12.ダンジョンは食料調達場
所持金や、ステータスなどは適当な部分があるので、あまり気にしないでください。
朝日と小鳥の鳴き声で目がさめる、隣には服が軽くはだけたイリア、朝チュンだ。別にヤッたとはいってない。
冗談は置いておいて、今日は服を買おうと思っている、今イリアが着ている服は俺が王宮で着ていたもので、俺は山賊から剥ぎ取ったもの。汚れていて清潔感にかけるというのもあるし、イリアにはもっといい服があるからな。
「イリア、朝だぞ。」
「…気の…せい。」
イリアは起きるのが苦手なようで、朝はなかなか起きてくれ無い。
けど、この魔法の言葉があれば起きれ無い子でも一発…
「イリア、起きないとご飯抜きだぞ。」
「トオル…それは駄目。」
そう、これが魔法の言葉、みんなも使ってみよう。
イリアの髪の毛を手櫛で軽く整えて、宿の一階におりる。
「あら、おはよう。朝食はすぐに持って行くから、座って待っておいて。」
俺たちが座って少しすると宿のおばちゃんが朝食を運んできてくれた。朝食は何かの魚とスープにサラダとシンプルだが、実に美味しそうだ。
「いただきます。」
「…いただきます。」
見た目通り味は素晴らしかった、ただ気づけば俺の魚が半分消えていたことがじつに悲しい。
朝食を食べ終わり街を歩きながら服屋に向かう、この街の店、武器屋、防具屋、道具屋など含め、ある程度はギルドで教えてもらった。
宿を出て少し歩くと服屋についた、中には多くの服があり、俺のセンスではイリアに似合う服を選べるか不安になってきた。
「いらっしゃい、あら可愛い娘だねぇ。可愛いのに服がだめだよ、ここはいろいろ置いてるからゆっくり見ていきな。」
店長中年の女性一人のようだ、小説で良くある巨漢のお姉さんじゃなくて心底安心している。
取り敢えず俺のは適当でいいから、パパッと決めてしまおう。
えーと、この黒の長袖に、下も黒のズボンでいいか。靴は山賊から奪ったブーツがあるから大丈夫。
「イリアはなんかいい服見つかった?」
イリアには先程から自分で好きなのを探してもらっていた。
「…これ…どう?」
イリアはそう言って俺に見せてきたそれは黒のローブである、なぜローブ?とは思うがあまり気にしないでおく。
「うん、似合ってる。」
「ありがとう…。」
「それは買うとして、イリアの服選んでくるから少し待ってて。」
そう言って俺は、イリアの服を選びにかかる。イリアには少しエロめだけど似合う服を着て欲しい、だが他の男にそのエロい服を見られるのはいただけないな。まぁ、ローブがあるし隠れてくれるか。
この辺りかな…
「イリア、こっちきて、服合わせるから。」
イリアがローブを抱えトコトコと歩いてくる、相当気に入ったようで大事そうにかかえている。可愛い。
イリアの身体に選んできた黒の膝下までのズボンと白いシャツを合わせる、本当はドレス的なのが良かったんだが高くて無理だった。動きやすいし今はこれでいいだろう。
「どう?イリア、これでいい?」
「…うん、それがいい。」
俺の服上下にイリアのズボンにシャツ、ローブ、追加で動きやすそうな靴と、俺のパジャマ用に薄いシャツ二枚とイリア用にシャツ二枚にズボン二枚、更に下着を数枚買った。それだけ買って合計金額1,500エル、これで所持金ほぼ0に等しくなった。
結局イリアに似合うかどうか、エロいかどうか関係なく所持金の問題でシンプルになってしまった。
着替えたイリアはシンプルな服だが実に良く似合っていた、ただ、ほぼローブで隠れているので、周囲の人もイリアに注目することは減るだろう。
俺たちは今この街の近くにあるダンジョンに向かっている、服が案外すぐ買えたのと、金を稼がないと行けないからと理由で。
この世界のダンジョンは基本的にギルドによって管理されているらしいが、管理といっても魔物が出てこないように警備しているといったもので、ダンジョンに挑戦するのは完全な自己責任になるらしい。
冒険者のランクが高くないといけないとかそういうのがなくて良かった。
街をから歩いでだいたい1時間くらいのところにダンジョンがあると聞いている、そろそろ見えてくる頃だろう。
ダンジョンはまだ解明されていない部分が多くて、わからないことも多いらしいが、ダンジョンというのは、だいたい2つのタイプに分けられるらしい。
一つ目が迷宮系ダンジョン、これは洞窟のようになった通路を進んで行き、迷路のようになったその階層のゴール、いわば次の階層への階段を見つけて進んでいくタイプ。
ここは宝箱が置いてあったり罠があったりするダンジョンで、魔物を倒すと本体は消えて代わりに素材や武器などのアイテムを落とす、まるでゲームのように。
迷宮系のダンジョンの洞窟はどのダンジョンも同じというわけではない、壁が土のようなところや、岩や、大理石のようなところなど様々だ。
二つ目が自然系ダンジョン、こちらは迷宮系とは違い、通路なんてものは存在せずその層ごとが一つの世界のようなものになっている。
階層の大きさはどこも一層目から琵琶湖くらいあり、降りていくたびに広くなっていくらしい、階層のどこかにコロシアムのようなものがあり、その中にいる階層主を倒せば下に行けるらしい。
階層主は一度倒せばある程度の期間はおらずスルーできるという。
自然系ダンジョンの魔物は殺しても消えたりはせず、普通と同じように遺体が残るらしい。
迷宮系ダンジョンはこれまでに何個か踏破されており、これまたゲームのようにダンジョンコアとダンジョンマスターがいるらしい。
自然系ダンジョンはそもそもこの世界にまだ数個しか発見されておらず、その数個のダンジョンも一つも踏破されていないらしい。
まぁ、今から俺たちがいくダンジョンは、迷宮系ダンジョン、広さはあまりないらしいから楽だろう。
ダンジョンの入り口にはギルドの係員がいて、見張りをしている、特に何をされるでもなく死ぬなよ、とだけ言われて中に入れた。
ダンジョンの中に入ると案外明るい、だがどこにも光源はないので、これがダンジョンの仕様なのだろう。
「イリア、これからダンジョン攻略を始めるんだが、その前に教えてもらいたいことがある。」
「…何?トオル。」
「ステータスを教えて欲しい、ダンジョンに潜るから一応知っておいた方がいいと思ってな。」
「…わかった。」
イリアの許可ももらい俺とイリアは自分たちのステータスを教えあった。
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名前 影山透 かげやまとおる
性別 男
年齢 17
種族 吸血鬼(真祖)
Lv. 58
HP 7400/7400
MP 7900/7900
攻撃力 8500
防御力 5900
敏捷性 9200
精神力 6100
器用 5700
-スキル-
【異世界言語】Lv.-【経験値UP】Lv.4【魔力感知】Lv.3【魔力操作】Lv.4【MP自動回復】Lv.4【縮地】Lv.3【空歩】Lv.2【気配感知】Lv.3【刀術】Lv.3【熱耐性】Lv.2【見切り】Lv.3【受け流し】Lv.3【調理】Lv.1
-種族固有スキル-
【吸血】【再生】【影霧】【影移動】
【眷属契約】【眷属召喚】
-ユニークスキル-
【朧紅月】
-属性-
紅黒・無
-称号-
【真祖】【異世界人】【勇者】
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名前 イリア・リカルデ
性別 女
年齢 ???
種族 銀狼(亜種)
Lv. 148
HP 12700/12700
MP 10200/10200
攻撃力 14300
防御力 14400
敏捷性 16400
精神力 9500
器用 8700
-スキル-
【縮地】Lv.7【空歩】Lv.7【気配感知】Lv.7【魔力感知】Lv.6【魔力操作】Lv.5【見切り】Lv.7【MP自動回復】Lv.4【HP自動回復】Lv.3
-種族固有スキル-
【獣化】【超感覚】【全属性耐性】【状態異常無効】【回復速度UP】
-属性-
風・水・無
-称号-
大食い
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…イリア強すぎ、強いとは思ってたけどこんなに強いとは。それと年齢だけ教えてくれないところが可愛い、例え何歳だとしても俺よりは年下だろうに。
いやほんとイリア強いな、俺これ勝てないだろ、負けないけど…。
つか、イリア魔法使ってるの見たことないけど、魔法使えるのかな。俺より魔法属性多いし。
「ありがとう、イリア。にしてもイリアこんなに強かったんだな。」
「…うん、伊達に長生きしてない。」
おーう、イリアさん長生きしてるのいっちゃ年齢隠す意味ないでしょ、長生きの基準分からないけど。
「まぁ、こんなに強いなら心配することもないな、行くか。」
一応ここのダンジョン一層目からレベル40越え推奨らしいけど、いけるだろ。
入り口で三層までの地図は貰えたからこの地図を見て進んでいる。
進み始めて少しすると早速前に角の生えた猪が三匹現れた、魔物の外見は森であった角付き猪と似ているが、漂ってくるオーラがあいつらとは違う。
「イリア、俺がやる。」
「…ん。」
通路の広さはだいたい7メートルほど、俺は少し前に出ると猪2匹が突進してきた。
俺は腰から山賊の剣を抜き、猪が突進してくるのを迎え撃つ、片方の猪が俺の体を貫こうと角を突き出してきたの避けそのまま首を落とす。
そしてイリアに向かっていった2匹目の前に縮地で移動し、正面から真っ二つに切り裂く。
最後に2匹がやられたのを見て突進してきた残り2匹に向けて紅黒・雷属性の矢を20本ほど飛ばし串刺しにしてエンド。
やっぱり一層は手応えがないな、朧紅月は今封印して、質の悪い剣を使っているがそれでも手応えがない。
「イリア、ドロップ品を見てみよう。」
イリアとドロップ品を探す、落ちていたのは猪肉の塊5つに角1本、まさか肉が落ちるとは思っていなかった。
「…トオル、肉。食べよう?」
「ダンジョンから出たらな。」
道具屋で買った袋に肉を詰め込み、その袋と角をイリアに預ける。
「イリア、帰ったら食べる肉だ。大切にな。」
「任せて…これはもう私の肉。」
俺の分もあるぞ。
その後も猪を倒しまくった、肉の量が持ちきれなくなってだいぶ無駄になってしまった。今日は一層で狩り続けてたんだが、この階層猪しかいなかった。
猪が落とす肉なんだが、全部同じかと思えば、部位が違ったりとバリエーションに富んでいて、もうこの階層というかダンジョンは食事に困った時の食糧調達場に決定しようと思う。
ダンジョンから出ると入り口に立っていた見張りが変わっていた、時間はちょうど昼飯を食うのにいい時間だ。
「トオル…肉食べよう。」
「そうだな、少し行ったところに川があるからそこで食べようか。」
そうして川辺でドロップした猪肉の塊を2つ取り出し調理をはじめる、両方もも肉のはずだ、たぶん。
イリアに薪を取ってきてもらいそれを組み立て、紅黒・火属性の魔法で火をつける。
ちなみに紅黒魔法で火をつけると少しの間は紅黒い炎だが、その後は普通と同じような色で燃える。
ナイフで食べやすい大きさに切ったものをこれまでと同じように木の枝の串に刺して焼いていく。
今回は街で塩と胡椒を入手しておいたので、いつもよりも美味しくできるはずだ。
いい感じに焼きあがったものに軽く塩と胡椒を振って完成。
「ほら、イリア完成だ。食べようか。いただきます。」
「いただきます…はむっ。」
肉を口に入れたイリアが一瞬止まったかと思えば、すごいスピードで肉を食べ始めた。
俺も肉を食べて分かる、これまでの猪とはレベルが違うその美味しさ、イリアに全部食べられると困るので、俺も急いで食べ進めた。
「フゥ〜、ごちそうさま。」
「ごちそうさまでした…トオル、美味しかった。また食べたい。」
「あぁ、少しの間ここで金稼ぐつもりだから、金貯まるまでは昼飯はこの肉だ。」
「ほんと?…うれしい。」
昼飯を食べた後は川で水分を補給して街に戻る、今更だがこの街の名前はエーエルだ。
ギルドに入ってこの間と同じおじさんのところへ行く、この時間帯はこのおじさんしか受付してないだよな。
「こんにちは、素材売りに来ました。」
「はい、ではそちらに売る素材を置いてください。」
おじさんに言われ俺とイリアで約30本の猪の角を置いていく、角は縦40cmで太さが直径5cm程だ。
「結構ありますね、少々お待ちください。」
そうして査定が終わり、30本で6000エルになった、結構いい感じだ。
この調子でガンガン貯めていこう。
読んでくれてありがとうございます。
矛盾点などがあれば是非指摘をお願いします。




