珠、探険する
今日の遊ぶ場所は、なんとお城です!
天守閣にって言いたいところですが、今日は二の丸です。
天守閣、つまり本丸は武器庫や食料庫として使用するのですが、ちゃんとお仕事で使う部分もあります。
戦になれば、司令本部にもなります。
ただ、残念なのが、記憶にあるような天守閣ではないのです。高台の上に、二階建てくらいのお屋敷が乗っかっている感じです。それでも、お城の中では一番高い場所なのです。
父上や政兄との謁見は基本、二の丸でやっています。こたと会った時に、強行突破したのも二の丸でした。
お城へ入る許可をもらうには、長い長い戦いがありました。母上との。
最後には父上に泣きついて、許可をふんだくったのです。
さて、三度目ましての二の丸には何があるのかな?
気分は忍者でこっそり二の丸へ侵入。
こういうことには付き合いのいい、しんちゃんとこた。風魔の技を用いて、誰にも見つかっていません。
お、廊下に第一村人…じゃなかった、働いている人発見。
ついて行ってみましょう。
廊下にふすまがずらっと並んでいるのは、なかなか壮観です。
右に曲がり、左に曲がり、まるで迷路のよう。
みんな、よく迷子になりませんね。
ターゲットが止まり、ふすまを開け、部屋に入っていきました。
ここは何をしている部屋なのでしょうか?
「ここは、年貢を管理しているところです。それぞれの城主がどれくらいの領地を持ち、どれくらい米が取れているのか、他に納められるものがないのかも調べたりしているようです」
結構、重要な部署ですね。
こんなにあっさりたどり着けていいのでしょうか?
はい、次いってみましょー!
ある部屋から、本を抱えた人が出てきましたよ。
ここはなんの部屋でしょう?
大体予想はつきますけどね。
人の気配がなくなり、そっと部屋を覗いてみます。
案の定、書庫っぽい部屋でした。
紙でできた本はもちろん、いつの時代のものかよくわからない竹簡まであります。
ちょこっと竹簡を見てみたら、全て漢字でした。うへぇ。
はい、次いってみましょー!
なんだかいい匂いがしてきました。
匂いをたどっていくと、台所に到着。
昼餉の炊き出し中ですかね?それとも夕餉の下ごしらえかしら?
七輪で干物を焼く香ばしい匂いがたまりません。
お腹が鳴る前に退散しましょう。そうしましょう。
台所に着いたってことは、ここ辺りが端っこですかね?
では、中央部分を目指しましょう。
何度も角を曲がると、階段を発見しました。
登ってみたいと思います。
二階も一階部分と同じような光景が続きます。
適当に部屋を覗いてみると、謎の木箱がいっぱいある部屋でした。
「ここは刀を保管している部屋です」
刀専用武器庫でした。
怖いので、箱に触るのは止めておきます。
はい、次いってみましょー!
次に開けた部屋は、棚がいっぱいある部屋でした。棚の中には、文や巻物がいっぱい入っています。
なんの巻物かな?
うぎゃ!血判状だ!!
赤黒く変色した指紋にびっくりして、血判状を落としてしまいました。
こたがすかさずキャッチして、元どおりに直します。
「血判状や他家からの書状、文などを保管している部屋のようですね」
そうですね。
でも、心臓に悪い部屋だった。
次つぎ!
次の部屋はかなり壮観です!
鎧です!
鎧兜が一式そろったものもあれば、兜だけ並べてあったり、軍配まであります。
「こちらが大御屋形様の鎧です。新御屋形様のもはこちらです」
…しんちゃん、物知りですね。
って、私の家臣になる前は、こたこたと一緒に戦に出てたから、父上や兄上の鎧兜知っていてもおかしくないですね。
父上の鎧は黒で、なんか大人しい。
鎧ってもっと派手だと思っていたのですが。
あ、派手なのもありました。朱色と金色という、鎧ではスタンダードですが、肩の部分に動物の毛のようなものがついています。ふさふさです。
さらに奥には、もっと派手なのもがありました。
紫と緑の鎧に、青と緑の鎧です。
その側には、これまた派手な飾りのついた兜があります。
家紋は入っているものはまぁわかりますが、この鹿の角みたいな飾りはなんでしょう?
「こちらは先々代、氏綱様のものです。この龍の角の前立てを愛用されていたそうです」
鹿の角ではなく、龍でしたか。でも、どちらも同じではないですかね?
ともかく、お祖父様は派手好きだったようです。
ここは大変面白い部屋でした。
次は何かな?
次に開けたのは、見たことのある部屋でした。
部屋ではなく、大広間ですけどね。
でも、以前より狭く感じます。
…、そうか!あの時はふすまを取り払っていたのですね!
さて、ここまで誰にも見つからずに来たのですが、年貢の納め時のようです。納めたことないですが。
「何者だっ!!」
意外に大物さんが来ましたね。
私でも知っている家臣です。
今、北条で一番強いのはと問われれば、みんな真っ先にこの方の名を上げるのではないでしょうか?
「綱成殿、珠姫様に御座いまする」
そう、たかじょーの父で、父上の信も厚い、北条綱成。義理の叔父にあたる人です。
「つなしげおじじ!」
「珠姫!」
綱成おじじは頭を下げるが、私はペチペチと叩きやめさせます。
綱成おじじはレアキャラで、忠兄の元服の前だと、いつあったかしら?っていうくらい会えないのです。
「どうしてこのような場所に…」
「ちちうえがよいといってくれたの」
「はぁ。大御屋形様も子には甘すぎるのがなぁ…」
まぁまぁ。
あんな顔していても、子煩悩でよき父親なのです。
「つなしげおじじはどうしたの?」
「大御屋形様に呼ばれ申してな。ようやく終えたところじゃ」
「かえるの?」
「いや、しばらくは屋敷の方に泊まることとなる」
「じゃあ、たまとあそぼう!」
「承知した。では、城を案内して進ぜよう」
やったー!
綱成おじじと手を繋ぎ、二の丸の中を案内してもらいます。
二の丸だけではなく、道場を覗いたり、外に出て厩を見たり、武家屋敷の方も案内してくれました。
みんな、綱成おじじに頭を下げます。そして、私を見つけると首を傾げるのです。
私、そんなに認識されていないのでしょうか?
途中、上屋敷のじぃの部屋を突撃訪問してみたけれど、残念ながら留守でした。
次に行った武家屋敷では、つぐりんの父上がいました。綱成おじじと一緒に登城したそうです。
つぐりんは元気にしているかと聞いたら、私がつぐりんを知っていたことに驚いていました。
とりあえず、つぐりんは元気にしているそうです。
お昼の時間になったので、綱成おじじを屋敷に招待し、一緒にご飯を食べました。
帰ってきていた規兄も仲間に入れてあげました。
綱成おじじに小言を言われてげんなりしてしまいましたが、鍛錬をサボるのは武将の子としてはどうかと思います。
おじじ、もっと言ってやってください!
後北条時代の小田原城の資料が少なく、いろんなお城の間取りをミックスしています。
ただ、鎧とかは手入れとかもしなければいけないのを考えると、本当はお屋敷かもしれません。
補足
つぐりん:間宮康次。北条綱成の方の、玉縄北条家の付家老である間宮康俊の嫡男。努力家さんで、小田原城にいるときは、毎日道場で鍛錬している。
間宮康俊:水路での木材運搬や北条水軍を取りまとめる、実はすごい人。綱成おじじのせいで影が薄い。