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真祖の生まれ変わり?  作者: 八咫烏
10/18

10.銀狼

メインヒロイン登場です。

ただ少し短めですみません、おかしなところがあればアドバイスなどお願いします。

突進してくるイノシシのような魔物をかわしながら刀で首を斬る、魔物は頭部を失ったことで勢いのままに倒れる。


ここの森はどうやらあの島よりは弱い魔物ばかりのようだ、ただ島とは違い虫だけではなく、ゴブリンやイノシシなどの普通の魔物がいる、地味に嬉しい。


今はエンドリアに向かうべく森の中を突き進んでいる所だ、村長が言っていた森の異常の原因とはまだ遭遇していない、できれば遭遇したくはないが…めんどくさいし。


戦闘も結構慣れてきたが、これまで一撃で魔物が倒れるので、もっと強い敵と戦う時にうまく戦えるか分からないな。






森を進んでいると少し広い所に出た。

まず足を踏み入れた瞬間に目に入ってきたものは魔物であったであろう物の残骸の山。広い場所ではあるがそのほとんどの場所が残骸によって埋められている。ざっと見た感じ1000体分くらいはあるのでは無いだろうか。


残骸に近寄ってみると獣が食べた後のような物が残っている、ただ食べれそうな部分の2割ほどしか食べられていない。どうしてこんな無駄な食べ方をしているかは知らないが、この森の異常は確実にこれをやった魔物が原因だな。


とりあえずここに居たら原因に会いそうだからな、村の人には悪いが先に進ませてもら『ガサッ』おう…。クルッとな


後ろを振り向いてみれば体長3メートルほどの白に近い銀の毛を纏った美しい狼がその身体の一部を血に染め、そして口には大きなイノシシを加えながら森から出てきた所だった。運が悪い。



銀狼は俺を確認するとイノシシを下に落とし、こっちをじっと見てくる。それに対する俺はいつ飛びかかってきても大丈夫なように身構える。



その状況が続くこと約1分銀狼が動いた、身体がだんだんと小さくなっていき毛も少なくなっていく、そして変化が終わればそこには全裸で白銀の髪を持ち、獣耳に尻尾を生やした美女がいた…意味がわからん。


「…料理…できる?」


「ある程度なら。」


「…お願い。」


そう言って彼女は先ほど落としたイノシシを指差す、どうやらイノシシを調理して欲しいそうだ。







どうしてこうなったのだろう…。


俺は今、銀狼の美女と食事を共にしている。先ほどのイノシシをパッと捌いて焼いただけの物を食べている、と言っても俺はまだ何も食べていないけど。


本当にどうしてこうなったのだろう、先ほどは勢いのまま、というよりはあの銀狼から美女への変化に動揺してしまい流されるまま料理してしまったが…。


モグモグ、ゴクン。モグモグ


彼女は先ほどからひたすらイノシシを食べるだけで、こちらへ何も関心を示さない。


「あの、俺は影山透っていうんだ、よろしく。」


取り敢えずやっぱ自己紹介だよな、コミュ症のせいでそれ以外思いつかなかったなんてことはない、ないったらない。


「イリア…(モグモグ)…リカルデ。」


彼女はこちらも見ずに食べながら名前を言う、イリア・リカルデって言うらしい。聞きたいことなんかは色々あるけど、食べ終わるのを待とう。





あの量のイノシシを食べ終わった彼女に幾つか質問をする。


「イリアどうして君はこの森に?」


この森の異常の原因だからといって、いきなりこの森から出て行けと言ったら怒るだろうから、話の流れでさりげなく出て行くように誘導しよう。


「…前にいたとこ…食べ物消えたから。」


う〜ん、実にシンプル、そして食べるためだから出て行くようにも言いづらい、詰んだな。 村のみんな…すまない。


「あー、あー、あれだな、も、もう少し食べ方を工夫すれば、前の森でもなんとかなるんじゃないか?」


いや、諦めてないから、頑張るから。この娘はうまく食べれないようで、魔物の肉が多く無駄になっているからな。そこを改善すればなんとかなる、はずだ。


「料理…できない。」


デスヨネー、俺に調理頼んだくらいだし。


「だ、大丈夫。俺が教えるから、うん、頑張ろう。」


すこし、いやかなりめんどくさいのだが彼女には食べ方と調理を教えてあげようではないか。決して可愛い女の子と一緒に居たいとかそういうんじゃないぞ。


「…わかった…頑張る。」


ちなみにだが、俺は彼女が人化した時から調理の時以外は目をつぶっている。なぜかと言うと、彼女の裸体を見た時になぜか急に吸血衝動が出てきてやばかったからだ。昔はこんなこと無かったんだけど、この世界に来たからか、融合したからか、体質にも変化があるようだ。


「取り敢えず俺の服を着といて欲しい、このまま目を開けずに生活は厳しいんだ。」


「…なら開ければ?」


「色々とまずいんだよ、それは。」


取り敢えず彼女には俺が着ていたパジャマのような服を渡し、着てもらう。


「…着れない。」


「仕方ない、手伝う。」


彼女に服を着せるのを手伝う、ずっと風呂なんかに入っていないのだろう、血の匂いと獣臭が凄い…。着せた感想としては…柔らかかった、抱きつかなかった俺を褒めて欲しい。


そして着せてから気づいたんだが、ブラも何もつけていないから、うっすらと服を押しのけて主張する二つの突起が実にけしからん。



もちろん着せた後は俺はパンツオンリーである、だがちゃんと考えはある、これまで使ってこなかった影霧だ。体の一部を不思議物質に変えるスキル、恐らくこれでなんとかなる。



結果、なんとかなった…なんとかなったんだが、むしろ先ほどより酷いかもしれん。想像して欲しい、大事な部分がよく分からない黒い霧のようなもので覆われた男を。変態だろ?


最終的には上半身はそのままで下半身は影霧で誤魔化した。見た目は下半身がお化けみたいになって、中に浮いてる感じだ、浮いてるので空も飛べるかと思って試したが無理だった。


それにこの状態だとスピードが全然出ないので、戦闘時は攻撃に当たりたくない時ぐらいしか使えないだろう。





まぁ、そんな感じで銀狼の美女イリナとの生活が始まった。


イリア、俺が獲物を捕まえ、そして俺がイリアに捌き方を教える、これがまず第一段階のはずだった…んだがな。イリア…まじ料理できない、気づけばイリアが捌いていたものは暗黒物質に変わっているのだ、ただ切っているだけなのに…この世は謎に満ち溢れているようだ。


もう捌き方を教えるのは諦めて食べれる所を教えることにした、それはうまくいったんだ…いったはずだったんだ。イリアに食べれる所を教えたその時だけは彼女は覚えている、だが次の時にはもう忘れている。彼女の記憶力が悪すぎるのかと思ったがそうではなく、そのことだけが覚えれなかった。

もう俺には何もできない。




「イリア…俺には無理だったようだ。」


俺は夜空を見ながらイリアに言う、星が綺麗だ。


「…うん。」


彼女も空を見ながら言う。


この場面だけ見れば凄い絵になっている気がする、俺の下半身を除けば。






俺は結局彼女の食事を改善させることはできなかった、多分誰がやっても無理だ。俺もここに長居しているわけにはいかないので、村の人たちには悪いが諦めてエンドリアに向かうとする。何気にイリアと会ってから一週間たっている。


この一週間最初の3日ほどは真面目に教えようとしていたんだが、途中からは俺がイリアの料理を作ったりして、普通に仲良く生活していただけだった。イリアは無防備な姿が多いので俺の理性が何回か危なくなったのはここだけの話だ…嘘だ、一度だけ抱きついてしまった、ただ抱きついた時にこちらを向いて首をかしげるのは反則だ。


このまま一緒に暮らしていたいけど、そうもいかない。





「イリア、身体には気をつけてな、川で水浴びも毎日するんだぞ。もし服が使い物にならなくなったら狼化して、人の姿になるんじゃないぞ。あ、ついでにこの先の村にあまり魔物をいかせないようにな。それじゃあ、気をつけてな。うぅ、グスッ、バイバイ。」


俺はイリアに別れを告げてエンドリアの方に向かう、決して悲しくはない。





数歩歩いた時に気がついた、何故かイリアが付いてきている。


「どうしたイリア?何かあるのか?」


「…ついてく。」


「それはまたどうして?」


内心ガッツポーズで喜んでいるが表には出さずに聞く。


「…もう、トオル無しじゃ…生きていない。」


「お、おう。それはどういう意味だ?」


俺は顔が全力でにやけそうになるのを抑えながら聞く。


「…トオルがいないと、食べ物美味しくない。」


…食べ物かーい、勘違いしてはいけないと日本にいた頃はいつも思っていたのに、こちらに来て忘れていたようだ。盛大に勘違いしてしまった、ただそれでもイリアと行けるなら良いか。


「そ、そうか。けど、ありがとう、一緒についてきてくれて。…先は長いぞ。」


「…うん。」


イリアは軽く微笑みながらそう言った、表情を変えないイリアのその顔はいつまでも忘れない。










読んでくれてありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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