5.異世界召喚
今回から異世界です。
「教科書72ページを開けてください。今日からは数列に入っていきます。」
今は3時間目の数学の授業。
寝ないように聞いているけど、この先生の授業は少し分かりにくい。もしかしたら俺の理解力の問題かもしれないが…。
「では授業は終わりにしますが、チャイムが鳴るまでは出ないでください。」
チャイムが鳴る2分ほど前に今日の授業の範囲が終わり、先生が教室から出ようとする…が扉が開かない。
そして教室全体が白く光り、俺たちはその光に飲み込まれ、そのまま意識を失った。
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「…山…様、…影山透様」
ん…?誰だ?
ゆっくりを目を開けると目の前にはボウリングの玉くらいの大きさの光り輝く球体があり、辺りを見渡してみると白い空間だった。
「やっと目が覚めましたか。初めまして影山透様。」
「え、あぁ初めまして。所でここは?」
自分が吸血鬼だからか、こんな状況にはあっても特に驚きはない。
「ここは、どこでもありません。敢えて名前をつけるならば白い空間です。」
それ、見たまんま。
「そんなことよりも貴方に伝えておかないといけないことがあります、よく聞いておいてください。」
「分かった。」
「先ほどあなたが所属していたクラスがあなた達が存在していた世界とは異なる世界に勇者召喚されました。その世界はいわゆるファンタジーな世界あなたに分かりやすく言えば、剣と魔法の世界と言えば分かりますかね。本来であれば貴方にも他の方たちと同じようにユニークスキルを与えてそのまま召喚されてもらう予定だったのですが少し不都合が出てきまして、あなたにはここによってもらうことになりました。」
勇者召喚…やっぱりあるんだな。
「その不都合はあなたの魂の力が大きすぎることによる召喚の失敗です。失敗とはいえどあなたはあちらの世界に召喚されるのですが、本来の1/10の力でしか召喚できないのです。」
1/10⁉︎…どんくらいかわからん、それに話がややこしい。
「そしてここからが本題なのですが、あなたには召喚、融合この2つのスキルを与えます。この2つのスキルを使い本来の体を召喚し融合を行ってください。初めは少し違和感があるかもしれませんが元々あなたの体なのですぐに馴染むはずです。この2つスキルは本来の召喚、融合と大きく違っているので、使うと消えてしまうということを覚えておいてください。本当はこちらでその処理をしたかったのですが、干渉できる限界を越えていてできなかったのです、申し訳ありません。」
「いや、気にしないでくれ、一緒に召喚して貰えるだけでもありがたい。」
いやほんとに、前も言ったけど俺今弘樹たちと離れたら死ぬから。それにしても本来の体か…やっぱり体は生きたままだったんだな。
「そう言っていただけるとありがたいです。最後に何か聞いておきたいことはありますか?」
「いや、特にない。聞いとかないとまずい事とかないよな?」
「はい、恐らく召喚先でほとんどの事は説明されるでしょう。」
「なら大丈夫だ。」
「ではここでお別れです。」
その言葉と同時に先程と同じように光に飲み込まれ、意識を失っていく…あ、神なのか聞くの忘れてた。
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次に目が覚める、辺りを見渡してみると王宮の中のような場所にいることが分かった。周りにはクラスのみんなもいる、ほとんどの人は意識が戻っているようで困惑した様子だ。中にはパニックになって騒いでいるやつもいる。
クラスのみんなを取り囲むようにして何十人ものローブを着た魔法士みたいな人が倒れている。恐らく彼らが俺らを召喚したのだろう。
彼らの奥には豪華な装飾が施された大きな玉座があり、そこに立派な髭を持つ王様であろう人が座っている。そばには大臣の様な人達と、王女であろう人がいる。王女は金色の髪に青い瞳を持ち、さらにメリハリのついた素晴らしいスタイルで絶世の美女と言っても過言ではないほどだろう。クラスの騒いでいた奴も彼女に見とれて今はアホ面をかましている程だ。
王女達の前に騎士達が守る様にして立っていて、剣は抜いていないが何かあればすぐに斬りかかってきそうだ。
俺たちが全員起きたのを確認すると王女らしき人が俺たちの前まで歩いてきて話し始めた。
「異世界から召喚されし勇者の皆様、ようこそローリアへ。私はリティス・エンドリア…この国、エンドリア王国の王女です。お願いします、私の話を聞いてください。」
そこからの王女の話をまとめると。
この世界には4つの大陸があり、大きく分けると、人間族、亜人族、魔人族の3つの種族がいる。
一番大きな大陸であるフェラルド。その次に大きいキエラド。後の2つはほぼ同じ大きさで、ドラルドとミラエド。
そして2番目に大きい大陸キエラドは通称魔大陸とも呼ばれていて魔人族が住んでいる。
この世界では何百年かに一度は魔人族が力をつけ魔王が誕生している。そしてそのたびに勇者召喚を行い魔王討伐をしている。
そしてこれまでと同じ様に10年ほど前に魔王が誕生した…のだが今回誕生した魔王はこれまでとは強さが段違いに強く大魔王と名が付けられた。
さらに大魔王によってこの世界の大陸全てにダンジョンが計7個作られた。ダンジョンは大魔王の体の部位、頭、心臓、胴、腕、足をコアとして作られている。そしてダンジョンのダンジョンマスターは魔人族がしているのだが、ダンジョンができてたったの8年でそのうちの3つのダンジョンマスターが魔王化してしまった。そして全てのダンジョンマスターが魔王化すれば、大魔王が復活し7人の魔王と他の魔人族を率いてこの世界を滅ぼすだろうと予想されている。
そうなるのを防ぐために6年前から大人数の勇者召喚を行う準備をして、大陸で一番大きく栄えているエンドリア王国がこの大陸を代表して今日、勇者召喚を行った。そして俺たちが勇者召喚された。
とのことだった。
これからは更新ペースが週一になると思います。これからもよろしくお願いします。