珠、石けんを作る 三の巻
長らく放置してすみませんm(_ _)m
よっしーからもらった馬油のおかげか、少し白っぽさが残るだけになりました。
足の方も水膨れはなくなり、痛みもありません。
もう少しで、お外で遊べそうです。
竹兄とのお勉強も順調で、ようやく学而が終わり、為政に入りました。
しかし、これがまたちんぷんかんぷんなのです。
もう、気長にやるしかありませんね。
さて、今日はよっしーが来ます。
この間、塩でやってみてと言った石けんがどうなったかの報告です。
成功するといいのですが…。
早速、よっしーがいるお部屋に突撃すると、幾つかの一升枡が並べてあります。
「どうでしたか?」
「末姫様の言う通りにしてみたのですが、固まる気配はありません」
よっしーが持ってきた一升枡は、前回の失敗作と今回作ったものです。
前回のものは失敗だとわかってはいるのですが、時間が経って変化しないかという観察実験ですね。
今回のものは、薄い茶色ですが、どろっとしたままですね。
油が分離しているということはなさそうですが、失敗でしょうか?
「此度のものは、荏胡麻油と馬の油でやってみました」
馬の油の方が白っぽくて、石けんになりそうではありますが、全然固まっていません。
しかし、ひょっとしたらということもあるので、泡立つかやってみましょう!
「こた、水をもってきてくれる?」
「水?飲むのか?」
「いいえ。ためしてみるの。だから、おけでもってきて」
こたは面倒臭せぇとぼやきながら出ていきましたが、そろそろ本当に再教育が必要かもしれません。
こたが持ってきたお水は桶ではなく、どう見てもたらいです。
台所で食器を洗うのに使っていそうな大きさですけど、どこから持ってきたのですか?
終わったら、ちゃんと返してきてくださいね。
気を取り直して、まずは荏胡麻油の方からやってみましょう!
匂いは石けんというよりも、何か食べ物の臭いに近いものがありますね。
触ろうとして、手に巻いてあるさらしに気づきました。
あ、まだこの手で触らない方がいいですよね。
「よっしー、これをつけて、手をあらってみてくれませんか?」
「手につけるだけでいいのですか?」
「少しお水をつけて、こすってみてください」
よっしーが一升枡に指を入れ、中のものをすくい出します。
もっとどろっとしているのかと思いましたが、垂れることもないので、少しは固まっているのかもしれません。
よっしーに泡立て方を教えながら、よっしーの手元を覗き込みます。
う?…おぉ!!
泡立っているじゃないですか!!
想像している石けんよりは泡立ちが弱いですが、大小様々な泡ができています。
「これは、いけるかもしれません!」
よっしーに感想を聞いてみると、油のギトギトした感じもなく、肌に刺激もないということだったので、石けんにはなっているようです。
泡立ちが弱いのと、臭いが改善点ですかね。それで、固まれば文句なしなのです。
次は馬油で作ったものです。
一升枡を持ち上げて、匂いを嗅ごうとしたら、異様な臭いが…。
こう、うへぇ〜ってなる臭いです。
この臭いで、使うのをためらいますね。
よっしーは臭いには反応せず、先ほどと同じように指ですくいます。
それを泡立ててみると、荏胡麻油よりはしっかりした泡ができていますが、それと同時に臭いがふわぁっと漂って、うへぇ〜ってなりました。
これでシャボン玉は作りたくないのです。
「臭いはありますが、荏胡麻油のものより洗った後の感触はいいですね」
う?洗った後ですか…。
しかし、この臭いでは使う気にもならないと思います。
さて、実験結果としては、泡立ったので洗浄効果は出ているかもしれません。
洗浄効果の方は、後日、洗濯のおばさんにお願いして実験しましょう。
今後の課題としては、固まらないのと臭い、泡立ちというところでしょうか。
塩で固まると思ったのですが、勘が外れてしまいましたね。
次の方法は、やはり灰の種類を変えてみる、ですかね。
木の種類ごとに灰を作る、海藻で作る、あとは葉っぱとかかしら?
木と同じで、何の葉っぱでもいいってことにはならないと思うんですが。
あ、藁ならすぐ手に入りそうです!
「つぎは、はいをかえてみましょう」
「灰をですか?例えば?」
「木のしゅるいをおなじにするとか」
「杉だけで作った灰、椚だけで作った灰というふうにですか?」
「そうです!」
「…それでしたら、木の性質も考えた方がいいかもしれませんね」
「せーしつ?」
「固さだったり、実がなるかならないかとかです」
そういう違いも考慮しておいた方がいいかもしれないです!
他に何かありましたかね?
まぁ、少しずつ、こちらも気長にやりましょう。
今後の方針も決まりましたが、よっしーにはこの石けんを使ってもらいます。
荏胡麻油の石けんと馬油の石けんをそれぞれ三日ずつ使ってもらい、使用後の感想を書きとめてもらいます。
ある意味、人体実験に近いですが、異常があってはいけないのでお願いしました。
それが終わる頃には、私のお外禁止令が解けているといいのですが…。
そういえば、母上から出された宿題、和歌集の方は手付かずですがどうしましょう?
八重様か葉姉に教えてもらうしかないですかね。
あ、苗姉も和歌を嗜む方でした。
将棋の方が印象強くて、すっかり忘れていましたよ。
苗姉に聞いてみましょう!
ようやく、石けんもどきが泡立ちましたが、実はよっしーが頑張って試行錯誤していました。
珠には内緒ですよ(笑)