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珠、太田さんと仲良くなる

大工さんが来るのを、今か今かと待ちわびます。

規兄(のりにぃ)は昨日から考えごとをしているようで、相手をしてくれません。

のりりんがそっとしておきましょうと言ったので、せいちゃんとれんちゃんを連れてシャボン玉で遊びます。

シャボン玉をいっぱい作ると、せいちゃんがそれを壊します。

嫌がらせではありませんよ。

私がお願いしたのです。風魔の技を見せて欲しいと。

すると、せいちゃんは小石を指で弾き飛ばし、ふわぶわと浮かぶシャボン玉に向けて放ちます。

一回も外すことなく、全弾命中ですよ!


「せいちゃん、すごいです!」


ぱちぱちと手を叩いて称賛します。

鉄礫を使えば、木の板も割ることができるらしいです。

めちゃくちゃ痛そうですね。

当たりどころが悪ければ…。痛い想像はやめましょう。

そうこうしていると、宮城さんが迎えにきてくれました。

大工さんが到着したようです。


満面の笑みを浮かべる大工さん。

たくさん試作品を作ってくれました!

中央部分が薄いものと、ドーナツのように穴が空いているものが、それそれ三つずつあります。

微妙に厚さや形が違います。

実際にそれを飛ばしてみて、飛距離や飛び方を比べます。

やってみた結果、飛距離は圧倒的に穴が空いていない方が飛びました。

やはり、あの形が重要なのですね。

厚みがあるとやや飛距離は短くなったので、重さも重要です。

それを太田さんに説明して、飛距離と耐久性、どちらを優先した方がいいのか聞いてみました。

すると、どちらも欲しいらしいです。


「ようは、使いわけをすればよいのですよ」


あ、どちらもって、両方を採用するってことでしたか。


「体力や瞬発力の訓練ならこちら、遊びならこちらというふうにね」


というわけで、訓練用には中央部分を薄くしたフリスビー、遊び用には穴の空いたフリスビーを使うことになりました。

そして太田さんは、その場で大工さんに大量発注したのです。

その数、三百個ずつ。

そんなに頼んでどうするのでしょう?


さて、太田さんにフリスビーの投げ方を教えて、犬たちが反応してくれるのかを試します。

まずはフリスビーの匂いを嗅がせてから投げました。

犬たちはただ見ているだけです。


「取ってこい!」


太田さんがそう命令すると、落ちたフリスビーを取りにいきます。

持ってきたフリスビーを受け取り、もう一度。

今度は投げるのと同時に命令を出しました。

それでも、犬たちはフリスビーが落ちてから持ってきます。

こう、飛んでいるフリスビーを捕まえて欲しいのですが…。

仕方ないので、お手本を見せることにしました。

太田さんが投げたフリスビーを、私が飛び跳ねて掴みます。

それを何度か繰り返して、もう一度犬で挑戦です。

するとどうでしょう!

一匹だけですが成功したのです!

凄い勢いで駆け、大きく跳び上がり、フリスビーを咥えたではありませんか!

これには太田さんも大喜びです。

犬もどうだと言わんばかりに、尻尾を振って太田さんにフリスビーを渡します。


「もうできるようになるなんて、すごくおりこうさんです」


太田さん曰く、群れのまとめ役をしている犬らしいです。

頭のいい子なのですね。


思う存分、犬たちと遊んだあと、規兄が太田さんに話があると言って、再び会議になりました。

三田さんが住んでいる地域のことをいろいろと質問していましたが、太田さんも全てを知っているわけではありません。

結局、私に風魔を放つようお願いしてきました。

私がこたこたにお願いすると快諾してくれたので、規兄は調べて欲しいことの一覧みたいなものを渡しています。

木材の種類や価格とかはわかるのですが、領民の数や年齢層とか、地域の天候とか、そんなもの調べてどうするのでしょう?


「氏規殿、私も同行たいのですが、いかがでしょう?」


う?


資正(すけまさ)殿が、三田のところまでともにすると!?」


太田さん以外はみんな驚いています。

それはそうですよね。私もびっくりです。


「氏規殿と姫様がどのように三田殿と渡りあうのか、お側で拝見させていただきたい」


私としては、三田さんと知り合いの太田さんがいてくれると心強いですが、お城を空けてしまっていいのでしょうか?


「こちらとしては、大変有り難い申し出だが、よいのか?」


城代(じょうだい)なら、(せがれ)がやりますので問題ありません」


その息子さんは初耳みたいですけど…。

私たち以上に驚いていますよ?


「とりあえず、兄上に伺ってみよう。早馬を用意してもらえるか?」


「もちろんです。準備ができましたら、宮城に申しつけください」


お城を任されている人ですし、一応照兄(てるにぃ)に聞いてみるってことですね。

父上や政兄(まさにぃ)じゃないのは、小田原が遠いからでしょう。


照兄からのお返事待ちということで、もう一泊することになりました。

照兄のお返事が届くと、太田さん宛て、規兄宛て、私宛ての文がありました。

しんちゃんに読んでもいました。

さすが我らの掌中の珠。

その勢いで三田も落とせ。

意味がわかりません。お城を落とすのですか?

三田さんとは友好的解決を目指すのです!

太田さんと規兄の方には、同行してもよいと書いてあったようです。

そして、太田さんを連れて、滝山城に来るようにと。

太田さんはすぐに準備できると言っていたので、明日出発することになりました。

とりあえず、味方が増えたってことでいいですかね?


太田資正が仲間になった!

珠の経験値が1上がった!


これでわんこも使い放題…

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