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「そんなっ!人避けの魔術を使っていたのに

なんでこんな所に一般人がいるの!?。」


伊原 秋瀬はそんな悲鳴にも似た

驚きの声を上げ全身が燃え盛る少年を見る。


っ!?ーー。



唖然と事の終わりを見届けた

最早少年だったものに成り果てた焼けた肉から

目を反らして少年を殺したスーツの男に

視線を投げ掛ける。


スーツの男は何の罪悪感も無さげに


「……、興醒めだ今宵は退く

決着はいずれつけることにしよう。」


そう言ってスーツの男の姿は揺らぎ

そこには初めから何も無かったかのように消えた。


「なにが、興醒めだってんだ

こっちはまだなーんもしてねぇつうの。」


フードの男は剣を収めて

少女の元に駆け付けた。


少女は懐から魔術的な力を持った

道具を取り出して少年だったものの側に

しゃがみこむ。


その行動から察するに

少女は少年を救うつもりなのだろう


「オイオイ、たかがガキ1人のために

貴重な魔術錬具を使うことないっしょ?。」


その様子を見ていたフードの男は

そんな、悪態を吐いた。


たかがガキ1人という言葉に

少女は怒りを露にする。


「たかがガキ1人ですって

貴方は人の命をなんだと思ってるんです。」


少女が怒ったように男を睨み付ける。

すると男は参ったといった感じに両手を上げる。


「悪かったって、そんな怒るなよ

まぁ、なんだ俺は毎日誰かが死ぬような

環境で生きてきたせいか

人の死ってのに疎くなってるみたいだ。」


男のそんな言葉を無視して

少年の助けるために魔術錬具に魔力を籠める。


そこから魔術錬具を介して

真っ白な光が少年の体を包み込む。

すると少年の体の火傷で負傷した傷口が

どんどん塞がっていき

最終的には傷1つ無い元の姿に戻った。


「それじゃ、彼を私の家に連れていきましょう。」


「ったく、お人好しだねー。」

そう言って男は少年を担ぎ上げる。


「なんとでも言ってください

色々と彼には気になる所があります。」


男はそれを聞いて笑った。


「確かに、……この坊主微かだが

魔力を持ってやがる。」


「ええ、この戦いには無関係とは思いますが

それでも人避けの魔術が効かなかったようですし

それに……。」



「まぁ、いいです

それよりも早く戻りましょう

人避けの魔術も効力を無くしてきていますし。」


「あいよっ、じゃあ戻るとしますか。」


そして少女と男は夜の校舎を後にした。











意識が戻るーー。


何かを得たような気がするーー。


だが無くしたようにも感じるーー。


「っ!うっ……。」


ふと、目が覚めると

見知らぬ天井がそこには、あった

よくあることだ ……いや、ねーよ。


心の中で1人ノリツッコミを入れる。


「目が覚めましたか?。」


えっ?


そこには、同級生の伊原 秋瀬と

見知らぬフードの男がいた。


「あっ、無理はしなくていいですよ

もう少し眠っていてください。」


そう言った彼女の顔は

とても可憐で可愛かった。


だが思い出す、思い出してしまう

先程の光景が脳裏に蘇っていく。


ああ、思い出してしまった。


夜の校舎、現実味の無い光景

そして、自身の火に炙られる痛みを……。


そこでようやく俺は体を起こした。


「伊原……さん?、そのさっきの事なんだけど。」


質問しようとしたがそれを制止するように

彼女が声を発した。


「待ってください山門くん

残念ですが質問をするのはこちらです。」


わかった

それだけ答えて後は

彼女からの質問を待った。

彼女は少し考える素振りを見せてから口を開いた。

先程より少しだけ表情が険しくなる。


「まずは、山門くん

貴方は魔術師ですか?。」


「へっ?魔術師?。」


余りにも唐突な意味不明の質問に

思わず変な声を出してしまう。


そのよう様子を見て険しかった

彼女の目が見開かれる

そのまま表情が緩んでいった。


「嘘をついてるようには見えませんし

やっぱり、私の思い過ごしでしたね。」


はぁ、と彼女は溜め息を吐く


「じゃあ、次の質問です。」


彼女は顔を上げまた、此方を見た。


「あなたは、……オリジンについて

なにか知っていますか?。」


またも、意味不明な事を言ってきた

ダメですもう、ついていけそうにありません。


「ごめん、……何の事だかさっぱり。」


まぁ、そうでしょうねと彼女は話を続ける。


「では、貴方はあそこで

何をしていたのですか?。」


「その、携帯を学校に忘れて

取りに戻ったんだ。そのあと家に帰ろうとしたら

校庭に伊原の姿が見えたから

こんな時間にあそこでなにしてるんだろって思って

後をついていったら、まぁ後は君も知ってる通り……。」


そこで言葉が止まる

あの時自分は全身が燃えて死んだ……筈だ。

なのに今こうしてほぼ無傷で彼女と会話をしている

これは、一体どういうことなのだろうか?。


「体の事ですねそれなら安心して下さい

私の魔術を使って貴方の体を治癒しましたから。」


そう言って彼女は笑う。

しかし、今度は無表情にそして

先程の彼女から想像もできない

ような威圧感を纏ってそれを

突き刺すように突き付けてくる。


「関わった以上もう戻れませんよ……。」


思わず言葉に詰まってしまう

なぜだかここで彼女を怒らせれば

その瞬間に自分が死ぬのではないかと

錯覚するような強い視線を彼女は向けてきた。


「っ!……。」


辛うじて声を発する

そしてその言葉の続きを述べる。


「俺は……どうなるんだ?。」


その言葉を聞くと彼女は纏っていた

殺気にも近い威圧感をその身から無くし

変わりに深い溜め息を漏らした。


「もうっ、分かりました!

貴方が嘘を言ってるようには

見えないしどうせ関わったのなら

とってもらう選択肢は2つしかないのだし。」


……選択肢?


「山門くん、……貴方は

今まで通りの日常と

この簡単に命の消えるような非日常

……どちらがいいですか?。」

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