16.スピード攻略
おかしいところがあれば指摘お願いします。
部屋を埋め尽くすほどのゴブリン、その下から何百何千という数の槍が次々と飛び出しゴブリン達を蹂躙していく。
あるものは頭を、またあるものは全身を貫かれ死んでいき、そこはまさに地獄。
後に残るのは大量のドロップ品、そして2人の人間だった。
魔法使うとゴブリン程度なら何匹いても瞬殺できるという事実が判明、というより前から出来るとは思っていたができる
まあそんな話は置いておくとしよう、今現在俺とイリアがいるのは50階のボス部屋だ。
40階を踏破した日の次の日は休みの日として身の回りのものを買ったりイリアとダラダラと過ごしたりしていた。
1日休みをはさんだ今日の朝大体9時ごろからダンジョン攻略を始めて、今が午後2時ほど。
昼をはさみボスに挑んだわけだが50階のボスが大量のゴブリンだった、いつものように刀で斬りまくっても良かったのだがたまには魔法だけで殺すのもいいかもしれないと思って魔法で戦った。
やはり魔法は広範囲の殲滅に向いているようで大量のゴブリンといえどあっさりと終わってしまう、爽快感的なものがないとは言わないがやはり刀で戦うあのスリルや躍動感が足りない事に不満を覚えてしまうのだ。
ボスのドロップ品はゴブリンの牙ばかりでたまに刃こぼれした短剣などがあったがどちらにしてもごみに等しいものばかりだった。
ドロップ品は特に価値もないのにかさばるのが嫌なので拾わずに部屋に放置しておく。
次のボスの60階へ向けて普通の冒険者のおそらく倍ほどのスピードで先を目指していく。
50階のボスを倒してからだいたい6時間ほどで60階にたどり着いた、おそらく俺とイリアでなければこんなに早く攻略はできていないだろう。
「ボス戦前に腹ごしらえしとこーか。」
「…肉多め。」
「りょーかい。」
リュックから大量にとって氷漬けにされているオーク肉を取り出し、魔法で瞬間解凍をしてそこからじっくりと焼く。焼き加減はイリアがレア、俺がミディアムレアだ。イリアは俺と会う前の調理されていない生肉の影響からかあまり火が通っていないものを好む。
これまで通りボス部屋の大きい扉を開いて中に入る。
どうやら60階のボスは1匹だけのようだ、それも少し普通の個体よりも大きいだけのコボルド、亜種だろうか。ただこの世界はレベルという概念があり見た目や大きさだけでは強さが測れないから舐めてかかると危ないかもしれない。
朧紅月を右手に持ちコボルドに向けて縮地で近づく、コボルドが間合いに入った所で首を落とすつもりで刀を振る。
コボルドは持っていた剣でそれを防いだ…ように見えた、俺の刀はほとんど抵抗もなく振りきられコボルドは持っていた剣ごと首を斬られていた。
…うん。朧紅月さんまじぱねぇ。
いや、なんか凄い強い雰囲気出してたから警戒したのにこの呆気なさ、少し恥ずかしい。
強そうだ…とか口に出してなくて良かった、もしイリアに聞かれていたら恥ずかしくて顔を見れない。
コボルドのドロップ品は刃渡70センチほどの両刃の剣だった。丁度いい、朧紅月ではあっさりと終わりすぎてしまうからこれを使わせてもらおう。
「イリア、そろそろいい時間だし宿に戻ろうか。」
「うん…そろそろお腹も空いた。」
「夜は宿で食べるか。」
「あら、おかえりなさい。いつものでいいわね?」
「はい、よろしくお願いします。」
宿に戻ってきての女将との会話、何時ものというのはご飯の量をだいぶ多めで、という意味でのいつものだ。
一旦部屋に戻って荷物を置いてから下に降りる。
宿で飯を大量に食うとやはりそれなりに金はかかるが美味しいしいつもあの肉というのも考えものだから仕方ないのだ。
それにダンジョンでのドロップ品をギルドに売っているので金はそれなりにあるからそこまで深刻な問題でもない。
それにイリアが幸せそうに飯を食べてる姿を見れるだけで金の問題なんて吹っ飛ぶというものだろう。
「風呂屋に行くぞ、イリア準備してくれ。」
「ん…出来た。」
この世界は文明レベルが中世ヨーロッパという王道なので宿に風呂があるなんてことはない、つまり風呂屋、銭湯、温泉などそういったところに行かなければ身体を綺麗に洗い湯に浸かることはできないのだ。
「イリア、上がったらそこの椅子で待っといてくれ。」
「ん…まっとく。」
イリアの別れて風呂に向かう、この風呂屋は大きい浴槽が男女一つずつある、現代日本のようにたくさんあるわけではないのだ。
それでもゆっくりと湯に浸かることができるので十分だろう、それに浴槽は一つしかないが洗い場が割と充実しているのでポイントは高い。
とりあえず今は風呂を満喫しよう。
風呂から上がりイリアと待ち合わせの場所に行くとイリアの隣に謎の男が座りイリアに何か話しかけている。
なんだあいつは、もしイリアに変なことしてたら手足切り落としてダンジョンに放置してやろう…冗談だ。
「イリア、そろそろ帰るぞ。」
「ん…分かった。」
「ふーん、イリアちゃんって言うんだ。この後俺とどっか行こうよ。」
横にいた男を無視してイリアを連れて帰ろうとしたが、鬱陶しい奴でイリアをどこかに誘っている。
ていうか今やっと名前を知ったのかよ、俺初めて会った時普通に名前教えてもらったぞ…多分肉あげたからだけど。
「すみませんが今から帰るの「君には聞いてないんだよ、俺はイリアちゃんに聞いている。で、どうかな?イリアちゃん。」
人が話してる時は遮るんじゃねーよ、このクソが…。
「…どこかって…どこ?」
え?行くの?行っちゃうのイリアさん?
「そうだねぇ、やっぱり酒でも飲みに酒場に行こうか?あ、酒場といってもおしゃれなところだよ。」
「そう…お酒…ならやめとく。トオル帰ろう。」
「おう、そうだ。帰るぞ、明日も早いしな。さっさと帰って寝よう。」
平然を装ってイリアにそう返す…いや、マジ焦るわ。もっとズバッと断って欲しかった、え?酒じゃなかったら行ってたの?みたいな。
「おい、ちょっと待てよ!」
男が何か言っているが完全スルーして宿に帰る、途中イリアの肩を掴もうとしていたがイリアをこちらに抱き寄せて回避させる。
抱き寄せて回避とか俺イケメン…。あの男はよくいるチンピラと違ってそれ以上絡んでくることはなかった。
少し残念だ、どうせなら絡まれたところをフルボッコにするというテンプレも経験してみたかった。
宿に帰って来るとそろそろ寝るのにいい時間なのでベッドに入る、もちろんイリアは隣だ。
そして最近イリアは俺の腕を枕にして寝ている、この前までとはまた違う寝方だ。
もちろん俺としてもイリアに腕を枕にされるのは幸せなんだ、イリア近くにいるしいい匂いするし…だが血が止まる、次の日腕死んでねーかと思うレベルで止まってる。
まぁ余裕でピンピンしてるけど、腕以外もビンビンだけど、とまあそんな話は置いといて寝よう、明日に響く。
朝起きてイリアを起こし顔を洗って服を着替えて下に降り、大量の朝ごはんを食べてダンジョンに向かう。これ最近の生活パターンである。
「今日の目標は一応80階までだから、そこまで頑張ろう。」
「ん…。」
「そういえばオーク以外にも美味しい肉持ってる奴がでてきてほしいな。」
このダンジョン階層ごとに決まった魔物しか出なかったり、それまで出てきたやつが全部出てくる階層など色々あるから今でもオークは定期的に確保できている。
だがオーク以外にも食べれる肉は欲しい、やはりバリエーションは豊富な方がいい。
とりあえず魔法陣で61階に転移して70階を目指す、地図がないのでひたすら階段を探すのだが結構時間がかかる、何せ迷路だから。
70階に到着
「トオル…そろそろお肉の時間。」
時間はイリアがああ言っているのでちょうど昼ぐらいだろう、イリアの腹時計は正確だ。
「そうだな、そろそろ食べるか。」
いつものようにオーク肉を解凍して焼いていく、そして仕上げに調味料…いつもならここで塩胡椒なのだが今回はいつもと違うあるスパイスを使う。
「ほい完成、食べよう。」
「…いつもと違う。」
「お、食べる前に気がつくか。そう、今回はカレー粉をまぶしてみた。多分美味しいはずだから食べてみろ。」
そうカレー粉だ、塩胡椒で十分美味しかったがいつもいつも同じものもあれだからな。
「…美味しい。」
「そうだろう、美味しいだ「でも…私は前の方が好き。」ろう。うん、人の好みは色々だからな。」
どうやらイリアは塩胡椒の方が好きなようだ、こっちはこっちで美味しいと思うがな、と言いつつ俺も塩胡椒派だ。
全く何のためにカレー粉を用意したんだか…。
飯を食べ終わり少し休憩した所でボス部屋に挑む、いつものように扉を開けて中に入る。
中に入ってボスの姿を確認して、俺は自分の目を疑った。
ボスはハイゴブリンとでかいネズミが20匹ほど、それでもレベルが高いため侮れる相手ではない。
ハイゴブリンとでかいネズミがいるだけなら特に驚く要素はない、なぜ驚いたかといえば乗っているのだ。
ハイゴブリンがでかいネズミの上に乗っている、馬に乗るようにネズミの上にだ。この組み合わせは普通想像しないだろう。
いつまでも驚いていてはいけないので昨日のドロップ品の剣を抜いてボスに対峙する。
「イリアも半分頼んだ。」
「任せて…。」
イリアと分配を決めてボスに向かっていく。上に乗っているハイゴブリンは槍を持っている、戦闘のハイゴブリンが近づいて来るといつも通り一気にスピードを上げて近づき、まずでかネズミを斬る。
その勢いのまま回転してゴブリンも斬り殺して次のハイゴブリンを目指す、今度は下から振り上げてでかネズミもろともぶった斬る。
その調子でどんどんボスを斬り殺していく、途中イリアの方を見てみればいつものように腕だけを獣化させて殴りえぐり殺していく。
刀で斬られるのもなかなかグロいがあちらはあちらでなかなかのものだ。
ちなみにダンジョンのモンスターは殺してから数秒は血が流れたり臓器が飛び出たりするがすぐにダンジョンに吸収されるためダンジョンは基本的に綺麗だ。
服に飛び散った血も徐々に吸収されるのでダンジョンでは服が汚れるのは自分の血や汗ぐらいだ。
昔実験で外から魔物を運び込んでダンジョンに放置した時吸収されたがドロップ品は落ちなかったようだ、人も同様に死んでいれば吸収されるが何も落とさない。
ドロップ品は槍とハイゴブリンの牙そして硬いネズミの尻尾やそしてレアな売却品などだった。レアな売却品はゴブリンやネズミには関係ないものだがドロップする。
次のボス80階に向けて走っていく、1日で20階も進んでいるわけだが、このペースだとすぐにダンジョンなど攻略できてしまうのではないかと思う。もしかしたら最上階が100階どころではないという可能性もあるが。
80階に到着したのは70階を過ぎてから10時間ほど経ってからだった、これまでが順調過ぎたようだと感じた。
80階まで次の階へ行く階段が見つからないのが多すぎたのだ。これまでは一つの階を突破するのにだいたい30分ほど、運が良かったのだろう階段はわりとすぐ見つかっていた、のだが今回は全然見つからなかった。
とりあえずこの階のボスを殺してさっさと帰りたい。
扉を開けてボスが何かも確認せず速攻でボスに向かって走る、走りながら剣を抜きボスの後ろに目にも留まらぬ速さで回り込みそのまま首を斬り落とす。
ドスッという首の落ちる音が聞こえてからボスの姿を確認する…つもりが出来なかった。首が落ちてから振り返ってみたらすでに吸収されているという。
「あー、今のボスどんな奴だった?」
「…大きいゴブリン?」
大きいゴブリンということはおそらくゴブリンキングかはたまたロックゴブリンみたいなゴブリン系の何かだろう。
つい疲れていて軽く本気を出してしまった、朧紅月では無かったのにあっさりと斬ることが出来ている。
俺の剣の腕が上がったのか、無意識に魔力を纏っていたのかは分からないが、あの剣でも80階のボスをこんなにあっさりと倒せてしまうということはダンジョンマスターも大したことないのではないかと思ってしまう。
今日は疲れたし帰って風呂入って…風呂屋閉まってるか。帰って濡れたタオルで拭いて寝るか。
最近文章の書き方がおかしい気がするので変なところがあれば指摘お願いします。
これからもよろしくお願いします。




