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Nemesia  作者: 五流工房
Nemesia本編
12/18

もうゲームではないわよね?

部屋のすみっこにあるベットの上。

右手に包帯を巻いた親友の姿が見える。正式には、指以外を包帯に包まれているって所。

寝相が悪いのか、わざとなのか?被っていた布団がベットから落ちていて、下着姿のわがままボディが、私に向かって挨拶をしています。

私は少しだけ苛立ちを覚えましたが、起こさないようにそっと布団をかけなおして、部屋から出て行きました。


朝の光が街を明るく照らす時間。

私はコケティッシュな服装で、ある所へと足を運ばせます。

それはどこかと問います?

ふふふ。それはですね。




Nemesia(ネメシア) day3_もうゲームではないわよね? ~




2017年 4月。某日、日曜日。


「おはよーしよおねーちゃん。気持ちは落ち着いた?」

「おはよう、アペリラ。ええ。あなたの力をムダに使ってしまって、ごめんなさい」

「そんな事は気にしないでいいよ。少しだけだったけど、ボクと同じになれた感想は?」

「う~ん。自分の欲望に使用する物ではなかったと反省してる」

「ウン。じゃー次の質問。今日が最後だけど、まだ過去に残りたい?」

「まさか。でも、今日こそは彼に届けられるように頑張るつもりよ」


と、言ったものの。

実はもう彼を知る情報が無いのも事実。

ノッポさんの提供してもらった情報はもう使い切ったし。


「しよぉぉぉ大変よぉぉぉ」


なんか昨日も同じような光景を見た気がするのは私だけ?

遠くから、ものすごい勢いでこっちに向かって走って来るみあ。

右手には包帯を巻いているのがわかる。

「みあ。わかったから。そんなに走ると傷に障るからやめて」

「あ、みあおねーちゃん。昨日はご飯ありがとう」

「よ!アペリラ。今日も桜餅買って来たわよ」「ほんとにー?やったぁー」

「おはよう、みあ。えっと、昨日は本当にごめ」「私は何があってもしよを見捨てない。あの時、私を救ってくれたようにね」

「みあ」

「それより聞いてくんない?朝起きたら、しのが家からいなくなってたのよ」

「ほへ?昨夜は行き先とか言ってなかったの?」

「何にも。昨夜はしのとあの話しで怒らせたくらいで」

「どう言う事?詳しく話してよ」

「そうね。あれはちょうどお互いシャワーを浴び終わった時────」


・・・

・・


決して日焼けではないけれど、彼女の肌は顔と同じくらいの黒さ。

黒いと言ってもほんの少しだけね。うすい小麦色と言えばいいのかしら。

「とにかく綺麗よね。しのの身体って」

バスタオル姿の彼女に見とれてしまい、素直な気持ちを口にしてしまった私。

「はう。い、いきなり何を言うのよ?しかも、とにかくって何なん?」

「細かい事は気にしなくていいわよ。ね?しの」

「な、何ですか?今度は真剣な顔をして」

ほんと、可愛い反応するのね。彼女は女3人の中では、"かなり"変わったわ。

それは決してマイナスではなくて、むしろマニア向けに。

「おい。また変な妄想しとるやろ?はよ言うてよ」

「今日は本当にありがとう。しのが来なかったら、しよは本気(マジ)で消滅してたわ」

私は素直に頭を下げて、感謝の気持ちを伝えたわ。

「これも運命かも?だって、みあちゃんが連絡してくれなかったら、私はここに来なかったしね」

「運命ね。とにかくこの仮は必ずお返しするわ。そうね、毎日私の全てを見せるとか」

「はっ。や、やめてよね。昨日もう見たわよ。そんなに私を虐めて楽しいの?」

「何で?私だってあんな姿見せるのは、しのかしよくらいよ。てかなんで裸が虐めになるのよ?」

「だ、だって、ぅらやましぃもん。大きいし」

ははーん、やっぱここは女の子でも気になるのね。年甲斐も無く赤くなっちゃって。

「えー?聞こえづらかったわね?」

私は悪戯に、身体に巻き付いていたバスタオルを外し、両腕を胸に押し当て、持ち上げる用にして彼女の前に近づいてあげたわ。

「だ、だから、それをやめーな!ほんと意地悪なんやから。てか裸で近づくなや!変態」


・・・

・・


ある意味、この女ならやりかねない、いや。もう犯行は行われたのだけれど。

私は呆れた顔で、お決まりのセリフを言わざるを得なかったの。

「この変態アダルト鬼畜」

「な。ま、今回は認めていいわ。だっていなくなったんだし。でも決して手は出してないんだから」

「手を出してたらケガが増えてたかもよ?しのちゃんて以外と強いのよ。知ってた?」

「それは初耳ね。護身術的な物を心得てるってとこかしら?」

「ま~ね。気になるなら実際に体験してみればいいよ」

「サラッと怖い事を言ってくれるわね。私はいつも盛ってなんかいないんだから」

「ねーネー。先に桜餅食べたいよボク」


空腹のアペリラの訴えを聞いてあげて、私たちは先に食事する事にしたの。

「ほんっと、どこ行ったんだろう」

「気になるなら電話したら?もしかして連絡もつかなかったの?」

「あ。なるほど。その手があったわね」

基本的な事をやっていないなんてね。なんかみあらしいって所かな。

彼女はスマホを取り出し、しのちゃんに連絡をとってみる。


「はい、どうしたん?」

「あんた今どこにいるの?勝手にいなくなって心配してるんだから」

「あーごめんなさい。今、そっちに向かってます。詳しい事は後で話しますから、切るね」

「え?ちょ、し・・・・・・切れちゃった」

「しのちゃんの居場所は掴めたの?」「今、こっちに向かってるって」

「そう。なら、しのちゃんの分も残しといてあげなくちゃ」「残すって何を?」

「みあの買って来てくれた食事よ」


数分後。


「おはようございます。残り6時間の旅。頑張りましょう」

「おーい。来て早々に、話しを勝手に進めないでほしいわね」

「あら、美味しそうな桜餅ですね。私もいただいていいですか?」

「ウン。おねーちゃんも一緒に食べよう」

「おーぃ。しのさんや。聞いてるの?」

「所でしよちゃん。今日はどの時間に飛ぶ予定なんですか?見れば今はアペちゃんと"2人でいる"ようですし」

「あーごめんなさい。もうしのには乳を自慢しないから。ね?小さくても可愛いじゃない」

「小さいって言うなや」

「あ、はは。もう仲直りでいいでしょ?」


しのちゃんの合流で、とりあえず現状のメンバーは揃ったわけで。

私たちは食事をしながら、彼女の話しを聞く事にしたの。

「朝早くから一体どこに行ってたわけ?しかもそんな大胆な格好で」

「はう。やっぱやり過ぎ?あまりミニスカートって着ないから」

「「いや、むしろアリ」」

「あうぅ。何2人してハモってるんよ?」

「もしかして、こっちにいる大切な人と会ってたとか?」

私は冗談で言ってみたのだけれど、彼女の口元が自然にニヤけて

「さすがやね、しよちゃんは。そう。とっても大切な人や」

「「それは誰?」」

再び声がハモってしまった私たち。

彼女はどや顔でその人の名を叫んだの。


「その人の名は。ヒロくんや」


ヒロ?え?えぇぇぇぇ!?


・・・

・・


話しは数時間前に遡ります。


私はある目的の為、早朝の電車に乗り込み、彼の住んでる街へと出かけました。

彼の名はヒロくん。

高校生の時、まだお互いが恋愛経験を全く体験していない頃。

私と彼は、引き寄せ合いました。

でも・・・・・・

ま、世の中そんなに上手く行かない。

今思うと。お互いのステップアップの為に、神様が私達を近づけてくれたのかもしれません。

今でもいいお友達だと思っています。

ですが、今から彼に会うのは、私と彼の昔話をする為ではありません。

そんな事をすれば、しよちゃんに対して悪いし、抜け駆けはよくないでしょ?

だから。


「確かここだったはず」

家の表札を確認し、彼の家だと確信した私。

なんか緊張するなぁ。とりあえず言葉遣いを昔のままにして、決して"私だと"気づかれないようにしないと。

玄関の手前で深呼吸をし、気持ちを落ち着かせる。

そういえば、彼の家まで来たのは初めてだよね。

住所は知っていたけど、実際に足を運んだ事はなかったのです。

約25年の時を経て、ようやく来れた場所。

って。何自分から彼と恋愛する流れに持って行こうとしているのよ。

違うでしょ。私はもういるの。そんでもって今はしよちゃんの為に頑張るの。


私は呼び鈴の前に立ち、右手の人差し指で、ボタンを押そうとする手前でした。

着慣れない短いスカートが、風の悪戯で少しだけ舞い上がり、反射的に左手でスカートの裾を押さえ込んだのです。

その時、鳴らしてない筈なのにドアが開き、ラフな格好の男性が出てきました。

私はその男性とお見合いしてしまいまして、さっきの動作で少しだけ上半身が前屈みになり、乏しい谷間が無防備に晒されている事を知り、私の体温は急上昇してしまいました。

も、もちろんちゃんと着けてますよ?ただ体制が、ちょうどその部分に視線が行く格好だったので、私はただただ恥ずかしかったのです。

男性もすぐに視線を逸らしてくれましたが、あっちからしてみれば、私が不審者扱いなので、とりあえず顔を引き攣らせながら

「あ、あの。信じてもらえないかもしれませんが、これは事故ですので」

「わ、わかりましたから。スカートも少しだけ整えて下さい。少し下がってますよ?」

はう。し、死にたい。

「大変失礼しました。あ、あの。決して怪しい者ではございません」

乱れた服装を急いで整える私。

「知ってます?怪しい人程、そう言う言い方をするんですよ?とは言え、僕も見られたくない所を見てしまったようですので、すみませんでした」

「いえいえ。所で、この家の息子さんですか?」

「はい。ヒロと申しますが、どちら様?」

ふぅー。見られたのがヒロくんでよかった。

じゃない。これで接触は出来た。後は失敗しないように"作戦開始"です。


「あの、私。ヒロさんの友達の"彼女"なんです」



な、なんですとぉぉぉ!?(byしよ&みあ)

まだ話しの途中やって、ここで中断したら意味不明やで?

で、何でそんなウソをついたの?(byしよ)

ほな続きを話すでー



「僕の友達?イマイチわからないんで名前言ってもらえませんか?」

実は私もわからないんです。だって、会った事ないですもの。

でも名前だったら昨夜、みあちゃんが食事の時に話してたので知っている。

「ハクちゃんと言えば理解していただけます?背の高い人なんですけど」

「ハクちゃん?ああ。"ハクト"だね?」

ハクトさん?これが彼の本当の名前なんだ。

「そ、そうです。ハクトさん。実はヒロさんにお願いがありまして、ここに来ました」

「お願いですか?それは何です?」


私は彼に、ハクトさんに会う為に電車に乗ったのはいいけれど、スマホを家に置き忘れてしまい、連絡が取れないので、途中。ヒロさんの家に訪ねて、連絡を取りたかったと伝えました。

当然、何で僕の家の住所を知ってると聞かれましたので、彼がよくドライブでこの道を通るんですよねー。なんて誤摩化してその場をしのぎました。


「そうでしたか。じゃ~早速アイツに連絡してみます」

「お願いします。あの。直接彼に話したいので、後で代わってもらっても」「もちろん。そのつもりです」


ヒロくんはスマホを耳に当て、ハクトさんに電話を繋いでくれています。

その横顔を、隣りで見上げて見る私。


ごめんねしよちゃん。今だけは彼の側にいさせてね。


「こんな朝っぱらから、ヤローのモーニングコールはお断りだぞ」

「ま~そう言わずに。用事は僕じゃないんだ」

「お前じゃなきゃマッハか?」

「とぼけなくていいんだよ。ほんと恋愛に関しては僕らに隠してこそこそしてるんだな」

「ん?一体何を言っているんだ貴様」

「はいはい。じゃ、そろそろ代わるから、怒らないで優しく振る舞ってやれよ」

「おい。だからなんだってんだ?」


途中。ハクトさんが、何か喋っていたようですが、無視し、彼は私にスマホを手渡してくれました。

私は彼に軽く頭を下げて、彼に声が届かない場所まで離れて口を開きます。

さぁ。ここが本当の勝負よ。


「あ、あの。理由は後でちゃんと話します。お礼もします。だからお話を聞いていただけますか?」

「・・・・・・え?女の?・・・・・・君は?」

「私はヒロくんの友達です。でも彼には貴方の彼女と言いました」

「何でそんな嘘を?俺と君はまったく接点がないと思うのだけども?」

「正論です。ですが、今回はあるんです。どうしても聞いておきたい事があります」

「・・・・・・女の子の頼みは断り辛いわな。ええよ。どうすればいい?」

「ハクトさん・・・・・・ありがとうございます」

「おっと、名前も知ってるんだな。で、君の名前は?」

「あ、あの。ごめんなさい。後でちゃんと教えます。だから」

「了解っと。話しが途中だったな。俺はどうすればいいんだ?」


私はハクトさんと会話を終え、彼にお礼を言ってスマホを返しました。

「しかし、アイツにこんな可愛い彼女さんがいたなんて」

「いえいえ。私って、何もかも小さいじゃないですか。色も黒いし」

「でも魅力的ですけどね。あ、口説いてるってわけじゃないですからね?な~んか。あなたを見ていたら、知り合いを思い出してしまって」

私は一瞬ドキッとしました。

「お知り合いですか?」

「ええ。僕にとっては恩人の用な存在なんです」

「彼が来るまで少し時間はありますし、よろしければ散歩しながら聞かせていただけませんか?」

「ええ。あれは僕が高校でバイトを始めた頃でした・・・・・」


彼は私との思い出話しを語り出します。

私は自分の記憶をなぞるようにして彼の話しに相槌をうって、思い出に浸りました。

結果的に思い出話をするような形にはなってしまったけれど、私の存在は彼にはバレていません。

正直、私だよ。って伝えたい気持ちはありましたけど。


東の方から1台の車が走って来るのが見えました。

四角いコンパクトカーから降りて来た人物。

この瞬間に、私とハクトさんは初の顔合わせをします。

「よ。ハクちゃん。彼女がお待ちかねだぞ」

事情を知らず真顔で彼に話しかける姿を見て、思わず微笑んでしまいました。

「お、おう。すまんかったな。彼女が迷惑をかけた」

若干、片言で話す彼。彼もまた、笑いをこらえているように見えたのです。

これはあまり時間をかけるとバレてしまうと思った私は

「さぁハクさん。行きましょう」

彼の腕にしがみつき、上目遣いで彼を見る私。

「そ、そうだな。じゃ、またな」

ヒロくんから逃げるように車に乗り込み、ハクトさんは車を走らせました。


・・・

・・


「とりあえず話はここまでや」

「ちょ。結局ヒロに会いに行った目的は、ノッポさんことハクさん改め、ハクトさんに会う為だったわけ?」

「うーん、実はそうやけど、ちょっとだけ違うんよ。多分しよちゃんならわかって来てるかもしれへんけどな。さっきから考え事しよるみたいやし」

「ほへ?あ。これは推測だけど、しのちゃんは2人からなんらかの情報を」「はいストップ」

私が最後まで言ようとしていた言葉を、しのちゃんは途中で止めさせ、私とアペリラを交互に見て口を開いたの。

「あんなーしよちゃん。今日が最終日なんは知ってる。正直あてはあるん?」

「いえ。今の所ないわ」

「んで、しよちゃんの目的はヒロくんに忘れ物を届ける。正式には想いを告げる事で間違いないよね?」

私は何も言わず静かにうなずいた。


「ならここで選択や。あてもない時間旅行に飛び込むか、今から彼に"直接会う"か。しよちゃんの好きな方を選んでええで」


「直接ですって!?それじゃーもうゲームではないわよね?」

「せやな。でもしよちゃんの胸に秘めてる気持ちって、本当にゲームの中で納まる大きさなんやろか?昨日の件を見てみあちゃんもわかったと思わん?」

「それは・・・・・・」

右手の包帯に視線を落とし黙ってしまうみあ。

「ま、単純に考えると後者を選ぶと思うけど、とりあえずしよちゃんの意見を聞かせてくれへん?」


しのちゃんの選択は、このゲームを始める前からあったの。

わざわざ過去に行ってまで想いを伝えなくても、実際に会って言ってしまえばいい。

誰しも当たり前の答え。でもあえてしなかったのは。


「確かに直接会えばいいだけよね。でもね。私とみあは彼女のゲームに乗ったわ。途中で逃げ出すって事はアペリラに失礼だしね。それに、私はあと少しだけ"過去のヒロを見ていたい"」


アペリラの頭を軽く撫でて答える私。

その答えを聞いてしのちゃんは、呆れ顔を見せると思ってたのだけど。


「なら決まりやな。あてもない時間旅行をうちが変えてみせるから」

「しのちゃん。あなた、もしかして最初からそのつもりだったの?」

「さーなんの事やろか。なーアペちゃん、質問してええ?」

「ふん。まぁに?(訳:ウン。なーに?)」

大好きな桜餅を口にほうばり答えるアペリラ。

「1度行った時間と場所は行かれへんかったよね?」

「ふぅ。美味しかった。あ、そうだよ。2度はムリ」

「じゃー同じ場所で、例えば1時間くらい時をずらして飛ぶのは可能やんな?」

「ウン。ただ、おねーちゃんたちが訪れた時間に到達すると、その時点で行き止まりになるんだ」

「ん?いまいちよくわからないわね」

「要するに。私たちが訪れた過去の更に1時間前に飛んで、1時間過ぎると、そこは存在しない時間になるからって事よね?」

「正解。だから飛ぶなら注意してね」

「よっしゃ。これで場所と時間は決まったで。さっさと行って終わらしてこよ。その後は楽しい"打ち上げや"」

「「打ち上げ?」」

私とみあが首をかしげてしのちゃんを見る。するとしのちゃんは笑顔でこう答えたの。

「せっかくみんなと会えたのに。このまま帰るのは勿体ないです」

その言葉で私とみあは顔を合わせ微笑む。

「確かに勿体ないですわね」「なら終わったら打ち上げにしますですわよ」

「あー。バカにすんなや。とくにみあちゃんの語尾に腹立つわ」

3人の笑い声が公園に響く。

それを楽しそうに見ているサクラ色の少女。片手に桜餅を持ち、口に運ぼうとした時、何かを思い出し、しのちゃんに問う。

「おねーちゃん。おにーちゃんの所に行って"(その)の情報"を聞いて来たの?」

「正式にはハクトさんからや。もちろん"過去の情報"もちょっとだけは聞いたで」


「そっか。ならもうakua(ゲーム)は始まってた事にするよ?」


突然、意味不明な事を口走るアペリラ。

「ちょ、まだ過去に飛んでないじゃない、どうしてよ?」

みあが当然のように抗議する。しかし、それを止めるしのちゃん。

「しの、何で?」「ええから。うちのわがままや」

「ええで。アペちゃんがどういう意図でそう言ったとかは不問にするから。こっちも好きなようにさせてもらうで?」


なんなの?なぜか会話に違和感を感じるのだけど。


「ウン。で、どれだけ時間を使ったの?」

「3時間って所やな。ウソやと思うなら後で調べてもらってもええで?遠慮せんと持って行き」


アペリラと会話を終え、私の所に歩み寄る彼女。

「ごめんなしよちゃん、時間をムダにしちゃった。でも、あと3時間あれば。必ず」

彼女の真剣な眼差しを受け止め、わかったとうなずく私。

「ね?しよ。私は今回・・・・・・」

弱々しい言葉で私に声をかけるみあ。

私は彼女の所まで歩み寄り、そっと両手で彼女の右手を包んだの。

「大丈夫。私の為に、こんなになるまで必死になってくれて本当にありがとう。そして・・・・・・ごめんなさい。”姉さん”」

「しよ・・・・・・ほ、ほら。早く行って今度こそアイツに全てを伝えるのよ?それに、私は姉さんじゃないわ。私の妹なら、もっとエッチな事を堂々と出来るはずよ」

「ほんま、あんたの頭ってそんな事ばっかなんか?まだまだ素直さが足りひんな」

「う、うっさいわね。いいからもう行きなさいよ」

「あはは。じゃ~行こうかしのちゃん。場所と時間を教えて」

「わかった。今から行く所は・・・・・・」



私の右手と彼女の左手が交わる。

互いの手の甲から眩しく光り出す光。

2人は視線を合わせて優しく微笑み、そして・・・・・・力強く叫ぶ。


「「mana ekahi(マナ エカヒ)」」

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