13.魔王のダンジョン
誤字や脱字、おかしいところがあれば指摘お願いします。
初めてダンジョンに潜った時からだいたい一週間半ほど経っている、そろそろ金は10万エルを越す頃だ。
階層が下に行けば行くほど素材は高く売れるのは当然で、俺たちなら下の方もまぁ余裕だった。ダンジョン踏破はしていない。
金はもうエンドリアに向かうには十分なほど貯まった、さらに言えば魔王のダンジョンはエンドリアに向かう途中に一つあるらしいので、10万エルでエンドリアまで行けなかったとしても、そのダンジョン近くの街まで行けたらいいだろう。
と、いうことでこの街はもう出発しようと思う。
俺がエンドリアから飛ばされてだいたい3週間だが、あいつらは今頃何をしているのだろうか。…俺のこと忘れてないよな。
「イリア、準備は大丈夫か?」
「…大丈夫。」
エンドリアに、もしくはその途中にあるダンジョンに向けての準備が出来たことを確認する。
準備と言っても、追加で服を数枚と大きいリュック2つ、テント、調理道具、コンパスを買ったぐらい。
コンパスはうまく使える気がしないが、一応買っておいた。
片方のリュックには、先ほども言ったように服や調味料などが入っている。
もう一方の方は食料調達場であるダンジョン一層目の猪肉だけがパンパンになるまで入っている、もちろんイリアの食事のためだ。
金はあと8万エルほど残っている、テントを少し高めのものにしたのは後悔してない。
魔王のダンジョン付近の街まで、馬車で二週間ほどと言われたが、そんなにかからないだろう。
俺たちは時速200キロほどで進んでいる、どうやってかといえば、イリアは狼になり走り、俺は翼で空を飛んでいる。
おそらくこの調子で行けば一週間かからないくらいだろうと予想している。
旅を初めて4日目たった、今のところは順調に進んでいる、道中たまにひととすれ違うが相手は驚くだけでこちらには気づいていない人ばかりだ。
日が暮れて空も暗くなってきたのでテントをはっているところだ。
テントの大きさは俺とイリアが並んで寝て少し余裕があるくらいの大きさで、わりと大きめといってもいい大きさだ。
俺がテントをはっている間、イリアは猪肉をあぶっている、これは旅の間の役割分担だ。
「トオル…肉焼けた。」
「すぐ行く。」
テントをはりおわったので、イリアと一緒に猪肉を食べる、基本的にイリアとの会話は少ない、食事中はもちろんそれ以外の時間も。
ただ、俺はそういった時間も好きなので気にはしない、夜に一緒に寝れるし。
これまであまり話に出したことはないが、イリアといる間はずっと俺を軽い吸血衝動が襲っている。
もちろん今までイリアの血を吸ったことはない、俺の鋼の精神で押さえ込んでいる。
前世ではなかったこの吸血衝動は、おそらく身体の融合の所為だろうと思っている。
ぶっちゃけものすごいイリアの首筋に噛み付いて血を吸いまくりたいのだが、イリアに嫌われたくないので止めている。
いつか吸血によるパワーアップ、もしくはイリアとより親密な関係になれた時にお願いしようと思っている。
とりあえず今日も明日のためにぐっすりと寝ようと思う、イリアと共に。
俺が予想した通り、大体一週間程度で目的の街には到着した、今回は前回と違い、冒険者カードを見せるだけですんなりと街に入れた。
街の名前はリーウォン、街の広さは大体琵琶湖くらいと中々の大きさ、見た感じだけど。
街に入るとまず最初に冒険者ギルドにむかう、ギルドは街の中心より少し離れたところにあった。
ギルドに行く理由としては、ダンジョンの場所を知りたいのと、この街で泊まる宿の場所を聞きたいからだ。
旅の路銀として準備した金は結局準備に使った分以外は使っていない、よって宿は少し高めのところにしようかと考えている。
ギルドに入ると中にいる人たちはこちらを見て、すぐに興味をなくして見るのをやめる。
イリアがローブを着ているおかげで目立つことがないので、特に注目されることはないようだ。
受付に話を聞くとダンジョンはここから馬車で一時間ほどの所にあるようだ。
魔王のダンジョンに潜る人はいないと思っていたがそうではないようで、ここのダンジョンには多くの冒険者が挑戦しているらしい。
なぜそんなに冒険者が?と思っていたがどうやら中で入手できる素材が豪華だそうで、危険は危険だが、見返りを求めて潜る人が後を絶たないそうだ。
宿の場所はギルドから少しいったところにある『大地ので恵み』というか宿を紹介された。
ギルドをでてとりあえず宿に向かう、大地の恵みは結構大きな宿だった。
中に入ると受付のおばちゃんに値段を言われる、一泊2人一部屋で800エルと確かに前回よりは高めだった。
部屋の大きさは前回よりは少し大きく、内装も前回よりもオシャレで綺麗だった。
300エル分の価値は確かにあると思う。
「イリア、今日は休んで明日からダンジョンに挑もう、今回は資金集めじゃなくて攻略するつもりだ。」
「分かった…また肉落とすかな?」
「落とすんじゃないか?たぶん、まぁ明日のお楽しみだ。」
俺とイリアは濡れたタオルで身体を拭き、ベッドに入り寝る。
ベッドは2つあるが俺とイリアは一緒のベッドで寝る、これは初めて宿で寝た時からずっとだ。
正直これのおかげで吸血衝動が強くなっているといっても過言ではない。
夜が明けて俺たちは魔王のダンジョンに向かった、持ち物は大きいリュック2つとその他諸々。
ダンジョンは走って行けば10分ほどで着く程度だった、ダンジョンの外見は前回とさほど変わりはないが、オーラが強い気がする。
入り口には前回同様見張りが立っていて、地図をくれた、今の所は34階層まで攻略されているらしい。
中に入るとこれまた前回と同じような見た目だった。
今回の目的は一応攻略なので、探検はせずまっすぐ階段の場所まで向かっていく。
ちなみに地図が貰えたのは29層までだ、それとこの地図は無料でもらえたように見えるが、出る時に返さなくてはならない、さらに紛失してしまえば罰金だ。
階段に向かっていると、前方から魔物がやってきた、ゴブリン二体だけだ。
俺とイリアで瞬殺して階段に向かっていき、階段に着けば次の階層へ、そしてまた階段に向かい次の階層へとどんどん降りていくこと9回。
10階層にやってきた、ここまではゴブリン種とコウモリ、そしてワーム系としか出会っていない。
10階層はボス部屋のようで、階段を降りると少し先に大きな扉が見える、あれを開ければボスと対面できるのだろう。
ネタバレされたような感じがするが、地図にボスはハイゴブリン30体と書いてある。
ボス部屋のイメージはデカイ強い魔物1匹というイメージなんだが、どうやら違うようだ。
ちなみに前の街のダンジョンはそもそもボス部屋など無く、ただただ下へと向かうだけだった。
ボス部屋の扉を開いて中に入る、部屋の大きさは高校の体育館程度の大きさのようだ。
部屋の中心あたりにハイゴブリンが15匹、そしてその奥にさらに15匹いるのが見える、ハイゴブリンなだけあって防具と鉄製の剣を装備しているようだ。
「イリアは中心にいる奴らを倒してくれ、俺は奥の奴らをやる。」
「うん…任せて。」
そう言って俺は部屋の真ん中のにいるハイゴブリンの頭上を飛びこえて奥にいる奴らの少し前に着地する。
ハイゴブリン達に向かってゆっくり歩きながら盗賊の剣を抜き、奴らが動き出したと同時に俺も走り出す。
走りながら剣に紅黒の魔力を纏わせそのままハイゴブリン向けて振り抜く、するとそれが紅黒い魔力刃となり飛んでいき、ゴブリン達を五体ほど切断する。
仲間がやられた事に驚いている隙にゴブリンの目の前まで移動して、その勢いのまま回転しながら3匹を斬る。
残りの奴らが斬りかかってきたのを後ろにジャンプしてかわし、奴らが剣を振り下ろした姿勢から立ち直ろうとするのを待たずに紅黒魔法で下から貫いた。
倒した奴らを見てみればすでに死体は消え去り、ドロップした防具や素材が落ちている。
イリアの方を見てみればちょうど最後の1匹の頭部を獣化した腕でえぐり潰しているところだった。
「おつかれ、イリア、高く売れそうなものだけ回収して下に行こうか。」
「トオル…お腹すいた。」
「あ〜、だよな。次からの階層に食べれるやつがいたらそいつを食おう。いなかったら地上に戻って飯を買うってのでいいか?」
「…それでいい。」
できればここまで来る間に食べれる魔物を昼食用として狩っておきたかったんだが、ゴブリンとコウモリはまず食べれないのだ。
また、ワームは食べられるがまるでゴムを食っているかのようなものらしいので、どうせならもっと美味しい魔物を食べようと思って食べれる魔物と遭遇するのを待っていたんだが、ここまではゴブリン、コウモリ、ワームとしか出会わなかったのだ。
それにより朝食以降何も食べれずお腹が空いているイリアは不満顔だ。
次の階層からはまた猪のような食べれる魔物が出ることを強く望む。
文字数が少なくて申し訳ありません。
余裕があれば次の更新までに定期更新のものとは別に弘樹達の視点からのものを入れたいと思っています。