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一通り家事を済ませて

テレビを見て時間を潰していた。


なにかしておくべきことが無いか

考えてみたが残念ながら

伊原が居ないのでは何もすることができない。


「…………オリジン……。」


そういえば伊原やあの赤いスーツの男が

口にしていたオリジンという言葉

なぜだか俺はその単語をどこかで

見ていたような気がする。


……考えてみたが結局なにも

思い出すことができなかったので

また、無心でテレビを見続ける。


暫くテレビを見続けていたが

ふと義父の部屋にあった

あの書類が気になってしまった。


そういえば父さんの部屋にあった

あの変な書類の中身を

ちゃんと見ていなかったな

もう一度しっかりと確認してみるか


そう思い義父の部屋の中に入る。

そして例の書類が入った

アタッシュケースを持ち出して

居間の机の上に置いた。


それじゃ開けてみるか……


机に置いたアタッシュケースを開け

その中から大量の書類を取り出す


んっ?、なんだこれ?


中から書類と一緒に

首飾りが出てきた。


なんじゃこりゃ

そのく首飾りは細かい装飾が施されていて

真ん中には大きな宝石の様な

赤く輝く球体がはめ込まれていた。


なぜだかそれを見ていると

心がざわついて仕方ない。


なんなんだこれ

ルビーかそれとも他の宝石か?

よく分からないがそれが、普通じゃない

そんな気がしてならない。


なんていうかなまぁ、持っておこう

後で伊原にでも見てもらえばいいか。


そう思ってその首飾りを

ポケットに仕舞った。


そして、今度は沢山の

資料に目を通していく

……がやはり英語だらけで

何を書いてるのかまったく分からない

だが何かの魔方陣の様なものを描いた

書類に目が止まった。


origin……オリジン

そう確かにその中には書いてあった!


ただの偶然なのかそれとも

義父が、此方の世界を知っていたのか

更に疑問が増えていくばかりだ。


そんなふう風に思考を続けていた俺は

庭から聴こえた爆発音で我に返る。


「なっ、なんだ!。」


急いで庭に走る

辿り着くとそこには


「なっ、なんでお前が!。」


そこには校舎で俺を殺した

スーツの男が佇んでいた。


男は何も言わずに此方に手を向ける。


そして次の瞬間

此方に炎が迫ってきた。


「くそッ!。」


その炎を俺は間一髪で避ける。

行き場を失った炎は家の壁に当たり

拡散していく。


男は一瞬驚いた顔をしたが

また直ぐに無表情になり此方に炎を飛ばす。


なんだってんだよ!


「ッーー!ウオォォオッ!!。」


一か八か俺は男に向かって駆ける。


確かに炎は脅威だが

近付けさえすれば勝機はある筈だ!


向かってくる炎をスレスレで避ける

肌はジリジリとその炎の熱で焦がされそうになる。


男はまた驚いた顔をした


気が付けば10メートルは

離れていた男と自分の距離が

手を伸ばせば届く距離にまで

近付いていた。


「ハァァァァアアッ!!。」


おと男の顔に目掛けて

握った拳を振るう。


当たるっーー!


完全にそう思ったその時

男の体の内側から吹き出るように炎が出た。


「なっ!うわぁぁぁあっ!!。」


そのまま勢いに負け吹き飛ばされる。


そしてまた男と10メートル程の

距離が出来るほどに吹き飛ばされた。


「ぐっ、うぅっ……。」


全身を激痛が襲った。

駄目だこのままだと殺される!!!


「驚いたな、昨日は回避すら

ままならなかった筈

しかし、今日は避けた上に

目前まで接近してくるとはな。

なによりその身体能力はなんだ?

貴様人間か?。」


そう言って男は俺の答えを待つ

だが何も答えられない

説明するよりこの状況を打破

することで頭が一杯なのだ。


「くっ!。」


俺は男に背を向けて

走る、走る、走る、走る、走る

ただこの場から逃げ切る事を優先する。


……しかし、家の門の前にはいつの間にか

あのスーツの男が姿を現していた。


「!!。」


「逃げるか……、まぁいい

どちらにせよ殺すだけだしな。」


「くっそ!!。」


俺は全力で方向転換し

家の中に入る

そして義父の部屋に置いてあった

刃の長いナイフを手に取る。


もはや、こうなったら

アイツと戦う他に選択肢は無い!

ナイフでなら運が良ければ

このナイフでアイツを倒せる……っ!!


義父の部屋から出ようと

後ろを振り返ると

部屋の扉にもたれかかった

スーツの男が此方に目も向けず言葉を放つ。


「そんな、ナイフでどうするつもりだ?。」


「ッ!!、ヘヘッ勿論

お前に勝つつもりだよ!。」


精一杯の強がりで

動かない体に無理矢理渇を入れ

男にナイフを振るう……が。


やはり触れるより先に

男の体から出た炎に吹き飛ばさ

部屋の本棚に突っ込む。


「がッ!!はっぁ!?。」


再度全身を激痛が走り抜けた。


もう駄目だ力がーー入らない

くそっ!こんな所で死ぬのか……

今度こそ本当に死んでしまうのか……。


「終わりのようだな

なに、気にするなお前が死ぬのは

ただ、間が悪かったから

ただそれだけのことだ。」


間が悪かった?

ふざけるな!そんな

そんな理由で俺は死ななくちゃいけないのか!!

そんな下らない理由で!!


体を怒りが駆け巡っていく

激情が思考を支配する

もう他に何も考えられない

しかし想いとは裏腹に体からは力が抜けていく。


「では、少年よ去らばだ

もう、会うことは無いだろうよ。」


そう言って男は俺に炎を飛ばす。


もう、駄目か……。


諦めてしまった。


もう、何も考えられない。


もう、戦えない。


体が動かない……思考が止まる。


死を覚悟した……ここで俺は死ぬ。


全てを諦めかけたその時


なら、その命をワタシにくれる?


そう聴こえた……

なんだって?


だから!、もう要らないなら

その命をワタシに頂戴って言ってるの!


なんなんだ一体

だがもしそれでこの男を倒せるなら

それでもいいか、……俺の命で

この男を殺せるなら喜んで命なんてくれてやる。

この男を俺は殺したい!!


だから、……だから

悪魔でもなんでもいい


「頼む……、この男を殺してくれ。」


おっけー!契約成立っと!


そんな軽い返事の後

部屋は目映い光で包まれた。


そして、その光が男の炎を掻き消す。


「ぐっ!まさか!。」


男は驚愕の表情を浮かべる

光が収まりその収束点に佇んでいたのは

金色の髪と深紅の瞳を持った

この世のものとは思えない絶世の美女だった。


その美しさに思わず

緊迫した場面だというのに

見とれてしまった。


金髪の女性は此方を見て一言言った。


「いい買い物したわねアナタ

ワタシを呼び出したからには

負けることなんて絶対無いわよ。」

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