもなってたと思う。多分。


「人生やり直せるなら・・・・・・か」


私はそう呟き家路に向かう。

ふと立ち止まり、右手の甲を見つめていた。

諦めたくないよ。次こそは必ず・・・・・・

左手でそっと右手を撫でて、私は再び歩き出した。



誰もいない公園に、独り残って夜空を見ているアペリラ。

そこに近づいて来る存在に気づいた彼女。


「やっぱり戻って来たんだね。"しよおねーちゃん"」


「さっきの続きを聞きたくて(知りたくて)、戻って来ちゃった」


彼女は私をベンチへ誘導させる。

そして私の右の手の甲に触れて語り出したの。


「時の番人が言った通り、彼は奪うだけの存在って事は理解したよね?」

「ええ。仮面さんは与える事は出来ないと言っていたのは覚えてるわ」

「ウン。だから条件を満たした時、その力を与える事が出来れば、過去には残れるんだ」

「条件と力?それはアペリラが与えてくれるの?」

「半分正解。ボクは条件を作るだけ。与えるのはおねーちゃん自身。でもそれを使うとおねーちゃんはもう戻れない。意味わかるよね?」


『ヒトデアルコトヲステルナ』


それは仮面さんが言っていた言葉の意味なのだとしたら・・・・・・


「私はもう人ではない存在になるって事?」

「簡単に話せば、おねーちゃん自身が過去の自分になる。過去に残ろうとした時間以降の記憶と存在は、今のおねーちゃんの魂が消滅して、その時間にいた自分と入れ替わる。おねーちゃん自身は消滅しないしこれからも生き続けるんだ。でも先の未来は今とは違う結末になるかもしれない」

「入れ替わった自分が新たに未来を作るから、今が変わる?だから禁忌なの?」

「きんき?意味はわからないけれど、やってはいけない事にはなるよ。過去を大幅に変えると言うのは、そもそも許される事ではないんだよ」

「待って。なら私たちが今やってる事も許されないんじゃない?」

「あーアレはゲーム内だからね。多少の変化は修正出来るんだよ」


アペリラの言ってる意味がいまいち理解出来ない。

ゲーム内だからこそ、過去に残る手段をとっても現実世界とは繋がりはないのでは?

私はそう質問すると、アペリラは私の手から離れ、自分の左手を私に向けたの。


「朝、ボクがおねーちゃんたちを過去に飛ばした事は覚えてるよね?そのやり方と、おねーちゃんが飛んでたやり方とは、似てるようで違うんだ」

「それはつまり、私たちはゲーム内でしか時間移動出来ないから?」

「少し違うけど、正解。ボクが使ってる時間移動はこの世界そのもの。その世界を元にakuaが作られてる。akuaとは現実世界のコピーなんだ。その中でおねーちゃんたちが時間移動している」

「だから時間の変化が起きても修正出来るって言ったのは、現実世界で何も起きないからって事?」

「ウン。でもね、過去に残るって事はさっきも言ったように魂の消滅。そして過去と未来の入れ替わり。今"ココ"にいるおねーちゃんが別のおねーちゃんになる。それがコピー先で起きて現実の時間に戻って来た時。明らかに元の世界にも影響が出るんだ」

「私だけど・・・・・・私じゃない。入れ替わったその時間から現在までの時間が狂ってしまうって意味?」

「正解。ま、細かい事を説明していたら、"その筋に詳しい方や、読者からのツッコミが来る"から、とりあえず、あーこんなもんなんだぁって感じで流してもらって、次に進もうよ」

「ええ。わ、わかった(その筋に詳しい方や読者って?)」


「ハイ。色々と説明しちゃったけど、それを知っても過去に残りたい?」


私に向けられたアペリラの左手が光り出す。


「・・・・・・残るかどうかはわからない・・・・・・でもここまで聞いといて後にも引けないわ」


私は右手の甲をアペリラに向ける。


「なら教えてあげるよ。後の事はおねーちゃんが決めればいい」


アペリラが私に向かって光を放つ。

その光はまっすぐ私の右手へ飛んで来たの・・・・・・


・・・

・・


6畳くらいの部屋にあるベットの上に、明かりも付けず、少し濡れた髪を、肩にかけたバスタオルで軽く押さえながら腰を下ろす私。

バスタオルで捕えられなかった雫が、胸に落ち滴る。

それを右手の人差し指ですくった時、アイツの事を思い出したのよ。


『昔から好きなんでしょ?・・・・・・これ』


「ああぁぁ恥ずかしい。忘れるのよ私。じゃなくて、結局私じゃ役に立てなかったなー」


明日こそは彼女の力になってあげたい。何かいい方法があればいいのだけれど・・・・・・

ベットに仰向けになり薄暗い天井を眺めながら、私なりに考える。

これと言っていい案は浮かばない。

・・・・・・仕方ない。"あの子"に頼ってみようか。

私はベットの上に置いてあったスマホを握り、アドレス帳を開いたわ。


そして電話番号を見つけ、発信ボタンを押したのよ。


・・・

・・


家族で久しぶりに食事をし、シャワーを浴びて懐かしいベットに身体を預ける。

時刻は23時を過ぎていた。

私は今日の事を振り返り、頭の中を整理する。


あの時、私が立ち止まらなかったらと考えると、なんだか悔しい。

あの時、私を立ち止まらせた言葉を思い出すと、なんだか切ない。


「さわちゃん・・・・・・って誰なの?・・・・・・ねぇヒロ・・・・・・」


声に出して彼の名前を呼ぶと胸が痛い。

彼が勘違いした人物が私の心を不安にさせる。


確か、彼は私と雰囲気が似てると言ってた。

・・・・・・そうだ。確かノッポさんも私と誰かを勘違いしてたよね?

もしかして・・・・・・同じ人なの?

頭の中で点と点が繋がった気がしたの。


そして、軽く深呼吸をして、明日の事を考えた私。

今日はしくじったけど、まだ追いかけられる。

そう。彼の情報はまだ残っている。

ノッポさんが教えてくれたもう1つの情報。

それは今の疑問がわかるチャンスなのかもしれないわね。


ブーン、ブーン。


スマホのバイブレーションに気づき、画面を確認すると、みあからのLINEだったの。


明日は楽しみながらアイツを見つけるのよ!

しよは笑顔でいなきゃ、アイツも喜ばないんだからね!


「みあったら。そだね、ここで悩んでても仕方ないし、明日に備えて今日は寝よう」



私はみあに返信して眠りについたの・・・・・・

彼に想いと嫉妬を募らせて。

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